繊細で美しい絵柄とトーンワークが魅力の漫画家といえば、そう「きたがわ翔」!
わずか13歳で『別冊マーガレット』に投稿してデビューを果たし、少女漫画から青年漫画まで幅広いジャンルで活躍している漫画家です。
ラブストーリーを織り交ぜたヒューマンドラマや青春ものを得意分野にしていたが、2000年前後からは「池袋ウエストゲートパーク」などコミカライズも手掛けるようになります。
繊細なタッチでキャラクターの感情を繊細に描く天才。キャラクターの感情がリアルに伝わる描写に、どの作品も、ページをめくるたびにキャラクターが生きているかのようなリアルさに引き込まれるはずです。
今回は、そんな幅広い魅力を持つ漫画家、きたがわ翔の名作の数々を、おすすめ順にランキング形式でご紹介します!
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2位 ホットマン
(あらすじ・作品解説)
元不良で、現在は美術教師をしている主人公の降矢円造(ふりやえんぞう)。ジャンレノに似ているため、エンゾと呼ばれている(映画「グランブルー」でジャンレノが演じた役名)。
会社ではサザエさんと呼ばれている長女の志麻(しま)、高校生の次女・ひなた、双子の中学生、灰二(はいじ)と龍之介(りゅうのすけ)。
父親の違う5人の兄妹。そして長男・円造の娘でアトピー性皮膚炎に悩まされている七海(ななみ)。
降矢家6人の家族愛と成長を描いた作品。
2003年、2004年に反町隆史主演で2期に渡ってテレビドラマ化された。
(おすすめポイント・感想・レビュー)
七海が本当に可愛くて、アトピーがひどくなった時が見ていて辛い。円造が七海のアトピーに振り回され、悩む姿も辛い。
印象に残っているのは、七海のために神経質になってしまう円造が大事なことに気が付くシーン。
円造が七海にすることは全部愛情ゆえの行動だけど、食事や衛生面以上に精神的なことが、七海のアトピーを悪化させていたとわかるシーンは、母親無しでアトピーの子を育てる難しさがよく描かれています。
他にもひなたと灰二の逃避行エピソードにもドキドキ。だけど、美人な姉に血の繋がりがないと知り異性として意識してしまうのは、思春期のせいだと教えたい。
志麻の恋人の件など、全体的に不幸な振矢家だけど、円造の愛の強さで帳消し。
やはり人の幸せは、愛なんだと思わせてくれる作品。
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1位 19〈NINETEEN〉(ナインティーン)
あらすじ・作品解説
『19〈NINETEEN〉』は、きたがわ翔が描いた青春恋愛漫画で、1988年から1990年に『週刊ヤングジャンプ』で連載された作品。
19歳の大学生・久保田一至(くぼたかずし)が初恋の相手でモデルの藤崎雅菜と再会するところから始まる。
雅菜との再開を機に、自身の恋愛や人間関係に向き合いながら成長していく。
1980年代末の東京を舞台に若者たちの日常や恋愛模様をリアルに描いた青春群像劇で、繊細なタッチと時代を感じさせる当時の東京の雰囲気が特徴的。
1990年にはOVA化され、2017年にはファンのクラウドファンディングにより完結編『19 FOREVER』が出版されている。
おすすめポイント・感想・レビュー
初期の作品ではあるけれど、きたがわ翔といえばやっぱり『19〈NINETEEN〉』と言う人も多いんじゃないでしょうか?
1980年代末の渋谷を舞台に、19歳の久保田一至の恋愛や成長を描いた物語。
都会的でお洒落な雰囲気に、懐かしさと普遍的な感動が詰まった名作青春漫画です。
少女漫画から移ってきたばかりということもあって、初期は少女漫画っぽさが残る作風、絵柄になっているのも特徴。
居そうでいない主人公、久保田一至
この時代の恋愛漫画の主人公って、羨ましいけど憧れない。そんな見ててイライラするタイプの主人公が多いイメージ。
だけど一志の場合は、煮えきらない優柔不断な性格を持ちながらも、同時に男臭さも併せ持つ珍しい主人公だったと思う。
大人の世界への憧れ
初恋の藤崎雅菜を初め、千夜ちゃん、瀬川さん、以杏と、次々と登場する魅力的なヒロインたち。
一人の女性を追い続けるわけでも、三角関係を繰り返すわけでもなく、これまで恋愛経験のなかった一至が、自分を変えようと様々な女性と出会い、右往左往しながら成長していく姿には、共感せずにはいられません。
タイプの違う女性たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく一至の恋愛模様が、とてもおしゃれで面白い。
19歳という年齢が持つ微妙な立場を見事に表現してくれています。
脇役キャラの存在感が光る
草野や田口団長など、ナインティーンは脇を固めるキャラも魅力的。
登場人物それぞれにドラマがあって、一至に影響を与える彼らの言葉が、物語を深くする重要なエッセンスになっています。
中でもなんといってもやっぱり店長のキャラが忘れられません。店長とのエピソードは、心に響く名シーンとして記憶に残っている読者も多いはず!
こんな人におすすめ
この時代の恋愛漫画やラブコメ作品は、絵の古臭さや考え方の違いなど、現代に即していない部分もあって、今読んでも絶対に面白いとおすすめできる作品は少ないけれど、『NINETEEN 19』は今でも高校生におすすめしたい。
当時の渋谷が舞台で、時代を色濃く反映した作品ではあるけれど、今読んでもおしゃれで、中高生が抱く大人への憧れが詰まっています。
やっぱり店長と一至のエピソードが印象的。
病気で先が長くない店長の苦悩と、その店長にどう接したらいいかわからず距離を置いてしまうと一至たちが切なかった。
考えてみれば、1980年代という時代背景の中で、ただのオカマキャラではなく、BLやLGBTの苦悩を描いた作品としても珍しいマンガですね。
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大学生って、大人って、こんな感じかな?そんな憧れが詰まった名作!
あとがき
あなたがランキング1位に選ぶおすすめ作品はどの漫画ですか?
なんだかんだいってもランキング1位はやっぱり『19〈NINETEEN〉』。
久々に読み直してみて、少年ジャンプからヤングジャンプを買うようになった頃、一時期きたがわ翔作品を読み漁ったことを思い出しました。絵がめちゃくちゃ上手いし、キレイだしで、ヤングジャンプの中でも明らかに浮いてる印象だったなぁ。
ストーリー的に暗くなりすぎない頃の作品が好き。
単行本の間や巻末のおまけのようなコラムコーナーも、音楽やら映画やら、きたがわ翔の趣味全開で楽しかったなぁ。
アナログ技術を活かした緻密な描写は、デジタル全盛の時代だからこそなおさら唯一無二の存在感です。
きたがわ翔に大御所感をあんまり感じたことはありませんが、だいぶ若くしてデビューしたのですでに漫画家歴40年以上なんですね。今でも、定期的に原画展やウェブ配信など、読者と交流できる場を開催してくれています。
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