『RiN』の感想・レビュー|漫画家マンガの枠を飛び越える異色の青春物語【ハロルド作石】

RiN

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『RiN(リン)』は、漫画家を目指す高校生の伏見の成長物語。

はいはい、ハロルド作石(ハロルドさくいし)お得意の夢を追う若者たちを描くやつね。要するに音楽ではなく、漫画家版の『BECK』。

…と思ったら大間違い!

物語は予想外の方向へ広がっていきます。

漫画家マンガとオカルト要素が複雑に絡み合う異色作『RiN』。その独特な魅力と面白さを紹介します。

あらすじ

高校2年生の伏見紀人には、漫画家になるという夢がある。退屈な学校生活を送りながらも漫画への情熱だけは失わず、夏休みに描き上げた自信作を憧れの漫画雑誌「トーラス」の編集部へ持ち込む。しかし、そこで待っていたのは編集者からの厳しい評価だった。

それでも漫画家になる夢を諦められない伏見は、新人賞への応募を目指して再び作品を描き始める。やがて自分の漫画を評価される一方、同い年ながら「10年に一人の逸材」と評される瀧カイトをはじめ、圧倒的な才能を持つライバルたちの存在を知ることになる。

そんな中、伏見は不思議な力を持つ少女・石堂凛と出会う。漫画家になるため現実と向き合いながら一歩ずつ前へ進む伏見と、どこか謎めいた凛。二人の出会いをきっかけに、漫画家を目指す青春物語は次第に不思議な謎を秘めた物語へと広がっていく。

作品解説

『RiN』は、漫画家・ハロルド作石が描いた漫画家マンガと青春ミステリーを組み合わせた作品。

編集部への持ち込みや新人賞、アシスタント経験、才能あるライバルとの競争など漫画家を目指す現実的な過程を描きつつ、凛の不思議な力や奇祭、伝承といったオカルト要素が絡んでくるのが大きな特徴である。

才能への嫉妬や結果が出ない焦り、自分が本当に描きたいものを見失う苦しさにも踏み込み、単純な成功物語では終わらない。漫画家のリアルと、先の読めない幻想的な物語が同時に進む、独特の世界観を持った作品である。

『月刊少年マガジン』で連載され、全14巻で完結している。

漫画家マンガ?オカルト漫画?ジャンル分け不能な挑戦作!

おすすめポイント・感想・レビュー

ハロルド作石が描く漫画家マンガと聞いたら、読まずにはいられない!…と思ったら、そんな単純な作品じゃなかった!

基本は漫画家を目指す高校生の成長を描く、『BECK』にも通じる夢追い漫画です。

ところが、そこに恋愛、超能力、ミステリー、さらには輪廻転生まで入ってくる。

漫画家マンガとして伏見の成長を追うだけでも面白いのに、凛をめぐる謎まで気になって、とにかく先が読みたくなる。

予想外の展開に話が転がりながら、どんどん世界を広げていく。謎が多すぎて本当に伏線回収できるのか?と心配になるほど。

伏線の扱いや物語の展開が巧妙で、読むほどに引き込まれる作品です。

漫画家を目指す伏見の成長が熱い

漫画家マンガとしては、『BECK』×『バクマン。』といった感じで、とても読みやすい。

クラスでは目立たない男の子が漫画家を目指して成長していくという、わかりやすい夢追い物語なので、スッと入り込めます。

新人賞への挑戦やアシスタント経験、編集者とのやり取りなど、漫画家になるまでの過程もしっかり描かれていて、少しずつ評価されていく伏見を見ていると、こっちまで嬉しくなってくる。

派手な主人公ではないけれど、だからこそ応援したくなる。伏見が漫画家として一歩ずつ成長していく姿は、『RiN』の大きな魅力です。

瀧カイトをはじめとする、『バクマン。』的なライバルとの競争や、友達などの人間関係も面白く物語に絡んできます。

ただの漫画家マンガじゃない!

