『1日外出録ハンチョウ(いちにちがいしゅつろくハンチョウ)』は『カイジ』のスピンオフ第2弾。主役は、まさかの班長・大槻!
正直、『中間管理録トネガワ』の次が大槻と聞いたときは、さすがにグレードダウンでは?と思っていました。
ところが読んでみれば、これが予想以上に面白い。グルメから旅行、ゲーム、懐かしネタまで何でもありで、気づけば大槻たちの日常そのものが楽しみになっていました。
今回は、そんな『1日外出録ハンチョウ』の魅力をたっぷり紹介します。
あらすじ
『1日外出録ハンチョウ』は、『賭博破戒録カイジ』に登場する地下労働施設のE班班長・大槻を主人公にしたスピンオフ漫画である。
多額の借金を抱え、帝愛グループの地下施設で働く大槻の楽しみは、地下で稼いだペリカを使い、24時間だけ地上へ出られる「1日外出券」。
限られた自由を無駄にはせず、気になる店でうまい料理を味わい、買い物や遠出、仲間との遊びを楽しみ、時にはあえて何もせず過ごす。使える時間も金も限られているからこそ、何を食べ、どこへ行き、誰と過ごすかに全力を注ぐ。
『カイジ』本編では敵役だった大槻の意外な日常を通して、ささやかなぜいたくや休日を楽しむ喜びを描いた作品である。
作品解説
『1日外出録ハンチョウ』は、漫画家・上原求、新井和也が作画を担当したグルメ要素の強い日常コメディで、『中間管理録トネガワ』に続く、『カイジ』スピンオフシリーズの第2弾にあたる。
食事を中心に、旅行や趣味、季節行事、仲間との遊びなど題材は幅広く、大槻や沼川、石和、宮本ら中年男性たちの何気ない日常そのものが笑いにつながっていく。極限のギャンブルを描く本編とは対照的に、限られた1日を楽しみ尽くす1話完結ギャグ漫画で、「食」と「休日」の魅力を掘り下げた作品である。
時代設定は現代(連載時)となっていて、原作の時間軸は無視している。原作者の福本伸行からも「好きにやっていい」と言われており、原作に縛られない面白さが魅力。
『週刊ヤングマガジン』で連載され、テレビアニメ『中間管理録トネガワ』の数話をジャックする形でハンチョウもアニメ化されている。
(原作:萩原天晴、協力:福本伸行)
おすすめポイント・感想・レビュー
今度の主役はハンチョウこと大槻!
第1弾の利根川は原作でも重要な悪役だったし、それをサラリーマンギャグ漫画にしたことでインパクト大な作品だった。
けど、大槻は「今日がんばった者…今日がんばり始めた者にのみ… 明日が来るんだよ…」みたいな名言こそ残したものの、『賭博破戒録カイジ』の中でもチンチロ編のみに登場した中ボス的なキャラで、利根川と比べれば、どう考えても小物。
正直、利根川と比べるとグレードダウンが否めない。
トネガワ人気に完全に便乗…典型的な二匹目のドジョウパターン…あるかそんなものっ…バカどもがっ…!!
…そう思っていた時期が私にもありました。笑
面白い!なんなら利根川よりも!
原作リスペクトしつつ自由にアレンジ!
原作は今回も萩原天晴。作画担当は上原求×新井和也と別の人になっていますが、相変わらず福本伸行本人かと思うほどの原作再現度です。カイジスピンオフの作画は全員アシスタントなのかな?
連載開始初期は、「ノーカン!今のノーカン!」などの作中の名言をネタにしたり、よくある飯漫画に福本節のエッセンスを加えたグルメ漫画という感じで、ハンチョウ版「孤独のグルメ」といった作風。
それでも十分面白かったけど、回を重ねるごとに大槻、沼川、石和たちのキャラが独り歩きして、原作セリフに頼る必要がないくらい面白くなっていきます。
大槻も変にいい奴になることもなく、相変わらず小悪党のまま。けどそこに愛嬌が加わったことで、見事に愛すべきキャラに昇華しています。
良い意味で原作から離れていって、原作に忠実すぎず、けど原作リスペクトを忘れない作り。ここまで原作を壊さずにキャラが立ってるスピンオフ漫画もそうはないと思う。
トネガワは1巻の面白さが圧倒的だったのに対して、ハンチョウは尻上がりに面白さが増していく感じ。
グルメ漫画から「おじさん日常漫画」へ
初期の『ハンチョウ』は、かなりグルメ漫画寄りでした。
限られた一日外出で何を食べるか。店選びから食べ方まで妙にこだわる大槻を見ていると、とにかく腹が減る。飯テロ漫画として普通に面白いです。
ただ、長く続くうちに沼川や石和、宮本たちとの遊びや会話もどんどん増えていきます。
そして気づけば、飯を食べなくても普通に面白い(笑)。
おじさんたちが集まって、くだらないことで盛り上がっているだけなのに、その時間自体が異常に楽しいんですよね。
今となっては完全に「おじさん日常漫画」です。
初期の「外出→店選び→最高の飯」という構成が好きだった人には、最近の自由すぎる題材は好みが分かれそうですが、個人的には、この変化がめちゃめちゃハマりました。
中でも一番好きなのが、少年時代や思春期など昔を懐かしむノスタルジー回。大槻、沼川、宮本が3人でmixiの日記を読み返す回はめちゃくちゃ面白かった。
大槻たちと世代が近い人ほどシンクロして、「分かるわ~」ってなる回が多いはず。
30代~50代の読者なら、自分でも忘れかけていた記憶の扉をふいに開かれて、エモい感覚に襲われる回がきっとあるはず。
もはやハンチョウにNGなし!
