「綺麗な画してるだろ…?…これあだち充なんだぜ?」
胸をキュッと締め付けるような青春ものを描かせたら、あだち充(あだちみつる)の右に出る者はいない。
代表作「タッチ」「H2」「クロスゲーム」そのどれもが透き通るような切ない青春もの。
スポーツ漫画が多いのにスポ根マンガには分類されない。もちろん恋愛マンガでもなく、ラブコメでもない。
これはあだち充というジャンルだ!
そして、このあだち充というジャンルが誰にも真似出来ないフシギ。
主人公や登場人物の心理描写を一切文字で説明せずに、風景だけのページや間、行間で演出できる数少ない映像的な表現が出来る漫画家。
マイナーチェンジを繰り返し時代に合った漫画を書き続けるあだち充のおすすめ作品ランキング!
13位 スローステップ
(作品解説)
タッチで有名なあだち充の青春マンガ。
主人公の美夏を中心に3人の男が争うストーリー。
短めのストーリーながらも、アニメ化もされており、あだち充ワールドをしっかり楽しめる。
(感想)
主人公の美夏がやたらと男に好かれて、
結局誰と付き合うのか?という話。
かなり少女漫画っぽい設定だが、
それもそのはずスローステップは「ちゃお」で連載していた漫画。
とは、いえやっぱりあだち充。
雰囲気はずっとさわやか。
OVAの声優がやたら豪華だったな。
いまのろころ少女漫画雑誌で連載した最後の作品。
12位 じんべえ
(作品解説)
あだち充の描く再婚した妻を亡くした男じんべえと血のつながらない娘・美久の愛情を描いたコメディ作品。
重要になってくるのは関係性。
実の親子ではないけどすごく仲がいい、ただ、よく考えると同じ屋根の下に住んでいる男女。
恋愛してもいい?ダメ?あれれ?と読んでいるこちらも親子の愛情を描いているのか男女の愛情を描いているのか分からなくなる。
少しくすっと笑って癒されてドキドキする。
そんな不思議な魅力のある漫画。
(感想)
密度が濃い全一巻。
1巻完結の漫画としてはかなりお得なおすすめ作品。
こういう作品描かせるとあだち充はうまいなぁ。
ドロドロせずにポップでピュアで、でもどことなく重い。
他の漫画家にはこの絶妙な軽さは出せないわ。
不定期連載の短編作品なので、テーマの掘り下げは弱いけど、
ラストの締め方もいい。
あだち充が描くと、その後の続きが読みたいと思わないふしぎ。
娘「美久」ずっと振り回されっぱなしの漫画。
おじさんを惑わせるあだち充作品一番の小悪魔登場です。
11位 QあんどA(キューアンドエー)
(作品解説)
6年ぶりに生まれた町に戻ってきた主人公・厚が見たものは、事故で亡くなった兄・久(キューちゃん)だった。
何をやっても長続きしなかった厚だが、キューちゃんのイタズラで陸上部に入ることになり……!?
あだち充が描く、幽霊が出てくるちょっと切ない物語。
(感想)
また片割れいなくなる設定かと思ったら、
幽霊で登場にはやられた。
その設定の分、いつものあだち充漫画に比べてギャグテイストは強いかな。
いつも通りのあだち充作品として、それなりに楽しめてたけど、
打ち切りだったのかなぁ。
あだち充の漫画は最後をあっさり描くこと多いけど、
あの最終巻の展開はちょっと。
…夢オチ?
10位 陽あたり良好!(ひあたりりょうこう)
(作品解説)
ひだまり荘に下宿している学生たちの友情や恋模様を描いた青春モノの漫画。
陽あたり良好で描かれている、「野球&ラブコメ」スタイルが後に「タッチ」という傑作を生み出した。
発表当初よりタッチが売れてから再評価された作品だけど、あだち充が売れっ子作家となるきっかけとなった漫画。
(感想)
タッチやH2などのわりと有名な作品は少年サンデーから出版されてるけど、
この漫画は”少女”コミックから出ています。
ターゲット層も女子学生って事もあって、
しっかりと「ふんわり爽快青春漫画」に仕上がってます。
一応2部構成なんですが、
第2部は”大人の事情”で無理やり続けた感じはする。
1部の野球中心のストーリーだけでも十分面白い。
9位 KATSU!(カツ)
(作品解説)
あだち充が初めてボクシングをメインに描いた作品。
主人公の活樹とヒロインの香月。
2人の「かつき」がボクシングを通して成長し、青春を送る。
主人公が同じクラスの可愛子ちゃんに近づきたいが為だけにボクシングを始める。
がしかし…。実は彼女は大のボクシング嫌い。さてさて…。
やっぱりキャラはあだち充。
コミカルで、おちゃめで、どこかで見た顔。
(感想)
最後が急ぎ足風に終わってしまって、
思ったより人気が出なかったけど、
普通に面白いし、ボクシングの試合も読んでて白熱する!
