鬱漫画というジャンルでおすすめな作品は?といったら鬼頭莫宏(きとうもひろ)は外せない漫画家だろう。
俗に言うセカイ系の鬱漫画の代表的作品といえば、「最終兵器彼女」が有名(実際には絶対的王者としてエヴァがいるけどあれはアニメのほうが有名なので)。だけど鬼頭莫宏の作品も一般的な知名度こそ及ばないが、漫画好きの間では有名な鬱マンガ。
鬱漫画と言われるマンガは他にも「ミスミソウ」や「ヒミズ」など数あれど、描く作品がことごとく鬱漫画ランキングにエントリーしてくるのはここ数十年の漫画家だと鬼頭莫宏ぐらいだろう。
代表作は「ぼくらの」「なるたる」。どちらもアニメ化されているが、とくに「なるたる」はハートフルボッコ作品として有名。
一見すると可愛らしい絵柄を描く漫画家ですが、油断してはいけない。その作品にはグロ描写や鬱展開がてんこもり。ジメジメした雰囲気ではなく、どこかドライな書き方で描くのも特徴的。ある意味読者を突き放すタイプ。
そんな鬱展開全開の鬼頭莫宏作品をランキングにまとめてみた。
5位 なにかもちがってますか
(作品解説)
主人公の中学生、日比野光(ミッツ)の超能力と、それを利用して世直しを行っていこうと目論む一社高蔵(イッサ)を中心とした物語。
それなりに重く、読み応えはあるが、割とどんな人にも読みやすい内容。
(感想)
なるたるを救いようのないくらい異常な鬱漫画としたら、こちらはSFが混じった思春期の中学生の青春ストーリーという感じ。あの「なるたる」「ぼくらの」の作者なんだからそれなりの覚悟をして読まないと・・・と思って読んだ人はきっと、あれ?と拍子抜けしてしまうような爽やかさ。
なにかもちがっている。
人を殺せるほどの能力をもってしまったら、どうするか。ということなんだろうけど、中学生らしく、中二病全開の理論を展開するイッサ。それに巻き込まれるミッツ。なのに、全体的に爽やかさが漂う。デスノートやデストロイアンドレボリューションのような、葛藤が異常なほど少ないのだ。
最後は何事もなく、日常に戻っていく主人公たち。まさに青春!という感じ。っていっても結構主人公たちだいぶ人殺しちゃってるんだけど。
何かがもちがっているw
さらっと登場人物に恐ろしいこと言わせちゃったり、そういうところは鬼頭莫宏だなあと感じるんだけど。全体的に、最後は打ち切りかと思うほどあっさりとしめたなぁ。謎は残らなかったけど、もっと掘り下げられただろうにと思う。
中学生の極端な倫理観の中でのもちがった世直し。
重々しくなく淡々と進んでいくストーリー。
鬼頭莫宏の作品はこの淡白さにむしろ黒さや怖さを感じるんだけど、今回はさすがにイッサがギャグにしか見れなかった。「なるたる」や「ぼくらの」が好きな人にはおすすめしないけど、とてつもなく読みやすくあっという間に読めるので気になったなら。
4位 のりりん
(作品解説)
イブニングで連載されていた自転車が題材の漫画。
自転車嫌いで車好きの主人公「丸子 一典」が免許取り消しにあい自転車に乗らざるを得なくなってしまう。
それから少しずつ自転車の魅力に目覚めていく。
(感想)
鬼頭莫宏の作品ということで、今回も『なるたる』や『ぼくらの』のようにドロドロした漫画かとおもいきや、爽やかな自転車が題材の作品。
毛嫌いしていた自転車を乗っているうちに、いつしか自転車がある生活が日常となっていくのが見ていて楽しい。
3位 ヴァンデミエールの翼
(作品解説)
ヴァンデミエールというロボットの女の子が、自分を束縛するものからの解放を目指すストーリー。
一話完結型だがどのストーリーも、別人のヴァンデミエールという女の子が主人公で、話の軸は同じ。
(感想)
舞台はおそらくヨーロッパのどこかなんだろうけど、異世界のような世界観。しかも意思を持ったロボット(というより見た目は人形?)が主人公で、自由を目指すストーリーというだけあって、すごく不思議な独特な雰囲気がある。
さすが鬼頭莫宏作品だけあって、もちろんすんなり自由を獲得できるわけはなく・・・。どのストーリーも結構えげつない展開ばっかり。そして哲学的な要素もあり。
雰囲気だけ楽しむ分にはいい作品だと思う。ファンタジーや独特な世界観が好きな方におすすめ!
