はっきり言おう!漫画家・新井英樹(あらいひでき)は天才だ。いや鬼才と言ってもいいかもしれない。
でも決して一般受けはしない漫画家。笑
営業マン、国際結婚、犯罪、ボクシング、政治など、描く題材はかなりバラバラ。それでも新井英樹がずっと描き続けているのは「人間」です。弱さも醜さも欲望も隠さず、それでも必死に生きる人間を、とことん生々しく描いていきます。
先の読めないストーリー展開や、確かな画力は言わずもがな、荒々しい絵柄と痛烈なメッセージ性には吐き気すら覚えるほど。
不器用すぎる営業マンを描く『宮本から君へ』、殺人者を中心に社会全体を巻き込んでいく『ザ・ワールド・イズ・マイン』、常識なんてお構いなしの少年を描く『キーチ!!』。どれもクセが強い作品ばかりなのに、ハマる人には恐ろしいほど突き刺さる。
実際に佐藤秀峰や花沢健吾など、新井英樹作品から影響を受けたという漫画家も多いです。
臭いものには蓋をする……なんて言いますが、ちょっとだけ嗅いでみたくなるのが人間というもの。
新井英樹の漫画は、そんな普段なら見ないようにしている「人間の汚い部分」まで、思いっきり蓋を開けて見せつけてくれます。
そんな人間のすべてをむき出しに描く新井英樹のおすすめ作品をランキング形式で紹介します!
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- 15位 8月の光(はちがつのひかり)
- 14位 ピとポとまちながら
- 13位 なぎさにて
- 12位 KISS 狂人、空を飛ぶ(キス、きょうじん、そらをとぶ)
- 11位 ひとのこ
- 10位 空也上人がいた(くうやしょうにんがいた)
- 9位 SPUNK -スパンク!-
- 8位 SCATTER -あなたがここにいてほしい-(スキャッター)
- 7位 キーチVS
- 6位 RIN(リン)
- 5位 SUGAR(シュガー)
- 4位 キーチ!!
- 3位 愛しのアイリーン(いとしのアイリーン)
- 2位 ザ・ワールド・イズ・マイン(THE WORLD IS MINE)
- 1位 宮本から君へ(みやもとからきみへ)
- あとがき
- 新井英樹が好きな人におすすめの漫画家
15位 8月の光(はちがつのひかり)
30秒でわかる作品紹介
『8月の光』は、川間高校ラグビー部に所属する高校2年生・花井たちの青春を描いた、新井英樹のデビュー作です。
海にも行かず、ナンパもせず、夏のグラウンドで汗と泥にまみれながらラグビーに打ち込む男たち。恋愛や仲間との日常も交えながら、二度と戻らない17歳の夏を全力で駆け抜けていきます。
短い作品ながら、とにかく熱量がすごい。後の新井英樹作品にも通じる、感情をむき出しにして生きるキャラクターたちの原点が詰まった青春ラグビー漫画です。
ランキングの理由・推しポイント
第15位は、新井英樹のデビュー作『8月の光』。
作品全体がとにかく熱い!暑いし、痛いし、疲れるし、何のためにやっているのかもよくわからない。それでもラグビーに打ち込む花井たちの姿は、まさに青春そのものです。
「男が!!納得!!いかなくって!!何の得にもならねー事する時には!!悪い事なんか!!ひとつも!!ねーんだ!!どうだ ちくしょお!!」
こんな「!!」だらけのセリフ、初めて見た。笑
後の新井英樹作品と比べると、物語はかなりストレート。同じスポーツ漫画の『シュガー』『RIN』と比べてもだいぶ雰囲気が違います。
政治や社会、生き方や価値観といったテーマまで絡み合っていく後年の作品とは違い、若さや恋愛、ラグビーに打ち込む高校生たちを真正面から描いています。
短期連載のデビュー作らしい荒削りさもあり、今回は15位。それでも、次作『宮本から君へ』につながるような「人間の感情をむき出しにする熱さ」はすでに全開です。
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14位 ピとポとまちながら
30秒でわかる作品紹介
