今回は漫画家、藤田和日郎(ふじたかずひろ)作品!
- 天才ストーリーテラー
- 天才的感情表現
- 泥臭い絵
- ダサカッコイイセリフ
- コマに収まらない迫力のある絵
もう好きな漫画家すぎてナニを書けばいいかわからない。
自分では「ただのはげたオッサン」なんて言ってるが、こんなに人の心を揺さぶるハゲはいない!
少年漫画の王道ともいえる、主人公の成長ストーリーを凄まじく魅力的に描く作家だと思う。
絵が汚い?
一作読めばあの泥臭い絵がきっと好きになる。藤田和日郎のオスス作品ランキング!
9位 ゲメル宇宙武器店(げめるうちゅうぶきてん)
(作品解説)
独特のSFな世界観!
地球が突然怪獣に襲われたとき高校2年のオカノ・コースケは食いかけのあんぱんと、空き瓶にいっぱい貯めてた1円玉を持って飛び出した。
こんなもん何に役立つんだと思いきや、宇宙武器店を営むゲメルは「アルミニューム」が大好き!
どうにかコースケをそそのかして武器を買わせて稼ぎまくろうとする!
(藤田和日郎短編集 暁の歌(あかつきのうた)に収録)
(感想)
からくりサーカス連載中の読切作品。
からくりが重めなせいか、全編通して軽い。ギャグ要素が強い。強すぎる。
なので、これが連載作品だったらおすすめは出来ない。藤田和日郎ギャグって基本的にノリとテンションと勢いだもんね。
長くは見れないが、読切なら全然OK!
さらに特筆すべきは、有名漫画家がスペシャルサンクスとしてメカデザインで参加していること。
河合克敏の描くSFメカなんてなかなか見れるもんじゃない!
村枝賢一の描く武器(これは見れそうだなw)に、安西信行も参加(まさに師弟共演)!
他にもおなじみのアシスタント、井上和郎や片山ユキヲなどなど、違った意味でも楽しめる作品。
8位 空に羽が…(そらにはねが)
(作品解説)
ジャンルとしてはファンタジー。
中東っぽいイメージの、とある町が舞台。
女王が「天の火」っていう何やらすごい力を持っていて、自分の贅沢のために人々から税をたくさん取ってたりするんだけど、民が刃向かうと力を使って町を一瞬にして消し炭にしちゃう。
そんな世界で戦う男の話。
(藤田和日郎短編集 暁の歌に収録)
(感想)
うしおとからくりの間に描いた読切作品。
藤田和日郎の作品で剣と魔法の世界っていうのは珍しいんじゃないかな。といってもそこをメインでは描いていないけれど。
暁の歌に収録されてる作品は夜の歌と比べると、万人向けではない作品が多い感じ。
でも短編作品どれも、本当に好きなこといろいろ描いてる感じが伝わってきて好き。
物語的にはちょっとあっさりしてるかな。
7位 瞬撃の虚空(しゅんげきのこくう)
(作品解説)
ヤングサンデーに掲載された藤田和日郎の短編。
掲載当時の90年代半ばの若者が主人公だけど、生活の感じは戦後の昭和のような雰囲気がある。
パツキンの綺麗なネーちゃんが来て、一緒に住んでるじーさんが実はすげー、そんなお話。
(藤田和日郎短編集 暁の歌に収録)
(感想)
うしおととらが終わって、からくりサーカスが始まる前の読切作品。
「クルマがどーした、いい女がどーした、おめーらつまんねーよ」と思いながら退屈な日々を過ごしてる主人公の淳一。
冴えない父母と、シワシワの祖父と4人で暮らしているが、実はじーさんはとんでもない身体能力の持ち主だった!
ざっくり言うとじーさんと孫の物語。
読切で短いんだけども、その中でも見える淳一の成長具合と、家族を守ろうとするじーさんが後半に行くにつれてどんどんかっこよくなっていくんだよね。
じーさんを元に作られたレーベンフック少佐との戦いのクライマックス、少佐がやられるところが見開きでバーンと書かれてるんだけど、個人的にはその次のページのじーさんの顔が表情が最高に痺れる!
