劇画タッチの恐ろしいまでの高い画力で、長年に渡って読者を魅了し続ける漫画家、池上遼一(いけがみりょういち)。クロマティ高校の人(野中英次)ではなく本物の方。笑
最初のデビューは貸本漫画家という、古株の漫画家でありながら、いまだに第一線で活躍し続けています。
商業誌でのデビュー前は、水木しげるのアシスタントを担当。朝ドラのゲゲゲの女房に出てきた絵の上手いアシスタントの二人のうち一人、倉田圭一(窪田正孝)のモデルが池上遼一です。絵うまいはずだわ。(ちなみにもうひとりのアシスタント小峰章(斎藤工)はつげ義春。)
作品ごとにいろいろな原作者とコンビを組んで、原作者付きの漫画作品を多く発表しています。
1980年代頃までは、雁屋哲や小池一夫、工藤かずやなどの原作者の漫画が多かったけど、サンクチュアリ以降は武論尊(史村翔)とのタッグが定番となりました。でも最近では山本英夫や稲垣理一郎など今までとは違う原作者とのコンビ作品も増えてきています。
池上遼一作品の最大の特徴といえば、セクシーかつワイルドなキャラ。色気がある眼。
男性キャラは爽やかかつ狂気を秘めた色っぽさを持ち、女性キャラも匂い立つような色気にあふれています。産毛まで感じられそうな繊細な描画には惚れ惚れすること間違いなし!
美しいアジア人を描かせたら右に出るものはいない!漫画家、池上遼一のおすすめ作品ランキング!
7位 HEAT -灼熱-(ヒート しゃくねつ)
(あらすじ・作品解説)
新宿歌舞伎町にとある男が現れた、その男の名前は唐沢辰巳。
相手が誰であれ立ち向かっていく唐沢に、最初は嫌がっていた人達も魅了され仲間になっていく。
第47回小学館漫画賞受賞した熱い漫画。
(原作:武論尊)
(おすすめポイント・感想・レビュー)
原作、武論尊だけあって熱い男の中の男の話。
どんな相手だろうが怯まず、どんな苦境にも立ち向かう主人公の唐沢辰巳に憧れます。
・・・まぁ実際はこんな男に絶対になれないけどもw
唐沢は名言を幾つも残していて一番好きなのは、
『人間は”武器”を握るのに二つのタイプがある・・・一つは”欲望”のため・・・そしてもう一つは、己の”尊厳”だ!』
正直女性が読んだら「はぁ?」って感じの作品だろうけど、熱い男のロマンが詰まった漫画。
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6位 クライングフリーマン
(あらすじ・作品解説)
主人公の火野村窯(ひのむらよう)は日本人の陶芸家。
しかし、自身の個展会場で中国マフィア「百八竜」の襲撃に巻き込まれ、拉致されてしまう。
百八竜から殺し屋としての才能を見いだされた窯は訓練を受け、「フリーマン」というコードネームを与えられ、百八竜で暗殺者として生きていくことに。
暗殺後、自身の運命に涙を流すことから「クライングフリーマン」と呼ばれるようになった窯の物語。
OVAでアニメ化されている。また、香港で実写映画化、日米共同製作で映画化されている。
(原作:小池一夫)
(おすすめポイント・感想・レビュー)
チャイニーズマフィア「百八竜(ハンドレッド・エイト・ドラゴン)」に無理やり殺し屋にされてしまった陶芸家が、己の運命を嘆き、涙を流しながも刺客として指令を全うしていく。っていう話。
途中からはむしろ百八竜の組織を守る為、襲いかかる別組織と戦うアクションヒーローものになっていきます。