そしてなんといっても
ヒロインの水谷香月!
かわいい上に女ながらにボクシングが強くてかっこいい!
自分の中のあだち充作品のヒロインランキングでもかなり上位なヒロインです!
とぼけたキャラクターとは裏腹に、
複雑な家庭事情によるシリアスな設定。
色んな想いを背負って成長していく活樹に胸を打たれること間違いなし!
8位 MIX(ミックス)
(作品解説)
あだち充の代表作タッチのその後の物語。
明青学園の全国制覇から26年、ワケアリ兄弟が再び名青を夢舞台へと導く。
懐かしきキャラクター、懐かしき高校の登場に思わず読者も自分の26年前にタイムスリップする!
(感想)
タッチの続編と言われれば、
仮に「あの漫画つまらないよ」と言われても読まずにはいられない。
とみんな考えるように、連載開始の時には雑誌が町から消えた。
(結果1話がゲッサンの次号にも再掲載、さらには少年サンデーにも再掲載される事態に)
基本的には、明青学園を舞台にした別のストーリーなので、
タッチを読んでなくても問題なく楽しめる。
ただ、ところどころにタッチのキャラクターたちの影が見えるのが、
過去の読者にはたまらない。
あだち充らしい軽いタッチで描かれる小気味のいい試合運び、
何も知らない相手監督、マスク姿で観戦する人々、いつものパターンなのにやっぱり読んでて気持ちいい。
さらに今までは球場にいるヒロインを感じていましたが、
なんと今回は球場に電話がかかってくるだけでヒロインの存在をビビッと感じるまでにパワーアップ(笑)
進化の止まらないあだち時空に巻き込まれます。
7位 ナイン
(作品解説)
青春ものをかかせたらピカイチのあだち充の出世作のひとつ。
足が速い主人公、ちょっとした不純な動機で「野球部」へ。
目的は一目惚れした女の子、中尾百合。
(感想)
少年漫画誌に移ってからは初期の作品。
原作付じゃないオリジナルマンガとしては初めての作品だったかな。
あだち充の絵っていつ見ても変わらないわけだけど、
今読み返すと、流石に最近の作品と比べて絵が荒い。
あだち充の初期作品によくある、優しすぎて優柔不断の男子。
こっちも読んでてなんともこそばゆい。
タッチよりも前の作品なので、
タッチよりもさらに野球以上に恋愛メインの作品です。
(主人公が投手じゃないっていうのも珍しい)
巻数も全5巻と短いので、あだち充の原点ってことで、
ファンにはぜひ読んでもらいたい作品。
6位 みゆき
(作品解説)
同級生の美少女・みゆきに憧れていたら、10年ぶりに再会した妹・みゆきも美しく成長していて・・・
2人のみゆきの間で揺れ動く真人の心!最後はどっちとくっつくのか!
当時マイナーだったのか、お遊びなのか高畑京一郎の小説「タイムリープ」(この作品は全く関係なし)でも登場人物の名前が流用されている。
(感想)
とりあえず鹿島さんがかわいそうすぎる。
真人の為に浪人までしてるのに選ばれないとか・・・
まぁサッカー選手の嫁になれた(かもしれない)から勝ち組かなあ。
でもあれでくっつくのはちょっと無理があるけれども
妹のほうも血がつながってないの最初からわかってたとか改めてみるとけっこう悪女だなぁ。
真人がばれないように頑張ってるのわかりやすかっただろうに。
あとは救われないのは娘をブス扱いされた虎夫婚約者のお父さんとか・・・
あれ、こう書くと救われない話みたい!