短編集の最初の収録作にふさわしい 、じーちゃんカッコイイっていう藤田和日郎の鉄板パターン。
邪眼に近いといえば近いかな。
6位 美食王の到着(ガストキングのとうちゃく)
(作品解説)
2003年最高傑作の短編ストーリーと名高いこの作品。
舞台台本風の口調で書かれてて、アラビアンな雰囲気。
ガリグール王は若い女を食べるのが好き。
やらしい意味ではなく、本当に食べる。
魔法の包丁で細麺にしてちゅるちゅるっと食べる。
王に姉を食べられたイーズーンの復讐物語。
(藤田和日郎短編集 暁の歌に収録)
(感想)
からくりサーカス連載中の作品。
イーズーンが復讐する話なんだけど、物語の重要人物である美食王(ガストキング)のコミカルな可愛い顔が話を軽くしてる。
暁の歌の中ではランキング1位。虚空も好きだけど、その後に邪眼描いちゃったから。
「人が泣いてる横で食べるごはんはおいしくない。」
5位 月光条例(げっこうじょうれい)
(作品解説)
何十年かに一度、「おとぎばなしの世界」の中に訪れる、不思議な現象。
青い月光の光を浴びてしまうと、登場人物に異変が起こる。
青い光を浴び、おかしくなってしまった登場人物を正常に戻すことができるのは、月光条例(ムーンストラック)を行うことができる執行者。
執行者に選ばれた岩崎月光は、飲み込んだものを武器にできる、鉢かづき姫と共に、月光条例を執行し、青き月光でねじれた『おとぎばなし』を、猛き月光で物語を元に戻していく。
(感想)
好きなおとぎ話が登場するとなんだか嬉しかったな~。
他の作品に出てきたキャラが出てきたり、こういうのって懐かしくなるんだよね。
設定もストーリーも全部好きなんだけど、もっと面白くなった気がするっていうのが正直なトコロ。これも週刊連載で読んでた人はきつかっただろう。
充分面白かったんだけどね。前2作とどうしても比べちゃうな。
青い鳥の話がどんどんいろんな物語とつながっていく流れはすごい好き。
4位 双亡亭壊すべし(そうぼうていこわすべし)
あらすじ・作品解説
大正時代から存在する幽霊屋敷『双亡亭』を中心に展開するモダンホラー作品。
自衛隊の空爆でも傷ひとつ付かない双亡亭に、世界中から霊能者や科学者が集結。
美術大学を卒業したばかりの売れない画家の主人公「凧葉務」は、そんな双亡亭の破壊を巡る人ならざる者との戦いに巻き込まれていく。
数々の怪現象が起こる双亡亭の謎を突き止めることはできるのか。
おすすめポイント・感想・レビュー
幽霊屋敷を壊す物語ということで、連載当初は黒博物館シリーズのように短編で終わる作品だと思っていて、単行本が出てからまとめ読みしようと連載を追うのをやめてしまった作品。
まさかこのテーマでこんなに長期連載になるとは。
内容的には『うしおととら』の世界観に近いけれど、妖怪とはまた違った怪談的な怖さ、不気味さが詰まった作品です。
戦わない主人公
藤田和日郎の長期連載作品で主人公が戦えないキャラというのは初めてじゃないかな?
相変わらずのど派手な戦闘シーンの数々。そんな派手な部分を凧葉ではなく、周りのキャラが全て担っているのも珍しい感じ。
予想外のスケール!
予想を超えるスケールの大きさ!
双亡亭を壊すというシンプルなストーリーによくもまあこんなにも設定を盛り込んだものです。初めは小さな出来事から始まった物語が、どんどんとスケールが広がっていく展開はさすがの一言。
ホラー、科学、SFと多岐にわたるジャンルが絶妙に融合し、物語はやがて宇宙規模に!
過去一くらい大きなスケールの物語でありながら、その全てが双亡亭という建物の中だけで完結しているのがすごい。
ここがおすすめ!
作品のテーマ的にホラー要素の説明を丁寧にする必要があったり、主人公の凧葉が戦えないキャラというのもあってか、『双亡亭壊すべし』は他の作品と比べてトップギアに入るまでの導入部分が長く感じました。
だけど、相変わらず中盤から最終回へ向かう流れは完璧。疾走感あふれる物語はダレることなく、最終回まで一気に読ませてくれます。
今回も読後感は最高です。
竹久夢二を元にしたという坂巻泥努というキャラはとても良かったものの、魅力ある悪役が少なかった印象。
一番のボスである双亡亭自身が、何の感情も持たないないという設定だったので盛り上がりにかけてしまったのが残念。
ほら、やっぱり藤田和日郎作品は面白い!と改めて思った作品。
3位 邪眼は月輪に飛ぶ(じゃがんはがちりんにとぶ)
(作品解説)
『うしおととら』、『からくりサーカス』を書いた『藤田和日郎』の短編漫画。
年老いたマタギ:杣口鵜平と眼で見たものを死に至らしめる”邪眼”を持つフクロウ:ミネルヴァの対決の物語。
2000年初期の東京が主な舞台となっており、ミネルヴァが現れたため大変なことに!
“邪眼”はテレビなど映像を通してその視線に晒されただけでも死ぬため、テレビに放映されたことによって被害拡大!!
がんばれ鵜平とその仲間たち!!!
銃の専門家が協力として参加しており、銃などの兵器の描写が細かく丁寧で、単行本巻末の後記でフクロウの生態も詳しく書いてあり、非常に練りこまれた作品。
(感想)
無駄のないストーリー、テンポの良さ、キャラクターの描き方、メッセージ性、圧倒的な迫力と緊迫感。
本当に素晴らしい。
テロの頻発する中東某国でミネルヴァを放つことを企てるアメリカさんのせいで、東京に放たれることになり、自国に被害が及ぶ前に東京を爆撃しようとするところなど、実際にミネルヴァが現れたらありそうな筋書きだなと非常に感心しました。
主要キャラクターも魅力的で、短編であるに関わらずキャラ立ってる。
文句なしにおすすめ。このボリュームの漫画をもっと読みたいと思える。
藤田和日郎作品が好きで、購入を検討している方は安心して手にとってよし!