2位 なるたる
(作品解説)
この作品は表紙と内容のギャップがありすぎる鬱漫画として超有名。
主人公である、ごく普通の明るい小学生の女の子が未知の生物に出会うところから始まる物語。
しかし騙されてはいけない。読み始めは楽しいファンタジーかと思いきや、話が進んでいくうちに・・・。
いじめや教育、家庭問題、性犯罪など、色々な社会問題にも突っ込んで描かれている。
(感想)
この作品は連載中に作者の鬼頭莫宏が鬱だったことで有名。
それを知ってから読むと、内容から鬼頭莫宏の精神状態がバンバン見えてくる・・・。
とにかく表紙からは想像できないくらいグロい。といってもよくあるグロさが売りの漫画とはひと味違う。
描写をしない、想像させるグロ。見えないからこその気持ち悪さがあって、ほんとに気分悪くなる。グロ耐性のある自分でもキツかった・・・。
作者の鬼頭莫宏が鬱だったと言われてるだけあるなーと思ったのが、主人公が友達と楽しくおしゃべりするシーンも、人が死ぬシーンも、全部一定のテンションで描かれてるってとこ。いや、喜怒哀楽でいったら、「喜」と「楽」の部分なんてこの作品にはほとんどないんだけども・・・。
読後のモヤモヤ感もぜひ楽しんでほしい。
そのモヤモヤ、3日は続くよw
メンタルの強い人限定!!超キケンなので必ず心が元気な時に読むように!落ち込んでるときに読むと死にたくなるからw
1位 ぼくらの
(作品解説)
自然学校に来ていた14人子供たち、「敵と戦い地球を守る」というゲームに軽い気持ちで参加の契約を結ぶ。
しかし、そのゲームは自分の死と地球の運命がかかった戦いであることを誰も予想していなかった。
2007年にアニメ化もされた、衝撃作。
(感想)
鬱マンガランキングでは「なるたる」の方が評価高いけど、おすすめの鬼頭莫宏作品ならやっぱりこっち。
初めてこの作品を読んだ時の衝撃はすごかった。
いつ自分が戦う順番が回ってくるかわからない恐怖感。ジアースで戦って勝ったとしても、待っているのは自分の死という絶望感。それに中学生という若さで挑まなければならないこと・・・・。
ココペリのいやらしさには、本当に殴ってやりたい気持ちになるwそして、14人の中にもココペリ側の人間がいることが分かったりと、全員が団結しているわけじゃないのが、群集劇としていい。
アニメ版よりもマンガ版の方が断然好き。だけど、アニメ版のオープニング「アンインストール」は本当に神曲!!聞くだけでくら~い気分にさせてくれるw。
ロボットものだと思って見てない人はもったいない。人間ドラマとしておすすめ。ただの鬱マンガじゃない。いろいろ考えさせられる作品。
あとがき
良かったら好きな作品教えて下さい!
ランキングまとめてみて、新しい作品ほど下位に並んじゃったのは寂しいな。もう「ぼくらの」のような絶妙なバランスの傑作は出てこないのかなぁ?
こっち系のジャンルで複数作品描いてて、今も勢いある漫画家って誰かいるかな?同じセカイ系の漫画家としては岡本倫が一緒にあげられるけど、岡本倫は似てるようで鬼頭莫宏作品とはちょっと違うんだよな。エログロ方向が強い。ギャグ作品としても普通に読めるし。絵が下手なところはよく似てるけど(笑)
ジャンル違うけど、淡々とした残虐描写とかセリフ間のとり方とかは岩明均の方が似てるかもしれない。
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