いちおうコメディーなのにw
5位 クロスゲーム
(作品解説)
いつものように高校野球と恋愛が中心のあだち充作品。
野球好きの幼なじみの女の子若葉が突然事故でなくなる。
そして若葉の妹、青葉の理想の男は160kのストレートを投げる男。
二人の夢を叶えるため悲しみを乗り越えて努力し成長していく青春野球漫画。
(感想)
小学生時代を丁寧に描いてるのはこの作品が初めてかな?
いろいろごっちゃになってわからなくなる(笑)
最初と最後以外は、そんなに印象に残ってないんだよなぁ。
いつものあだち充作品として普通に面白かったんだけど、
野球漫画なので、どうしてもタッチやH2と比べちゃう。
巻数のせいもあるけど、脇役(特にライバルキャラ)の掘り下げが、
タッチやH2と比べると弱くて印象に残らなかったな。
ヒロインの青葉がまぁ~ツンデレ。
というかほぼツン。
最後までなかなか振り向かないヒロインっていうのは新しかった。
この漫画で一番の演出は最終話が160話で終わるとこ。
4位 虹色とうがらし(にじいろとうがらし)
(作品解説)
あだち充マンガの中ではめずらしい時代物。
未来だけど、江戸時代と良く似た世界で生活している7人の異母兄弟の話。
それどれの母親のお墓参りに行こうと、旅に出た兄弟はなぜか命を狙われるようになる。
(感想)
あだち充の作品としては珍しく、
メッセージ性が強い感じがした。
自然とか環境とか考えてる。
たぶん、連載中に手塚先生が亡くなってるんだけど、
そこに思いをはせる場面にジーンとした。
いつもの現代物のほうが好きだけど、
面白いかと聞かれれば、間違いなく面白い。おすすめ。
3位 タッチ
(作品解説)
高校野球を題材に双子の兄弟、達也と和也そしてヒロイン朝倉南を交えた青春漫画。
第28回小学館漫画賞を受賞
文庫版など総5版で1億部以上を売り上げている。
(感想)
いろんな作品読んで見ても、あだち充の野球漫画はこの作品で既に完成してるんだよなぁ。
スポーツ漫画にありがちの多数のライバルとの対決ではなく、
主人公たち3人の青春ドラマをストーリーのメインに展開にした事で、
スポーツに無縁の読者にも人気がでました。
また兄の和也が事故死するなど明るい画風に合わない展開も面白さを増したポイント。
(有名すぎてネタバレにはならないな、うん。)
当時の野球少年にとっては南ちゃんは最高のアイドルで
「南ちゃん探し」なるものが一部であったほどの人気の漫画です。
古い漫画だからと読んでない人も心配無用。
あだち充の漫画の絵は30年前も10年前でも基本的に一緒。
ちなみにタイトルのタッチの意味は「バトンタッチ」
2位 H2(エイチツー)
あらすじ・作品解説
親友同士の国見比呂(くにみひろ)と橘英雄(たちばなひでお)、そして雨宮ひかり(あまみやひかり)と古賀春華(こがはるか)という2人のヒロイン。
それぞれの名前にイニシャルHがつく、ヒーロー2人とヒロイン2人による野球に恋にと、高校生の青春が詰まった作品。
一度は野球を諦めた主人公の国見比呂が甲子園を目指すと同時に、4人の主要人物による四角関係が同時進行していく。
全34巻とあだち充の中では一番の長編作品。タッチ同様、あだち充の野球漫画代表作となった。
1995年にテレビアニメ化、2005年に主演山田孝之、ヒロイン石原さとみでテレビドラマ化もされている。
タッチと並ぶあだち充の野球漫画の代表作!