『ピとポとまちながら』は、殺したくないのに暗殺を生業としている男・タケと、妻が残した文鳥との日々を描くシリアスコメディです。
肉親も友人もおらず、唯一心を許していた妻もいなくなったタケ。そんな彼に残されたのが文鳥でした。エサやり、掃除、水浴び、温度管理……文鳥の世話に悪戦苦闘する一方で、殺しの依頼は容赦なくやってくる。
殺し屋と文鳥。あまりにもかけ離れた二つの日常が同時進行していく、新井英樹らしい一筋縄ではいかない作品です。
ランキングの理由・推しポイント
第14位は『ピとポとまちながら』。
まず設定が面白い。殺したくない殺し屋が、妻の残した文鳥の世話をしながら暗殺の仕事を続ける。人を殺す仕事と、小さな命を守る生活。この組み合わせだけでも、今後どう転がっていくのか気になる作品です。
猫や犬ではなく、文鳥というのも面白いところ。正直、文鳥でどれだけエピソードが生まれるのかわかりませんが、そこも含めて今後が気になります。
2026年に連載が始まったばかりで、まだ物語の途中ということもあり、今回は今後への期待も込めつつ、暫定的に14位としました。
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13位 なぎさにて
30秒でわかる作品紹介
『なぎさにて』は、世界各地に猛毒を持つ謎の巨木が出現し、人類滅亡の可能性が現実味を帯びていく世界を描いた終末漫画です。
主人公は、ごく普通の女子高生・杉浦渚。世界の終わりを前にしても、怪物と戦ったり世界を救ったりするわけではありません。渚とその家族を中心に、未来が失われていく中で普通の人々が何を考え、どう生きていくのかを描いていきます。
派手なサバイバルではなく、終末世界の日常に焦点を当てた異色の作品です。
ランキングの理由・推しポイント
第13位は『なぎさにて』。
初めて読んだときは「新井英樹らしくない漫画だな」という印象でした。女子高生を主人公にした終末ものという設定も、それまでの作品とはかなり雰囲気が違います。
面白いのが、世界の終末を描きながら、そこから戦いやサバイバルへ向かわないところ。
現実を受け入れられない人、投げやりになる人、それでも日常を続けようとする家族など、「もし本当に世界が終わるなら普通の人はどうする?」を描いているのが本作の魅力です。
ただ、残念ながら物語は3巻で打ち切りとなり未完。正確には打ち切りが決定したけれど、3巻で畳むのは不可能なのであえて未完として終わらせた作品。
他の打ち切り作品でも、決まった巻数の中でキチッと完結に持っていく新井英樹だけに、『なぎさにて』はまだまだ描きたいことが残っていたんでしょうね。
新井英樹自身も「死ぬまでに描く」と語っている作品だけに、いつか続きが読めるのが楽しみです。
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12位 KISS 狂人、空を飛ぶ(キス、きょうじん、そらをとぶ)
30秒でわかる作品紹介
『KISS 狂人、空を飛ぶ』は、周囲から「狂人」と呼ばれる少年・池内銀河を主人公にした、近未来を舞台とする全3巻の寓話的な作品です。
大きな壁で隔てられた街で暮らすことになった銀河は、学校や周囲の人々とぶつかりながら、自分の目で世界を見ようとしていきます。
「生と死」「本当と嘘」「現実と夢」といったテーマを、独特な色彩や絵による表現も交えながら描いていく、新井英樹作品の中でもかなり実験的な漫画です。
ランキングの理由・推しポイント
第12位は『KISS 狂人、空を飛ぶ』。
この作品で特徴的なのが、ストーリーだけでなく「絵そのもの」で表現しようとしているところ。新井英樹自身、パステルで絵を描く楽しさを知り、「絵と表現したいことをリンクさせたい」と考えたことが本作を描くきっかけだったと語っています。
実際、カラーや絵を前面に押し出した表現も多く、一般的な漫画とはかなり違った読み味。ストーリーを追うというより、銀河が見ている世界や感覚まで絵でぶつけてくるような作品です。
かなりクセの強い作品なので好みは分かれますが、他の漫画家には絶対描けないという意味では、かなり新井英樹度の高い作品です。
