現実の社会をリアルに描きながら、そこにホラーやファンタジー要素を上手くプラスしてくる。
巧みなストーリー構成で魅せる漫画家「筒井哲也(つついてつや)」
「多重夢」「ダズハント」などの作品をウェブ上で無料公開したことで有名になり、漫画家デビュー。
国内だけでなくフランスから高い評価を受けており、単行本もいくつか発売されています。
絵柄はスタイリッシュでとにかくかっこいい。作風と絵柄が見事にマッチしてる。
人間の醜さ、汚さを描くのがうまくて、ストーリー構成が巧み。最後にあっと驚くような展開のある魅せるストーリーも面白い。
社会の闇・日常とファンタジー・被害者と加害者など、重いテーマを鋭い視点で描いてくれる、漫画家「筒井哲也」のおすすめ作品ランキング!
4位 DUDS HUNT(ダズハント)
作品解説
エクサムから紹介されたダズハントというゲームにのめり込む男が主人公「ナカニシ」の物語。
元々はウェブ上で連載されていた漫画で、後にスクウェア・エニックスから単行本として発売される。
1巻なのにしっかりまとまった短編サスペンス!
感想・レビュー
ダズハントというゲームの設定がまず面白い。
殺伐とした空気がかなり魅力的で心惹かれる。
主人公のナカニシが根っからの悪人というのもいい。正義じゃない主人公だからこそのストーリーになっている。
実際にこんなゲームがあったらかなり問題になっているし、現実的ではない。そのはずなのにリアリティさを感じるところもすごい。
最近の作品と比べると多少の絵の粗さはあるけれど、それでも十分すぎるほどの画力。上手い。
こんなのがネット漫画で無料で見れたら話題になっただろうなという感じ。
この頃から犯罪者を題材にした作品が始まってるんだなぁ。
今読むと、似たような漫画も多いし、設定の古さは感じるけれど1巻の作品としてはおすすめ。
正直、エクサムの正体が被害者の娘っていうのは途中で気づいちゃうんだけど、自然な流れで前もって伏線を張っていて上手い。回想と現実時間が少しずつリンクしていくのもいい。
町中でなぜこんなゲームが出来るのかという部分も、不発弾処理(犯罪者処理)というオチでタイトルの説明をしつつ、しっかり回収。
3位 多重夢(たじゅうむ)
(DUDS HUNTに収録)
なんとも言えない読後感!アイデアに脱帽!
感想・レビュー
これもダズハントと同じく、WEB漫画としてネット上で無料で公開されていた作品。
映像だったらもっと上手く表現出来るのに…っていう作品は多いけど、漫画でしかできない表現が詰め込まれた作品。
わずか数ページの短編なんだけど、1回読んだだけじゃ全然理解できなかった…。
怖い!そして不思議!
登場人物が実は岩倉F子だけだと理解するのに何回か読み直した。(ヨシアキのパートでわかりにくくなってる。)
多重人格を絵のタッチの違いで表現してるのがすごい!
2位 マンホール
完成度の高いサスペンス・ホラー
感想・レビュー
筒井哲也作品としては珍しいバイオホラーもの。
そういえば子供の頃、マンホールって不気味で怖かったなぁ。
冒頭から一気に物語に引き込まれてラストまであっという間に読めちゃう。
いざ読んでみると、寄生虫「フィラリア」の怖さ・気持ち悪さを描きながらも、事件の被害者と加害者の善悪を問いかける、筒井哲也らしいサスペンスホラー漫画だった。
バイオホラーとしても十分に怖い!
「蚊」の大量発生のシーンは、実際の痛さ・痒さを想像できるだけに気持ち悪かった。
刑事モノとしても普通に面白い。溝口、井上のコンビが魅力的。
前作「リセット」のキャラがゲスト出演しているので、読んでる人にはニヤッとできる場面も。
全体的に重いテーマで、グロテスクな描写もあるのでそれが苦手な人にはおすすめしない。グロ描写が平気な人にはぜひ読んで欲しい作品。
短い巻数でデカイ話をまとめるのが上手すぎる!