この昨品、登場人物がやたら脱ぎます。所構わず謎に脱ぎます。笑
この時期の劇画昨品の中でもトップクラスに脈絡ない性描写が多い昨品。
恨んでいたはずの百八竜で、トップにまで上り詰め、今度は組織を守る為に戦うようになるフリーマン。
途中からは、悪い組織をやっつける正義の組織「百八竜」みたいになってました。
なんでも、架空の組織として書いた百八竜が、実在する中国マフィア(青幇)で、プレゼントを贈られるなど、実際に小池一夫本人に、百八竜からコンタクトがあったらしく、悪い組織として描くことが難しくなったらしい。
中国マフィアに呼び出された小池一夫の気持ちを考えるとゾッとしますね。そりゃ設定変更するよ。笑
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5位 スパイダーマン
(あらすじ・作品解説)
平凡な高校生ピーター・パーカーは特殊な蜘蛛に噛まれた事でスパイダーセンス、いわゆる蜘蛛の超能力を得てスーパーヒーロー「スパイダーマン」としてニューヨークを守っていく…のは本家マーベル作品のお話。
こちらは東京に住む高校生小森ユウが原作と同様にスパイダーマンとなり親しい人達を守っていくが…。
(原作:小野耕世、平井和正)
(おすすめポイント・感想・レビュー)
池上遼一の手により描かれた日本製スパイダーマン。
最初の内は原作と同じようにリザードやエレクトロと言ったヴィランも出てくるけど、途中からヴィランならまだしもスパイダーマンすら出ない回も登場。コミカライズを通り越して全くの別物へと変貌していきました。
にも関わらず、俗に言う原作レイプと言った扱いを受けること無く「これはこれ」と高評価された作品。
後に各世界、各作品のスパイダーマンが大集結したアメコミ「スパイダーバース」にも登場しファンを驚かせました。
正直スパイダーマンである意味がどこまであったかは疑問。笑
だけどスパイダーマンだからこそ話題になった作品。
後にも先にも類を見ない70年当時の日本が舞台の異色作品。スパイダーマン好きなら読まない理由はない!
4位 アダムとイブ
(あらすじ・作品解説)
舞台は高級クラブで行われるヤクザ達の会合。
突然、門番が倒され、扉が開かれる。そして、部屋には謎の足跡が現れる。
謎の暗殺者とそれぞれが特殊な五感を持つヤクザとの戦い。
はじめは、暗殺者が一方的にヤクザ達を殺していくが、ヤクザ達も少しずつ暗殺者の正体に迫っていく。
(原作:山本英夫)
(おすすめポイント・感想・レビュー)
『ホムンクルス』の山本英夫と池上遼一の漫画家タッグによる一風変わったバトル漫画。
暗殺者の気持ちの悪い存在感はさすがです。
味覚・視覚・聴覚・嗅覚・触覚それぞれの感覚を持つヤクザが戦って、暗殺者の正体が少しずつ明らかになっていくのが面白い。暗殺者不気味すぎます。
舞台が高級クラブの一室と狭いのですが、乱戦ではなく味覚のヤクザが挑戦する回、視覚のヤクザが挑戦する回と区切られていてテンポよく読めます。
どっちを応援するとかでもなく、先が気になって一気に読み切ってしまいました。
ココがおすすめ!
全2巻と短い作品ではありますが、それぞれの漫画家の持ち味が遺憾なく発揮された作品になっています。
池上遼一の「画業55年目…こんな絵は描いたことがないよ!」という宣伝文句どおり、ヤクザと透明人間の戦いという見たこともないような世界観が繰り広げられています!