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11位 ひとのこ
30秒でわかる作品紹介
『ひとのこ』は、世界一の大富豪・ジェイムズと、イエス・キリストの生まれ変わりを思わせる謎の男・天戸童の出会いから始まる物語です。
ある日、不可思議な天啓を受けたジェイムズは、導かれるように日本へ。一方の天戸は、みすぼらしい姿で街をさまよいながら、常識や価値観を笑い飛ばすような言葉を周囲にぶつけていきます。
宗教、金、社会、幸福、生きる意味までひっくるめて、「人を救うとは何なのか?」を問いかける新井英樹らしい問題作です。
ランキングの理由・推しポイント
第11位は『ひとのこ』。
題材としては、宗教、金、社会、幸福、生きる意味……と、まあ重い。普通なら説教臭くなりそうなテーマばかりなのに、天戸童という男がそれを引っかき回していきます。
そもそも、それって本当に意味あるの?とでも言うように、みんなが当たり前だと思っている価値観を次々とぶっ壊していく。
これだけ重いテーマを扱っていると、とんでもなく暗い漫画になりそうですが、新井英樹自身は『ひとのこ』を前向きな作品として語っています。
絶望すら「もう笑っちゃえばいいじゃん」というところまで持っていく。宗教まで真正面から題材にして、こんな漫画にしてしまう。
宗教漫画とも社会派漫画とも言い切れない、この何とも分類しづらい感じも『ひとのこ』の面白さです。
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10位 空也上人がいた(くうやしょうにんがいた)
30秒でわかる作品紹介
『空也上人がいた』は、脚本家・山田太一の同名小説を、新井英樹が漫画化した作品です。
特別養護老人ホームを辞めた27歳の青年・草介は、46歳のケアマネージャー・重光の紹介で、81歳の老人・吉崎の在宅介護をすることに。それぞれに消えない痛みを抱えた3人の奇妙な関係が始まります。
介護、老い、罪、孤独、そして救い。派手な事件ではなく、普通の人間が抱えているものを静かに描いていく、新井英樹作品の中でも異色の一作です。
(原作:山田太一)
ランキングの理由・推しポイント
第10位は『空也上人がいた』。
まず、原作ものというのに驚き!
新井英樹作品では珍しく、山田太一の小説を原作としたコミカライズです。しかも依頼されて描いたのではなく、新井英樹自身が漫画化を希望して実現したというから、さらに意外。
これまで暑苦しく、荒々しいキャラクターたちの生き様をこれでもかと描いてきた新井英樹が、本作では山田太一の物語を借りて、もっと静かに人間と向き合っています。
本人も今後の作品の「マニフェスト」のような気持ちで描いたと語っています。
実際、この後の『なぎさにて』『KISS』『ひとのこ』『SPUNK』という作品群を見てみると、なるほどなぁと思う部分もある。
新井英樹の作風が変化していく転換点として見てみるのも面白い作品です。
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9位 SPUNK -スパンク!-
30秒でわかる作品紹介
『SPUNK -スパンク!-』は、正反対の性格をした二人の女性・夏菜と冬実が、SMの世界へ飛び込んでいく人間ドラマです。
自分の「好き」にとことん素直な夏菜と、自分に自信を持てず殻に閉じこもる冬実。二人は新人女王様「カンナ」と「冬子」となり、SMの世界でさまざまな人たちと出会っていきます。
題材はかなり特殊ですが、描かれるのは性癖だけではありません。好きなもの、自分らしさ、人とのつながり。笑えて、ときどき切実な、新井英樹なりの人間讃歌です。
(参謀:鏡ゆみこ)
ランキングの理由・推しポイント
第9位は『SPUNK -スパンク!-』。
新井英樹がSM漫画!? もう題材だけ聞いたら、とんでもない漫画になりそうですが、実際に読んでみると思っている以上に読みやすい!
