『マネーの拳』の感想・レビュー|起業から上場まで!熱い成り上がりビジネス漫画【三田紀房】

マネーの拳

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『ドラゴン桜』や『インベスターZ』など、難しそうなテーマをエンタメに落とし込むのがうまい漫画家・三田紀房(みたのりふさ)

『マネーの拳(マネーのけん)』で描くのはビジネスの世界。元ボクシング王者・花岡拳が商売を始め、会社を大きくしていく成り上がり経営漫画です。

経営漫画と聞くと難しそうですが、これが驚くほど読みやすい。起業から会社経営までしっかり描きながら、商売を学べて、漫画としても熱い作品です。

あらすじ

『マネーの拳』は、元ボクシング世界王者・花岡拳が、第二の人生としてビジネスの世界へ挑む物語である。

ボクサー引退後はタレント活動を続けながら友人と居酒屋を経営する花岡だったが、店は赤字続きで商売の難しさに直面していた。そんな折、テレビ番組で実業家・塚原と出会い、彼からの助言と資金援助をきっかけに新たな事業へ踏み出すことになるのだった。

拳ひとつで頂点を極めた元王者は、今度は知恵と決断力を武器に、ビジネスという新たなリングで経営者としての頂点を目指していく。

作品解説

『マネーの拳』は、漫画家・三田紀房による経営ビジネス漫画。

元世界王者が起業するという設定のもと、縫製工場を拠点としたアパレルビジネスを舞台に、商品企画や製造、販売、取引先との駆け引き、人材確保、資金繰り、ブランド作りから上場、M&Aまで、会社が成長する中で直面するさまざまな経営課題に向き合う姿が描かれている。

難しい経営知識を並べるのではなく、花岡が壁にぶつかるたびに答えを探し、会社を大きくしていく過程そのものを勝負として見せるのが特徴。

創業から企業成長までの過程を具体的に描いた構成は、経営を疑似体験できる作品として語られ、実際の経営者からも評価されている。

ビジネスの仕組みを学べるだけでなく、一人の男が再び頂点を目指す成り上がり作品としても楽しめる作品である。『ビッグコミックスペリオール』で連載され、全12巻で完結している。

元ボクサーの成り上がりビジネス漫画!

おすすめポイント・感想・レビュー

モーニングに『ドラゴン桜』が連載されていた時期に並行して始まった作品。

『ドラゴン桜』が受験指南だったのに対して、こちらは経営指南とでもいうべき、起業から事業の拡大までを描いた本格ビジネス漫画になっています。

ビジネス漫画ではあるけれど、三田紀房らしいテンポの良さで読みやすく、感情寄りで熱量が高くて、学びよりも純粋な面白さが勝る作品でした。

商売の話なのに、とにかく引き込まれる

『マネーの拳』でまず驚いたのが、商売や会社経営がテーマなのに、とにかく続きが気になること

商品をどう売るか、人をどう集めるか、会社をどう大きくするか。やっていることだけ見ればかなり真面目なビジネスの話なのに、「次はどうする?」「ここからどうひっくり返す?」と、気づけばページをめくる手が止まらなくなります。

なかには、TOBやMBOなど、なかなかとっつきづらく分かりにくい題材もあるのですが、なぜかすらすら読める。

しっかりとビジネス漫画としてそれぞれの解説も入っているんですが、説明しすぎず流れで理解させてくれる構成力。

難しい経営理論を全面に出していないのも大きいかもしれません。細かい説明を読むというより、決断と結果を見せられて納得させられる感じ。

情報量は多いのに頭が疲れない。めちゃくちゃ読みやすい!

キャラ同士の衝突が物語を動かす

そして、もうひとつ面白いのが登場人物。

この作品、キャラがとにかくクセの強い人ばかりです。しかも全員が自分なりの正解を持っている

経営者と従業員、古参社員と新参社員、理想と現実、善意と打算。会社が成長するほど、それぞれの考え方のズレが大きくなり、衝突していくのが面白い。

誰か一人が正しいわけじゃないのがいい。人間関係の描き方がリアルで、感情移入しやすいです。

毎回、ケンの言葉に感動して涙するのに、次の局面ではまた裏切りを考えてしまうヤエコが好き。笑

経営ノウハウだけで話を進めるのではなく、クセの強いキャラクター同士をぶつけて物語を動かす。この人間臭さがあるから、ビジネスに興味がなくても楽しめるんだと思います。

起業から上場まで!会社が成長していくのが面白い

ひとつの会社がどんどん大きくなっていく過程を見られるのも、王道だけど楽しいポイントです。

最初は小さな商売だったのに、Tシャツ事業を立ち上げ、商品を作って、人を雇って、ブランドを育てて…。気づけば会社としてどんどん成長していきます。この成り上がっていく感じ、やっぱりワクワクする!