- 気になっていた店の食べ歩き
- 大槻のこだわり料理
- クズたちからより搾取する為の商品開発
- 他班との権利の奪い合い
- 中年旅行
- あるあるネタ
- 時事ネタパロディ
- SF回
などなど、どんどん増え続ける笑いのパターンに飽きを感じる暇がありません。
脳内グルメ首脳会談や、勝手にブルボンのお菓子ドラフト、君の名はのパロディなどやりたい放題のハンチョウ。
グルメはもちろん、旅行、ゲーム、趣味、季節行事、流行ネタまで何でもあり。「いや、それで一話作るの?」という題材まで普通に漫画にしてしまいます。
トネガワはサラリーマンというシチュエーションの中で、ネタをひねり出してた感じだったけど、ハンチョウはとにかく自由。
商品開発の回なんか『こち亀』(秋本治)を読んでいるようです。柿ピーアンリミテッドとか発想が完全に両津勘吉。笑
同じスピンオフでもトネガワとはきちんと棲み分けができてるし、ハンチョウの方が原作読んでなくても楽しめる作品になっています。(もちろん原作読んでた方が100倍楽しい)
今後の期待ポイント・考察
今後の『1日外出録ハンチョウ』に期待することは…特にありません。笑
いや、悪い意味じゃないです。
大槻がなぜ地下に落ちたのかとか、カイジが地下へやって来る直前まで描くのかとか、気になることは一応あります。
でも、この作品に壮大な伏線回収や最終章は求めてないんですよね。
『こち亀』みたいに「今回は何するんだろう」と気軽に読める作品として、ただただ続いてほしい。
飯を食って、遊んで、くだらないことで揉める。それでいい。というか、それがいいんです。
「気付けば何度も読み返してしまう…何度でも…!だから…だからどうか連載だけは…続けてくれ…!灰になるまで…!」
こんな人におすすめ
大人の遊び方を書いた教科書と言っても過言ではありません。
グルメ漫画として紹介されてることが多いけど、実際には大人の休日漫画といった感じ。
平日は仕事、たまの休みは寝て過ごす。そんな「最近、休日をうまく楽しめてないな」という社会人にぜひ読んで欲しい。
昼からビールを飲む。気になる店へ行く。友達と遊ぶ。ちょっと遠出する。
大槻たちの過ごす休日は誰にでも真似できることばかりなんですよね。なのに出来ない自分がいる。だから羨ましい。
地下から出てきた大槻のほうが圧倒的に休日を楽しんでいる。笑
時事ネタも多いギャグ漫画なので、なるべく早めに読むことをおすすめします。
今だけ3巻まで無料(8/19まで)

超えて来た!ワシの予想を遥かに上回る面白さ!これにはワシも大草原www
あとがき
いやぁ、まさか大槻をこんなに好きになる日が来るとは。笑
レビュー書いていて改めて思ったけど、やっぱり僕は最近の「おじさん日常漫画」になったハンチョウのほうが好きだなぁ。
飯を食べなくてもいい。外出しなくてもいい。なんなら地下でくだらない話してるだけでもいい(笑)。
スピンオフなのに、ここまで原作を読んでなくてもおすすめしやすい作品って珍しい気がします。単体のギャグ漫画として普通に面白い。
『カイジ』本編を読んだことないっていう方も、日常ギャグ漫画が好きなら、ぜひ手にとって欲しい作品です。
福本伸行のおすすめ漫画作品ランキングもチェック!
『1日外出録ハンチョウ』は上原求・新井和也が作画を担当していますが、やっぱり忘れちゃいけないのが、この世界を生み出した福本伸行。
『カイジ』はもちろん、福本作品にはギャンブルや心理戦、人間の欲望をこれでもかと描いた漫画がたくさんあります。
『ハンチョウ』から入った人は本家との温度差にびっくりするかもしれませんが、それも含めてぜひ(笑)。
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