おすすめポイント・感想・レビュー
野球漫画としてはタッチやクロスゲームよりもおすすめ。(純粋に野球漫画としてあだち充作品を読む人がいるかどうかは置いといて…)
試合のシーンを淡白に描いたり、野球部分をあえて真面目に描かないのもあだち充の魅力ですが、今作は試合のシーンもだいぶ色濃く描かれてます。
ヒデオの学校は名門校、ヒロの学校は野球部すらない愛好会で、部員集めからのスタートなので、チームメイトのキャラが少しづつ増えていって、だんだんと強くなっていく過程も楽しめます。
恋愛要素も三角関係から四角関係にパワーアップ。笑
タッチの和也がもし生きていたら…が実現したかのような、くっつくと思った二人が結ばれないとか、一筋縄ではいかないリアルな四角関係のもどかしい感じがたまらない。
あだち充の描く恋愛漫画は、いつも簡単に結ばれない壁が立ちはだかる。けど実は血がつながった兄弟でしたみたいな深刻なものではなくて、越えようと思えばすぐにでも超えられる壁ばっかりなんだよね。
登場人物の倫理感だけで壁を成り立たせていて、それを読者に険しい壁だと認識させる説得力。すごい。
タッチ、クロスゲーム、MIXなど他のあだち充の野球漫画を読んで面白かった人は必読の作品。
スポ根の代名詞ともいえる汗臭い感じがないし、絵柄がさっぱりしているので女性でも読みやすい。
タッチに続いて、1作品1殺をかかげるあだち充。笑
ひかりのお母さんが亡くなった時のその悲しみは、比呂としか共有できないという空気感が秀逸すぎる。
涙を流しながらキャッチボールするシーンが泣けます。
恋の決着については、比呂にはひかりを選んで欲しい気持ちもあったけど、比呂には英雄との友情やひかりへの愛より、もうちょっと上のフェーズで野球をしているようにも感じた。
比呂のその先の野球ストーリーがあればもう少しわかりやすかったけど、それを描かないのもまたあだち充の上手いところ。
1位 ラフ
(作品解説)
あだち充と言えば、野球漫画でおなじみだが、このラフは競泳をテーマにした作品。
主人公は和菓子屋のせがれである大和圭介と、そのライバル店の一人娘の二ノ宮亜美。
高校入学後、水泳部に入った二人が紆余曲折を経て惹かれあっていくという、絵に描いたような青春ラブストーリー。
今どきの壁どんタイプの恋愛漫画ではなく少し古風、それでいて王道。
あだち充作品の中でもそのすっきりしたストーリー展開で人気の漫画。
映画化された作品ではタッチと同様に長澤まさみがヒロイン役を演じている。
(感想)
ラフのいいところは読み終わりの爽快感。
特にラストシーン。
告白の仕方のアナログ感が最高!
(と思えるのは一部の世代だけ?)
まあ、今じゃ伝わらんわな。
それでもあだち充好きなら読んで欲しいオススメ漫画。
あだち充の漫画は今現在の作品でも、
ちょっと古い感じを漂わせた王道な青春ラブストーリーって言う感じだけど、
ラフは特に80年代の映画に出てきそうな雰囲気が漂っている。
あー、あー、こちら二ノ宮亜美聞こえますか?…
あとがき
これランキング見直す度に順位変わっちゃうな。
野球漫画とそれ以外の漫画を定期的に描いてるから、年齢によってもランキング全然違うだろうね。
ちゃんと野球をしている野球漫画でありながら、野球を知らなくても楽しめると自信をもっておすすめできるのはあだち充作品くらいかもしれない。
野球漫画の中では個人的にはタッチも好きだけど、H2の方が絵柄の古さがなくて、これから読む人にはおすすめしやすい。MIX完結したらランキングもう一度見なおそ。
似たような漫画が多い、焼き直しとも言われるけど、それでも毎回面白いのがすごい。
「ナレーションにツッコミを入れる登場人物、必ずスレ違う主人公とヒロイン、急に差し込まれるお色気シーン、作者登場、絶賛発売中。」
そんな予定調和を毎回楽しめてしまうのが自分がいる。
好きなヒロインは誰かっていうのもファンの間では定番の話題だけど、あだち充の漫画が好きで朝倉南が一番という人は意外と少ない。
登場人物の顔が似すぎっていうのもよく言われるけど、初期の作品と比べると絵のタッチはだいぶ変わってきてるな。
そんな、手塚治虫のスターシステムを採用しているんじゃないかと噂されるほど、キャラの描き分けが出来ないと言われてるあだち充先生が、アメトーークで「上杉達也はどれだクイズ」に挑戦。
結果、全問不正解…。
「あんなの分かるわけないだろ」とのこと。
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