しかも、会社が大きくなれば全部うまくいくのかと思ったら、そんなに甘くない。

最初は「どうやって商品を売る?」だったのが、人材や組織、資金の問題が出てきて、ついには上場や企業同士の戦いまで。ひとつ乗り越えたと思ったら、今度はもっとデカい壁が出てきます。

それに合わせて花岡自身も経営者としてどんどんたくましくなっていく。会社と主人公が一緒に成長していく感覚も気持ちいい。

経営漫画なのに、説教臭くない

  • 楽して儲けるのが本当の商売だ
  • 金はモノをいわない。モノをいうのは人間だ
  • 俺は誰も信用しない。その代わり責任は取る!

数え上げたらキリがないほど、『ドラゴン桜』に負けず劣らず、今作も名言のオンパレードなんですが、こちらはあまり説教臭く感じません。

他作品と違い、主人公のケンがコンサル的な立ち位置ではなく、経営のトップで当事者だからかもしれません。

漫画っぽいビジネス本というより、ビジネス本っぽい漫画といった感じ。

指南書風味が薄いので、純粋に読み物として引き込まれる。だから最後まで失速せずに一気に読めます。

こんな人におすすめ

ビジネスで成り上がっていく漫画が好きな人にはかなりおすすめです。

次々と現れる問題をアイデアと決断力で乗り越え、より大きな舞台へ進んでいく展開はワクワクの連続。

経営の知識を学びたい人はもちろん、「主人公がのし上がっていく漫画が好き!」という人にも刺さる作品です。

経営の知識がなくても、株式投資とか経験したことある人ならよりとっつきやすいと思います。

起業から事業継承まで!全12巻とは思えない濃さ
小さな商売から始まって、Tシャツ事業を立ち上げ、全国展開、株式上場、さらにはTOBやアクティビストの介入、世界進出まで。振り返ってみるとめちゃくちゃ本格的なビジネスの流れを描いてましたね。

会社が大きくなるにつれて直面する問題もどんどん変わり、最後は事業継承まで描いて全12巻完結は改めてすごいテンポです。

最後まで花岡拳は花岡拳だった!このラストが好き
ラストにケンが会社を去って、海外で新たな商売を始め、自分が育てたT-BOXのライバルになろうとする流れも良かった。

ずっと「会社を大きくする」ために走り続けてきたケン。それだけに、ここまで育てた会社なら最後まで自分で経営するのかと思いきや、大きくしきったところでスッと手放してしまう。

このあたり、なんか妙にリアルなんですよね。

元ZOZOの前澤友作社長しかり、会社をとことん大きくした経営者にしか見えない景色があるのかもしれない。笑

ケンの後を継ぐのが井川っていうのも良かったな。

普通の漫画なら、一度登場したライバルは最後までライバルになりがちです。でも『マネーの拳』では、一番バチバチに争っていた井川が業務提携によって専務取締役としてやってきて、最終的にはケンの後を継いで社長にまでなる。

昨日の敵が今日の味方どころか、最後には自分の会社を任せる相手になる。この立場や関係性がどんどん変わっていく感じも、ビジネス漫画ならではで面白かったです。

主人公の花岡拳は『インベスターZ』にも登場しています。

類似作品 こちらもオススメ!

起業して成り上がっていくビジネス漫画なら、『トリリオンゲーム』(原作:稲垣理一郎、作画:池上遼一もおすすめです。少年漫画なのでリアル感は落ちますが『SHOGUN』(所十三も爽快な成り上がり作品です。

あとがき

やっぱり三田紀房は難しそうな題材を漫画としてエンタメにするのがうまい!

現実の経営として考えると、さすがにうまく行きすぎでは?と思うところもありますが、そこは漫画。これくらいの割り切りは全然ありかなと。

三田紀房のビジネス系作品の中では、今のところこれが一番好き。リアルさと物語性がちょうどよいバランスの作品です。

三田紀房のおすすめ漫画作品ランキングもチェック!

『マネーの拳』が面白かったなら、ほかの三田紀房作品もぜひ。

受験、投資、経営など、難しそうな題材でも、エンタメに落とし込んで読ませてしまうのが三田紀房作品のすごいところ。

ほかにも面白い作品がたくさんあるので、次に読む漫画を探すなら、こちらもぜひ!

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