サイコパスと思いきやしっかりとした復讐心をもった確信犯。
これだけの設定を思いついていながら3巻でまとめちゃうのがスゴイ。自分だったらもっともっと引っ張りたい。20世紀少年くらい広げちゃいそうだ(笑)
- 感染が日本中に拡大する恐怖を演出しながら、実際には水際で処理。
- 蚊の恐怖を描きつつも、作中の舞台は冬。
だったり、風呂敷を広げすぎない。だからうまくまとまっていて完成度が高い。
漫画の中でもたったの1週間のお話になってます。
もう少し掘り下げてほしかったなぁという気持ちもあるけれど、無駄な引き伸ばしよりはずっといい。
ただ、後半の犯人が黒川だと判明するシーンや、喜多嶋が万能すぎたり、ちょっと駆け足だったかなぁ。そこまでの過程が丁寧だっただけに。
1位 有害都市(ゆうがいとし)
作品解説
今作は表現の自由が奪われた世界の恐怖を描いている衝撃作。
何でも規制したがる現代社会へ警鐘を鳴らす。
「有害都市」舞台は2020年、世間では”浄化運動”と称し、有害な表現の排除が活発化していた。
漫画家である日比野幹雄は自らの作品と表現の自由をかけ、規制を強める社会に対し戦いを挑む…。
実際の経験を元に描く、表現規制のディストピア!
感想・レビュー
ちょっとしたエロシーンやグロシーンもダメ、人殺しなんてもってのほか。
規制、規制、何でも規制。
表現の自由とは何か、すごく考えさせられる内容。
漫画家の表現規制を扱った作品だと、「アウターゾーン」で似たような話あったなぁ。最近だと「図書館戦争」なんかもそうかな。
でも筒井哲也の描く世界はとんでもなく現実的。
実際に日本やアメリカであった表現規制。そして筒井哲也自身が長崎県から受けた「マンホール」の有害図書指定。
「悪書追放運動」や「白いポスト」。「有害図書の認定方法」など、実際に起こったことをモチーフに作られているので、リアリティがすごい。
ここまでありそうな世界をどこまでもリアルに描く筒井哲也がスゴイ。
主人公が描く作中漫画「DARK WALKER」の連載の進み具合と共に、少しづつ社会から追い詰められていく漫画家の対比が面白い。テンポもよくてサクサク読める。
単純な面白さだったら他の作品の方がランキング上だけど、こういう新しい表現見せてくれる作品は大好き。
漫画を愛する人にはぜひ読んでもらいたいおすすめの一冊!
ただ他の作品と比べると、筒井哲也の主張が全面に出ている作品なので、メッセージ性の強い作品が嫌いな人にはオススメしない。
良くも悪くも主観的。
漫画家、出版社の人間は良く描かれすぎだし、規制する側はあからさまに嫌なやつ。もうこれでもかっていうくらいの嫌悪感(笑)
最終話では長崎の平和祈念像が燃やされてるし。もう筒井哲也の感情がバンバン乗ってる感じ。
単純な漫画としての面白さは上巻までかなぁ。下巻は特に主張が強い。
未来への希望を残しつつ、現代ではバッドエンド。でも読後感は悪くない。
あとがき(まとめ)
あなたの中のランキング1位は?
ランキングにしてみると、長期連載作品がないのに印象に残ってる作品が多いなぁ。短い作品ばかりなので人にオススメしやすい。
漫画作品なんだけど、小説とか映画的な実際に起ってもおかしくないような作品ばっかり。画力も高いからさらに、世界観に説得力がある。
どの作品も映画化やドラマ化されておかしくない感じ。
似たようなところだとミュージアムの巴亮介なんかが近いかなぁ。
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