SMの世界を面白おかしく見せるだけではなく、そこに集まる人たちが何を好きで、何を抱えて生きているのかまで描いていきます。
特に面白いのが、正反対の夏菜と冬実。自分の「好き」に一直線な夏菜と、なかなか自分を出せない冬実が、いろんな人間と関わりながらそれぞれ変わっていく。
政治や宗教といった難しいテーマもなく、暗く重いイメージもない。新井英樹作品の中ではかなり明るくて読みやすい作品です。
それでも、ちゃんと人を選ぶ作品になっているのはさすが新井英樹。笑
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8位 SCATTER -あなたがここにいてほしい-(スキャッター)
30秒でわかる作品紹介
『SCATTER -あなたがここにいてほしい-』は、無職で女性に触れることすらできない童貞青年でありながら、異常な性欲を持つ久保ヒカルを主人公にしたSF漫画です。
あることをきっかけに、人間の姿をしたエイリアンが地球に紛れ込んでいることを知った久保。しかも、そのエイリアンを倒すために必要なのが、まさかの精液。性欲の強さを武器に、冴えない男・久保が思いもよらない戦いへと巻き込まれていきます。
下ネタ、エロ、SF、恋愛、アクション。無茶苦茶で何でもありのような設定から始まりながら、次第にヒーローものへと変わっていき、最後には一人の男の成長へとつながっていく、とにかく説明の難しい漫画です。
ランキングの理由・推しポイント
第8位は『SCATTER -あなたがここにいてほしい-』。
ほうほう。なるほど、新井英樹がエロSFヒーローものを描くとこうなるのかと。
…っていうかこのクラスの漫画家が手をだすジャンルじゃないでしょ!まず、エイリアンを倒す方法が精液をぶっかけるって何なんだ。笑
普通のヒーローなら銃や拳で戦うところを、本作では性欲が異常に強く、すぐに精液が溜まる久保だからこそ大活躍。もう設定からして無茶苦茶です。
童貞、精子、精液と、序盤は下ネタ全開。ところが読み進めていくと話はどんどんデカくなり、アクションあり、陰謀ありの、とんでもないところまで連れていかれます。
これだけ好き放題やっていたら普通は収拾がつかなくなりそうなのに、最終的には久保という一人の男の物語としてまとまっていくのが面白い。
新井英樹自身も、本作を自分の作品の中で「たぶん一番まとまりがいい」と振り返っています。
下品で、くだらなくて、なのに壮大。…確かに味付けの濃さに目が行きがちだけど、中身はだいぶストレートなヒーローものなのかもしれない。
7位 キーチVS
30秒でわかる作品紹介
『キーチVS』は、『キーチ!!』から成長した20歳の染谷輝一を描く続編です。
圧倒的なカリスマ性を持つ存在となったキーチのもとには、社会からはじき出された人々が集まり、いつしか巨大なコミュニティを形成。しかし本人は、自分が教祖のように祭り上げられていく状況に違和感を抱き続けます。
社会、政治、金、国家。大人になったキーチが世の中の不条理と真正面からぶつかり、やがてその行動はとんでもない方向へ。前作以上に社会へ踏み込んだ問題作です。
ランキングの理由・推しポイント
第7位は『キーチVS』。
あのキーチが大人になったらどうなるのか? その答えを描いたのが本作です。
相変わらずキーチのカリスマ性は強烈。本人の意思とは関係なく人が集まり、教祖のように祭り上げられていく一方で、キーチ自身は「何かが違う」と葛藤し続けます。
前作以上に政治や社会へ踏み込み、やることもどんどんデカくなっていく。こんな無鉄砲というか、暴走ともいえる行動をここまで真正面から描く漫画はなかなかありません。
最後はどうなるんだ?と一気に読ませる力も健在。
