筋肉モリモリのヤクザ漫画も描けるし、科学で文明をゼロから再建する少年漫画も描ける。そんなふり幅モンスターみたいな漫画家、正直そうそういません。そう、「Boichi(ボウイチ)」です。
写実的な肉体描写とガチすぎる科学描写、その両方をあの密度で描いてくるあたり、まじで「画力の暴力」って言いたくなるレベル。
Boichi作品の魅力は、一言で言うとジャンルも国境も飛び越えてくる画力とオリジナリティ。アクション、SF、ラブ、バトル、なんでも描ける。しかもどのジャンルでもBoichiらしさがちゃんとある。しかも韓国でキャリアを積んでから日本に渡ってきた人で、ジャンルだけじゃなく国の壁まで軽々超えてきた漫画家なんです。
もちろん魅力は絵だけじゃありません。会話のテンポ、コマの見せ方、キャラの感情描写まで抜群にうまい。ギャグも泣きも表情ひとつで伝えてくるあたり、キャラが生きてる感がすごいんですよ。セリフがなくても伝わる場面、多すぎです。
たとえば、ギャングの戦いを描いた『サンケンロック』、近未来アンドロイドSFの『ORIGIN』、原子×科学サバイバルな『Dr.STONE』。ジャンルもノリも全然違うのに、どれもちゃんとBoichi節が効いてて全部おもしろい。
そんなジャンルの壁も感情のふり幅も、まるごと描き切る漫画家、Boichiのおすすめ作品を今回はランキング形式で紹介していきます。
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ORIGIN(オリジン)
あらすじ・作品解説
漫画家BoichiによるSFアクション作品『ORIGIN』は、週刊ヤングマガジンにて連載された全10巻完結の漫画。
作品舞台は2048年、鉄道網の発達により繁栄する東京。その裏で暴走するアンドロイドによる凶悪な事件が続発する中、人間に擬態する高性能アンドロイド「オリジン(田中仁)」は、同型機を排除しながら企業に潜入し、人間社会での在り方や「生きる意味」を静かに模索していく。
Boichi特有の緻密な作画と物理演算に裏打ちされた戦闘描写が、近未来の都市と無機質な機械生命体の対比を際立たせ、リアリティと緊張感を高めている。
2019年には第22回日本メディア芸術祭マンガ部門でグランプリを受賞し、2023年にはハリウッドでの実写映画化が発表された。
構想力と演出力が融合した本作は、漫画家Boichiの作品群の中でも特に密度の高い完成度を誇っている。
おすすめポイント・感想・レビュー
- Dr.STONEを読んで稲垣理一すげえって思ってた人。
- Boichiを上手いけどクセ強な作画担当ぐらいの印象しか持ってなかった人。
『ORIGIN』を読んで度肝を抜かれること間違いなし! 原作付き関係なくこんなに科学的な漫画を描けるすごい漫画家なんです。
Boichiといえば緻密な画力と爆発力ある構図のアクションですが、『ORIGIN』ではそこに哲学やSFの要素が加わり、生きるとは何かという問いが中心に物語が展開していきます。
命令で動く存在が、なんとかして自分なりの生き方を見つけようともがく。その姿が妙にリアルで、しかも切ないんですよ。誰にも頼れず、でも決して諦めない。そんな孤独と強さが同居する主人公オリジンに、気づけば感情移入してしまいます。
Boichiの画力が凄まじい!バトルも日常も説得力抜群
とにかく画がすごい。戦闘シーンの迫力もさることながら、背景や静かな場面にもとんでもない描き込みがあって、まるで映画を観ているようでした。
金属の質感、爆発の重力感、ちょっとした表情の動きにさえ説得力がある。ここまで描いてくれるなら、そりゃこっちも真剣に読むしかないよね、って感じです。
何度でも言おう!この作品は作画担当ではない!
Dr.STONEで作画を担当していたBoichiですが、じゃあ『ORIGIN』は?と思ったら、これ全部Boichiのオリジナルなんですよね。原作付きじゃなくてここまで科学描けるのすごくない?
ロボットの思考や行動、戦い方や感情の起伏までがロボットとしてのロジックで説明されているのがすごい。
行動に無駄がなくて納得しかない。もはや科学と哲学のミックスジュースでした。
ロボットの「モノローグ」で進む物語が新鮮
バトル描写がうますぎて忘れそうになるけれど、基本的はバトルよりもオリジンの心の動きに重きをおいて描かれています。
オリジンというロボットの心の声(モノローグ)を中心に物語が展開するのが面白い。すべての行動に対して、ロボット的な思考で説明されていて、その思考がすごく論理的で科学的。
オリジンって感情がないんです。でもあるように見える。むしろ人間より人間らしい瞬間すらある。
合理性を追求してるはずなのに、なぜか孤独や迷いにぶつかって、それを乗り越えていく。
その過程がものすごく丁寧に描かれていて、「あ、このロボット、ちゃんと成長してる」と思える。こういう視点のSF、もっと増えてほしい。
こんな人におすすめ
SF作品ですが、『攻殻機動隊』(士郎正宗)とか『AKIRA』(大友克洋)とか『銃夢』(木城ゆきと)とかハード系サイバーパンクが苦手な人でもおすすめできる作品。
世界観的には現代日本の延長線上にあるので、とても読みやすいです。バトルよりも心の動きに重きを置いた作品を読みたい人、胸がぎゅっとなる人間ドラマが好きな人に刺さる作品だと思います。
『クリリンのことかー!』的な王道展開ではありますが、広瀬マイの死がオリジンの感情が生まれるきっかけになる展開はやっぱり熱い。
それまで演算だけで動いてたオリジンが、自分の中の何かに気づく瞬間が良かった。
しかもそれをセリフや表情で描き分けるBoichiの画力と演出力が本当にすごい!
打ち切りじゃないと思うんだけど、終盤の展開が少し駆け足だったなぁ。フェルミ様の正体が結局なんだったのか、その辺スルー気味だったのが惜しい。どっかで語られてた?
全体としては十分に満足感あるラストでした。
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まるで感情があるみたいな表現を、感情がないけど感情があるように振る舞っているという状態で成立させるって…どうやって描いてるんだBoichi。
あとがき
あなたがランキング1位に選ぶおすすめ作品はどの漫画ですか?

『Dr.STONE』でBoichiを知ったっていう人も多いと思うけど、『ORIGIN』を手に取ったら、こう思うはず。「え、この2つ同時期に描いてたの!?」って。
しかも両方週刊連載、両方フルパワー。冷静に考えても、意味がわからない(褒めてる)
元々は韓国で漫画家として活動していて、日本でここまで存在感放ってるのほんとにすごいことなんですよね。 『Dr.STONE』のように、原作と組んで作画を担当してる作品も多いけど、どれもBoichiらしさで溢れてる。あれだけの個性を出しながら、「原作殺し」にならず、ちゃんと作品のバランスを壊さないって地味にすごいことだと思います。
長編も面白いですが、SF短編系も本当にいい作品ばかりなので、読んだことない人はそちらもぜひ。
まだBoichi作品を読んだことない人は、まずは万人向けな『Dr.STONE』からがおすすめです。少年誌的な王道展開と科学の面白さがちょうどいいバランスで詰まっていて、入り口としてぴったり。その後『ORIGIN』、そしてSF短編へと進めばもうすっかりboichi沼です。
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