ここまでなら、漫画家を目指す少年の王道青春漫画です。でも、『RiN』はそれだけじゃない。

不思議な力を持つ凛が登場したあたりから、少しずつ様子がおかしくなってきます。

予知のような能力に、奇妙な夢、奇祭や伝承、ソウルメイト、さらには前世や輪廻転生まで……。

漫画家マンガ読んでたはずなんだけどな(笑)。

しかも面白いのが、漫画家として成長していく伏見の物語と、この不思議な物語が完全に別々というわけではないところです。

序盤では「これ、どうつながるんだ?」と思っていた出来事が、読み進めるにつれて少しずつ意味を持ち始める。伏見が描く漫画にも不思議な出来事が影響していき、現実的な漫画家の世界と幻想的な物語が徐々に重なっていきます。

持ち込み、新人賞、連載争いという現実的な漫画家としての物語に、凛の特殊能力や過去世といったオカルト要素が入り込む。この異色の組み合わせこそ『RiN』最大の個性です。

伏見と凛をつなぐ不思議な縁

物語が進むにつれて、もうひとつの大きな軸になっていくのが、伏見と凛、そしてライバルの瀧をめぐる過去から続く因縁や輪廻転生の謎です。

伏見と凛の関係も、わかりやすいラブコメとはちょっと違います。

かわいらしいヒロインというだけではなく、不思議な力を持つ凛が作品のミステリー部分を担っている。伏見との関係が深まるにつれて「なぜこの二人なのか」が大きな謎になっていくのも面白いところです。

「この二人、いったい何でつながってるんだ?」という謎が、漫画家としての伏見の成長とは別に、続きを読みたくなる大きな要因になっています。

そして物語が進むにつれて見えてくるのが、二人をつなぐ過去と「縁」。

序盤から散りばめられていた不思議な出来事が二人の関係へつながっていくのも、『RiN』の大きな見どころです。

こんな人におすすめ

漫画家マンガが好きな人はもちろん、夢を追う主人公を応援したくなる人、過去生や輪廻転生をめぐるミステリーが好きな人にもおすすめです。

ただ、スピリチュアル的な要素が嫌いな人にはおすすめ出来ないかな?

伏見が見に行くライブで『BECK』のキャラも登場します。

時を超えてつながる伏見と凛
物語の終盤で、伏見と重なる紀王、凛と重なるユリ。二人は過去から時を超え、魂のつながりによって再び出会っていたことが明らかになります。

さらに瀧との因縁までつながっていき、序盤から散りばめられていた不思議な出来事がひとつの物語としてまとまっていく。このあたりはかなりきれいに回収されていたと思います。

ただ、個人的にちょっと惜しかったのが、終盤になるほど物語がオカルトパートへ寄っていったこと。

漫画界の巨匠・沢村叡智が死ぬ前に残した『トーラス』という謎の言葉をきっかけに、漫画家パートとオカルトパートが絡み合っていく展開はすごく良かった。

だからこそ、最後まで二つの要素を絡めながら大きなひとつの物語として見せてくれたら、さらに好きな作品になっていたと思います。

ラストはもう少しじっくり読みたかった
過去生の謎もすべて解き明かされて、漫画家としてはアンケート1位を獲得。なので、騒がれているほど打ち切り感は感じない。

漫画家パートもオカルトパートもそれぞれ面白かったし、物語として大きな決着はついています。

ただ、終盤はオカルトパートの回収が中心になり、そこからラストまではかなり駆け足。

テンポの良さも『RiN』の魅力のひとつだけど、複雑で読み応えのある設定だっただけに、正直もう少し時間をかけてじっくり描いてほしかった。

終わり方が悪かったというより、「もっとこの先を読みたかった」という惜しさが残る最終回でした。

改めてまとめ読みしてみるとやっぱり面白い。

類似作品 こちらもオススメ!

漫画家マンガとしてはやっぱり『バクマン。』(大場つぐみ×小畑健かな?全体的な雰囲気は『バクマン。』と『君の名は。』をかけ合わせたような印象。

過去生を巡る物語は、『火の鳥』(手塚治虫)『スピリットサークル』(水上悟志が好きな人なら大好物なはず。

あとがき

連載時期的にもどうしても『バクマン。』と比べられがちだった印象だけど、あっちとは描きたいものが別な気がする。

漫画家マンガとしてリアルなのに、物語の根っこには思いっきりスピリチュアルな世界があるのが新鮮でした。

漫画家の成長物語を軸として読むか、SFに漫画家要素がある作品として読むかで評価が分かれそう。

ラストに打ち切りっぽさを感じる人もいるみたいだけど、どうなんだろう?最後が駆け足に感じたものの、個人的には終盤までずっと面白かった。

漫画家マンガとしても面白いし、過去生をたどる物語も面白い。ハロルド作石作品の中でも特に読みやすくて何度も読み返したくなる漫画です。

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