ただ、『キーチ!!』がめちゃめちゃ好きだった分、社会や政治色が強くなった『キーチVS』は当時ちょっと苦手でした。大人になってから改めて読み直すと、刺さり方が違うというか、こっちはこっちで別の面白さがありますね。
『キーチ!!』のシリーズじゃなければもっと素直に読めたと思うけど、これ、主人公がキーチじゃなかったらここまで惹きつけられないだろうしなぁ。難しい。笑
結末も含めて賛否はあると思いますが、キーチという人間の人生を最後まで見届けるなら外せない続編です。
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6位 RIN(リン)
30秒でわかる作品紹介
『RIN』は、『シュガー』から3年後、19歳になった天才ボクサー・石川凛を描く続編です。
プロボクサーとなった凛は、世界タイトルマッチへ挑むほどの選手に成長。それでも性格は相変わらずで、自分の才能を一切疑わず、思ったことはそのまま口にする。そんな凛が、一階級上の世界王者・立石譲司と出会い、二人の因縁はやがてリング上での戦いへとつながっていきます。
タイトルも、名ボクサーのシュガー・レイ・レナードから取った『シュガー』から、主人公の名前をそのまま冠した『RIN』へ。新井英樹自身が「あくまでもリンという人間の話」と語っているように、ボクシングだけでなく石川凛そのものを描いた全4巻の完結編です。
ランキングの理由・推しポイント
第6位は『RIN』。
『シュガー』から3年。世界チャンピオンになっても凛は相変わらずです。
しかも、ただ強いだけじゃなく、リング上では善人も悪人も関係なし。強い奴が強い。そのシンプルな価値観で突っ走る凛だからこそ、ボクシングシーンにも独特の爽快感があります。
普通なら嫌な奴になりそうなのに、圧倒的な才能があるから妙にカッコいいんですよね。
いや、一度でいいからこんな自信満々に生きてみたい。笑
ボクシング漫画としても相変わらず面白く、立石譲司という強烈な相手も登場。全4巻なのでサクッと読める反面、「もう終わり?」という物足りなさもありました。正直もっと見たかった。
ただ、『RIN』は単独作品というより、個人的には完全に『シュガー』とセット。
『シュガー』ありきの『RIN』ということで今回は6位ですが、『シュガー』が好きならそのまま続けて読んでほしい作品です。
あと、凛の壮絶な童貞喪失も必見です。笑
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5位 SUGAR(シュガー)
30秒でわかる作品紹介
『シュガー』は、圧倒的な才能を持つ少年・石川凛を主人公にしたボクシング漫画です。
北海道で育った16歳の凛は、高校を中退し、板前になるため東京へ。しかし、ひょんなことからボクシングと出会い、抜群の運動神経、反射神経、洞察力を武器に、とんでもない才能を見せ始めます。
ただし、性格もとんでもない。人をおちょくり、挑発し、周囲を振り回しまくる。そんなクセの強い天才・石川凛が、プロボクサーへの道を突き進んでいく全8巻のボクシング漫画です。
ランキングの理由・推しポイント
第5位は『シュガー』。
『ザ・ワールド・イズ・マイン』の次にボクシング漫画?
いやいや、読者はもう新井英樹に普通の漫画なんか求めてないでしょ。
……と思ったら、めちゃめちゃ面白い。笑
何より主人公・石川凛がいい!とんでもない才能を持っているくせに、とにかく人をおちょくる。普通なら嫌われそうなのに、なぜかどんどん好きになってしまうんですよね。
『宮本から君へ』が凡人が泥臭く食らいつく話なら、『シュガー』は天才が才能で突っ走る話。
天才を描く漫画家といえば、曽田正人が有名だけど、新井英樹が描く天才も別の味わいがあっていい!