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3位 信長(のぶなが)
(あらすじ・作品解説)
織田信長、または歴史ものが好きな人は絶対に読んでおくべき名作。
池上遼一が描くしぶい信長は必見。原作はパイナップルARMYで有名な工藤かずや。
信長のエピソードを紹介するように桶狭間や京都上洛などが書かれているため、それぞれの話が歴史的な順番どおりには書かれていないのも特徴。
(原作:工藤かずや)
(おすすめポイント・感想・レビュー)
作品自体は史実に則った基本的な歴史漫画。織田信長の教科書的な漫画です。
とにかくこの漫画の信長はかっこいい。池上遼一が描くと歴史上の人物までとことん美形で色っぽい。
全ての織田信長を主人公にした作品の中でもトップクラスに信長がカッコよく描かれた作品。
ちょっと完璧な人間として描かれすぎている気はするけど、30年近く前の作品だけどいまだ色あせない名作。
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2位 男組(おとこぐみ)
(あらすじ・作品解説)
青雲学園では「神竜剛次」という生徒が学園を支配し学校は無法地帯と化していた。
そこで校長は主人公の「流全次郎」を青雲学園に入れて神竜を打ち倒すよう要求する。
そこから二人の対決が始まっていき、やがて「影の総理」という日本社会の大きな闇も巻き込んでいくお話。
原作は美味しんぼでお馴染みの雁屋哲。
(原作:雁屋哲)
(おすすめポイント・感想・レビュー)
『男組』というタイトルの通り熱量の高い熱い展開のストーリー。
池上遼一といえば、ビッグコミックスペリオールでの連載のイメージがあるけれど、こちらは青年誌に移る前の作品。雁屋哲との作品は全て少年サンデーで連載されています。なので、ストーリーは少年誌向け。(といってもこの当時のサンデーなので今と比べると大人向けですが。)
内容はただ単に学園抗争マンガじゃなくて「権力との戦い」「理想の社会」などのテーマが根底に流れています。
・平等な社会を望む主人公の流全次郎。
・秩序で新しい社会を築こうとする神竜剛次。
二人の激しい対決は、理想的な社会は一体なんなのか?という事を問いかけられます。
最初はただの学園抗争物だったのにどんどん話がスケールアップして、影の総理まで出てきて物語がどんどん壮大になっていくのが面白い。
池上遼一×雁屋哲作品では一番の名作だと思う。おすすめ。
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1位 サンクチュアリ
(あらすじ・作品解説)
表社会は政治家が取り仕切っている。裏社会はヤクザが取り仕切っている。
この腐った日本を取り戻すためには、この二つの世界を牛耳るしかない。
二人の目指すサンクチュアリのために、別々の世界で上り詰めていく男二人の物語。
衆議院議員の秘書を務める浅見千秋(あさみちあき)と暴力団「北彰会」の組長北条彰(ほうじょうあきら)。
接点すら見当たらない2人が閉塞感が充満した日本社会を改革するため壮大な計画を仕掛けていく。
キーワードは「生きる」とは何か?
そして、2人がこの疑問を持ちこの計画を立てるに至った日本社会の本当の問題が明らかになる。
1995年にOVAアニメ化。永澤俊矢、阿部寛主演で映画化もされている。
(原作:史村翔)
二人の男がサンクチュアリを目指して表と裏の世界で上り詰めていく!
(おすすめポイント・感想・レビュー)
画風もセリフも物語もとても男臭い。
けど、とにかくストーリーが最高。一度読むとその世界観にはまってしまうこと間違いなし!ストーリーに引き込まれて、ページをめくる手が止まらない。
ヤクザの世界と政治の世界。関係がなさそうで密接に関係している2つの世界でのし上がっていく2人。
主人公の二人がとにかく、クールでカッコ良いです。
北条彰と浅見千秋の二人が、この腐った日本をどのような変えていくか。爽快感のあるハードボイルドな作品になってます。
武論尊が史村翔名義で原作を担当した全作品をランキングにしても1位2位に好きな作品。
また、この作品に出てくる渡海というキャラは池上遼一作品の中でトップクラスに魅力的なキャラクターです。
初めての池上遼一作品にもおすすめの名作漫画。
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ヤクザになるか政治家になるか…。
ジャンケンで役割を決める二人がカッコ良すぎる!
あとがき
あなたがランキング1位に選ぶおすすめ作品はどの漫画ですか?
ランキング1位は「サンクチュアリ」。たまに好みに合わない時もあるけど、なんだかんだいって池上遼一×武論尊のタッグが一番好き。
本人が「リアルな絵で荒唐無稽な話をやりたい」と言っている通り、そのリアルな画風からは想像できないような、ぶっ飛んだストーリーの作品も多いですね。
劇画タッチで、ヤクザやアウトローな世界がテーマの作品も多いので好き嫌いは分かれるかもしれないけど、面白い作品だらけなので、読まず嫌いせずに読んでみてほしい。
もはや貴重になってしまった現役劇画家。今後こういう劇画タッチの絵を見ることはどんどん減っていくんだろうな。
1つの長寿作品を長く描き続けている大御所はいるけれど、次々と新作を発表しながら、いまだにメジャー誌で連載を続けている化け物漫画家。私生活でも70歳を過ぎて「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」にハマって同人誌を描いたりと、まだまだ創作活動がとどまるところを知らない様子。
今後も体調に気をつけて面白い作品を描き続けて欲しい。
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