2位 からくりサーカス
(作品解説)
人を笑わせないと死ぬ男、笑うことができない美女、大きなスーツケースを持った子供。
日本で出会った三人には、遠い昔、遠い国での因縁があった・・・でも、運命は自分で変える!
自動人形を破壊する使命とは?自動人形の頂点に立つフランシーヌ人形に隠された、ある兄弟の因縁とは?
からくり人形を軸に描かれるアクション。
錬金術や中国武術など、エキゾチックな世界観にも注目!
(感想)
ダメだ。藤田和日郎作品は語ろうとすると長くなりすぎる(笑)
うしとらと比べると難解。正直サンデーで追うのは途中で挫折した。
コミックで一気読みがオススメ。
広げに広げた風呂敷を何が何でも畳んでくるのは流石。
矛盾点とか言われてるけど、他の漫画と比べたら完成度が高すぎる。(浦沢直樹にこの能力がもう少しあれば…w)
ただ、長い作品だけあって、中だるみも多少あったな。
最初の善治の屋敷から仲町サーカスの流れはまだ入れたけど、真夜中のサーカス決戦から正二の回想の後の黒賀村編はきつかった。
読んでるこっちが気持ちを立て直すのに時間がかかる。
その前の話を盛り上げすぎなんだよな。でもそこが最高だから困る。
あと、藤田和日郎は自身のキャラをホントに愛してるのが伝わってくる。うしおととらに比べると本当の意味での脇役も出てくるけど、終盤での脇役へのスポットの当て方が異常。
パンタローネとアルレッキーノで、あんなに感動させられるとは思わなかった。
その分鳴海に少年漫画的な魅力が、どんどん無くなっていったのは寂しかった。(設定上しょうがないけど)
この漫画読んで以降、自分の中で、ルシールは全ての漫画史上最もかっこいいババアランキング1位に永遠に輝いている。
とにかく読まないのはもったいない。
絵柄苦手?
だいじょうぶ。
必ず期待を裏切ってくれる。(いい意味で)
1位 うしおととら
(作品解説)
獣の槍を持つ少年「潮」が封じられていた妖怪「とら」を相棒にして、様々な仲間と出会いながら大妖怪「白面の者」と戦うお話。
少年漫画の王道をいく熱いマンガ。
(感想)
好きすぎて、なにをどう書いたらいいのかわからないくらい好きな作品。
あらすじだけ見ると、本当にただの「妖怪退治」マンガになっちゃうけど、そこはそれ!さすがの藤田和日郎です。
からくりサーカスをおすすめ漫画に挙げる人も多いけど、漫画家、藤田和日郎が好きなら、間違いなく見なくてはいけない作品。
30巻を超える漫画でありながら、全ての伏線を回収し、一度もダレることなく終わるのはホントにスゴイ。
どのシーンがおすすめと言えない作品でもある。
全てのエピソードが最終話に続いていて、33巻で1つの映画のような作品だから。
浦沢直樹にははぜひこのストーリーのたたみ方を見習ってほしい(笑)
終わるタイミングもこれ以上ないという感じで、大好きだけど続編は見たくないと思えるような完璧な終わり方。
完全に終わった。
と思えた漫画はうしおととらくらいかも知れない。
一度アニメになったけど、当時はよっぽど万人受けする漫画以外はOVA化が精一杯だったから、テレビアニメ化にはホントに歓喜!
寄生獣のように変なリメイクせずに、藤田和日郎の絵まんまで作ってくれたことにも感謝。
ジョジョにうしとら、寄生獣。
深夜アニメ様様だわ。
あとがき
あなたの選ぶ漫画家「藤田和日郎」の最高傑作は?
ランキングにしたものの、藤田和日郎の作品はやっぱりどれもオススメ。
絵の汚さで受け付けない人は可哀想だ。
絵が汚い。ダサい。古臭い。
全てその通り!だがそれでも読んで欲しい。
まあ、うしおが鎧で強くなった時には、さすがに「ダサっ」ってなったけどねwあれも、藤田和日郎ならではの味ってことで。
長編もいいけど、ランキングまとめてみると、藤田和日郎は短編もスゴイ上手い。
藤田和日郎と言えば、他の漫画家との交流が深いことでも有名。ゲメル宇宙武器店に登場した漫画家はもちろん、燃えよペンでの島本和彦なども有名。
藤田組とも呼ばれる元アシスタントとしては、雷句誠(金色のガッシュ)、安西信行(烈火の炎)、井上和郎(美鳥の日々)など、現在プロとして活躍している漫画家が多数。
藤田和日郎の漫画では、制作に関わったアシスタントのページを載せることが多いので、昔のコミックスを振り返ると、どのアシスタントが描いたシーンかがよく分かり、それもまたコミックスを読み返す楽しみの一つ。
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