そして驚いたのがボクシング描写。新井英樹の荒々しい絵はスポーツにも合うね。
パンチのキレ、スピード、身体の動きまで迫力があって、普通に「もっと試合見せてくれ!」と思ってしまうレベル。
『ザ・ワールド・イズ・マイン』みたいに、あれこれ考察しながら読む漫画もいい。でも、こんなふうにクセの強い人間が暴れ回る姿を純粋に楽しめる漫画もいい。
『宮本から君へ』や『SPUNK』みたいな、人間そのものが面白い新井英樹作品が好きならおすすめです。
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4位 キーチ!!
30秒でわかる作品紹介
『キーチ!!』は、周囲から問題児扱いされる少年・染谷輝一、通称キーチの成長を描いた作品です。
幼い頃から気に入らないことがあれば手が出る暴れん坊のキーチ。しかし、ある日突然、目の前で両親を通り魔に殺されてしまいます。その後、ホームレスとの生活など壮絶な経験を重ねながら成長していくキーチ。
大人の常識や社会のルールなんてお構いなし。自分が納得できるかどうかで突っ走る、とんでもなく真っ直ぐな少年の生き様を描いた全9巻の物語です。
ランキングの理由・推しポイント
第4位は『キーチ!!』。
もう、とにかくキーチという主人公が強烈。
暴力的だし、言うことは聞かないし、自分が納得できなければ大人だろうがお構いなし。現実にこんな子どもがいたら大変でしょう。笑
でも、その真っ直ぐさにどんどん引き込まれていく。
ホームレスだろうがオカマだろうが関係なし。相手が何者かではなく、自分がその人をどう思うか。逆に納得できないことには、周りが何と言おうと納得しない。
「こんな子どもいるわけない」と思いながらも、「こんな人間がいたらいいのに」と思わせてしまうんですよね。
しかも読んでいると、キーチの無茶苦茶さより、そんなキーチを納得させられない周りの大人たちに自分を重ねてしまう。
新井英樹作品は、決められた世界の中でもがく人間を描くことが多いですが、『キーチ!!』はちょっと違う。キーチが動けば周りが動き、その影響がどんどん広がって、やがて世界そのものが変化していきます。
このあたりは『ザ・ワールド・イズ・マイン』にも近いところ。ただ、あっちが「こんな社会、壊れてしまえ」なら、『キーチ!!』は「そんな社会と、とことん向き合って戦う」話。
社会問題にもどんどん踏み込んでいきますが、やっぱり一番の魅力はキーチそのもの。こいつがこの先どうなっていくのか、それだけで最後まで読ませてしまう漫画です。
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3位 愛しのアイリーン(いとしのアイリーン)
30秒でわかる作品紹介
『愛しのアイリーン』は、42歳まで女性と縁のなかった農村暮らしの男・宍戸岩男と、フィリピン人女性・アイリーンの結婚から始まる人間ドラマです。
結婚を焦る岩男はフィリピンへ渡り、アイリーンを花嫁として日本へ連れ帰ります。しかし待っていたのは、外国人の嫁を認めない母親との衝突をはじめ、一筋縄ではいかない現実。
農村の嫁不足、国際結婚、貧困や差別といった問題を背景に、人間の欲望や愛憎、醜さまでむき出しにしていく、新井英樹作品の中でもかなり強烈な作品です。
ランキングの理由・推しポイント
第3位は『愛しのアイリーン』。
個人的には、新井英樹作品の中でもトップクラスに生々しくてクセの強い作品です。
絵柄だけでも人を選ぶのに、登場人物はとにかく濃い。さらに生々しい性描写や鬱展開まで容赦なくぶち込んでくる。
あまりの生々しさに、正直、最初に読んだときはしんどくなって途中から読み飛ばしてしまいました。
『ザ・ワールド・イズ・マイン』とはまた違った意味で、目を背けたくなる作品。あっちが暴力や惨劇のエグさなら、こっちは人間の欲望や醜さの生々しさ。
ところが、なぜか後になってもう一度読みたくなる。そして読み直しているうちに、今度はどんどんのめり込んでいったんですよね。
人間の醜さ、汚さ、おぞましさを、これでもかというほど見せてくる。それでも、その奥にちゃんと人を愛することまで描かれているから、ただ胸糞が悪いだけでは終わらない。
3位に置いておきながら、万人にはまったくおすすめできない。笑
でも、他の新井英樹作品を読んで「この漫画家、好きだな」と思った人には、ぜひ一度挑戦してほしい作品です。
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2位 ザ・ワールド・イズ・マイン(THE WORLD IS MINE)
30秒でわかる作品紹介
『ザ・ワールド・イズ・マイン』は、殺人と爆破を繰り返すモンとトシ、そして正体不明の怪物「ヒグマドン」が日本中を巻き込んでいくバイオレンス漫画です。タイトルの英語表記「THE WORLD IS MINE」の頭文字から「TWIM」とも呼ばれています。
世間から「トシモン」と呼ばれ、凶悪事件を起こしながら逃亡を続ける二人。一方、北海道では巨大な熊を思わせるヒグマドンが出現し、人間を襲い始めます。
意思を持って人を殺すトシモンと、善悪など関係なく人間を蹂躙するヒグマドン。二つの脅威を中心に、警察、政治家、マスコミ、被害者やその家族まで巻き込みながら、物語は日本全体へと広がっていきます。
過激な暴力の中で、命、善悪、人間、社会まで問いかけてくる、新井英樹作品の中でも圧倒的な熱量とスケールを持った怪作です。
ランキングの理由・推しポイント
第2位は『ザ・ワールド・イズ・マイン』。
人におすすめしづらい新井英樹作品ナンバーワン!笑
好きか嫌いかと聞かれると、いまだに困る。絵は荒々しいし、残虐描写はエグいし、とにかく人が死にまくる。読後に「面白かったー!」とスッキリできるような漫画でもありません。
でも、新井英樹の漫画で一番衝撃を受けた作品を聞かれたら、間違いなくこれです。
しかも、ただ残虐なだけじゃない。殺される側にも家族がいて、仕事があって、ついさっきまで普通に生きていたことまで描くから、一人ひとりの死がめちゃくちゃ重い。
さらにすごいのが、モンとトシだけで終わらないところ。警察官、政治家、マスコミ、被害者、その家族……脇役にまで人生があり、物語がどんどん枝分かれしていく。それなのに全部が「命とは何か」「善悪とは何か」というところにつながっていく。
暴力的だけど哲学的。グロいのに、気づけば人間や社会について考えさせられている。
個人的には傑作というより怪作と呼びたい。
好きか嫌いかでは簡単に決められない。でも、新井英樹という漫画家を語るなら絶対に外せない作品です。
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1位 宮本から君へ(みやもとからきみへ)
30秒でわかる作品紹介
『宮本から君へ』は、文具メーカーに勤める営業マン・宮本浩の仕事と恋愛、そして生き様を描いた人間ドラマです。
不器用で要領も悪く、何をやってもスマートとは程遠い宮本。それでも仕事でも恋愛でも、自分が納得できないことには全力でぶつかっていきます。
序盤は新米営業マンの仕事や恋愛を中心に進みますが、物語が進むにつれてどんどん熱く、生々しく、荒々しい展開へ。
カッコ悪くても、みっともなくても、とにかく全力。そんな一人の男の生き様をむき出しで描いた、新井英樹の代表作です。
ランキングの理由・推しポイント
第1位は『宮本から君へ』。
やっぱり1位はこれ!
自分が新井英樹という漫画家にハマるきっかけになった作品で、何度読んでも宮本の真っ直ぐさがたまりません。
とにかく暑苦しい!読んでるこっちがヤケドしそうな熱量。笑
仕事でも恋愛でも、もっと上手くやればいいのにと思うことばかり。それでも宮本は、自分が納得できるまでガムシャラに突っ走る。
同期の田島に癒やされ、先輩の神保さんに憧れ、そして何より宮本に心を動かされる。
仕事パートも私生活パートもどちらも面白いけれど、前半と後半ではだいぶ作品の色が変わります。
序盤の作風からは想像できないほど、宮本が走り出してからはもうページをめくる手が止まりません。
もちろん、ただの熱血サラリーマン漫画で終わらせないのが新井英樹。
やっぱり面白いのにおすすめしづらいんだよな。笑
『ザ・ワールド・イズ・マイン』ほど壮大でもなければ、『愛しのアイリーン』ほど強烈にクセがあるわけでもない。でも、一人の人間が全力で生きる姿をここまで熱く描いた漫画は、なかなかありません。
大人になると、宮本みたいな生き方は現実にはなかなかできない。それでも読んでいると、「一度くらい、こんなふうに全部出し切って生きてみたい」と思わされるんですよね。
全てを出し切るとはどういうことかを教えてくれた漫画。とにかくこの作品には「全力」が詰まってます!
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あとがき
あなたがランキング1位に選ぶおすすめ作品はどの漫画ですか?
いやぁ、どの作品もとにかく疲れる。読んでてこんなにパワー使う漫画も珍しいです。
しかし何回おすすめできないって書いただろう。笑
それにしても、『SCATTER』以外の作品がすべて打ち切りっていうのも驚き。
どれも打ち切りが決まってからまとめたとは思えないほど、ちゃんと着地させてるのがすごい。
…っていうか、これだけ話題になる作品を何本も描いて、それでも打ち切られまくるって……一般受けしないにもほどがある。笑
どっぷりハマった新井英樹信者が一番好きと言いそうなのは、『ザ・ワールド・イズ・マイン』な気がするけど、個人的にランキング1位はやっぱり『宮本から君へ』。初めて読んだ時の感覚が忘れられない。
この作品に惚れてしまった瞬間から「新井英樹=作家買い」「新井英樹=ハズレなし」という評価が確定しちゃってるんだよなぁ。
そう考えたら自分もすっかり信者ですね。笑
ほんとにハマったら他に代わりが見つからないぐらい魅力的な漫画家です。
正直言うと、新井英樹という漫画家はもっと寿命の短い作家だと思ってました。
描きたいことを全部描ききったら、それで終わりみたいな。だって一つの作品に込めるエネルギーが、とにかくすごいんですよ。
長く続けたとしても岩明均みたいに、それほど多くの作品を発表しないタイプだと思ってたのに、こんなにずっと新たな作品を生み出す漫画家になるとは。
嬉しすぎる誤算です。笑
新井英樹が好きな人におすすめの漫画家
新井英樹自身が影響を受けた漫画家として名前を挙げている永井豪と本宮ひろ志。むき出しの人間を描くところや、理屈より先に熱量がドンと伝わってくるところには、新井英樹作品にも通じるものを感じます。
逆に、新井英樹から影響を受けたと語っているのが佐藤秀峰と花沢健吾。佐藤秀峰の『ブラックジャックによろしく』や花沢健吾の『ボーイズ・オン・ザ・ラン』なんかは、格好悪さも弱さも隠さず人間を生々しく描くところに、その影響を感じます。
そして土田世紀。生前に会ったことはなかったものの、新井英樹が強く意識していた漫画家です。泥臭い人間描写や、登場人物の感情を真正面からぶつけてくる熱さには、やっぱり通じるものがあります。
おすすめしづらいのに、なぜか人には読ませたくなるという意味では、漫☆画太郎も類似漫画家になるかもしれない。笑
合法的に漫画を安く・無料で読む方法!
とにかくたくさんの漫画を読みたい方のために、70~90%OFFで購入する方法や、無料で読める作品など、漫画を安く読む方法を紹介しているのでチェックしてみてください。

