漫キン−漫画家別おすすめ作品ランキングhttps://mangakarankings.com漫画家別におすすめ作品をランキング形式で紹介しています!Mon, 07 Sep 2026 13:51:32 +0000jahourly1【鬱漫画といえばこの人!】鬼頭莫宏のおすすめ漫画作品ランキング!https://mangakarankings.com/282https://mangakarankings.com/282#respondMon, 03 Oct 2016 15:59:17 +0000http://mangakarankings.com/?p=282

鬱漫画でおすすめの作品は?と聞かれたら、鬼頭莫宏(きとうもひろ)は外せない漫画家でしょう。 一見すると繊細で可愛らしい絵柄を描く漫画家ですが、油断してはいけません。その作品にはグロ描写や鬱展開がてんこもり。『なるたる』『 ... ]]>

鬱漫画でおすすめの作品は?と聞かれたら、鬼頭莫宏(きとうもひろ)は外せない漫画家でしょう。

一見すると繊細で可愛らしい絵柄を描く漫画家ですが、油断してはいけません。その作品にはグロ描写や鬱展開がてんこもり。『なるたる』『ぼくらの』に代表される、容赦のない展開と独特の後味で知られる漫画家です。

また、「間」の使い方もうまい。セリフで全部説明するのではなく、表情や視線、沈黙、何気ない会話でじわじわ感情を伝えてくる。細く繊細な絵柄と淡々としたテンポも相まって、静かな場面ほど不穏だったり、ちょっとした優しさがやけに沁みたり。この独特の空気感がクセになります。

…と、まあどうしても鬱漫画と呼ばれる作品の紹介がメインになってしまいますが、その一方で趣味漫画とでもいうべき、まったくテイストの違う作品も描いています。

『なるたる』では少年少女と異形の存在を通して人間の危うさを描き、『ぼくらの』では巨大ロボットものを命がけの選択の物語へ。そして『のりりん』では一転、自転車の楽しさや人間関係をじっくり描いています。作品の振り幅はかなり広いのに、どれを読んでも「あ、鬼頭莫宏だ」と感じる作家性の濃さも魅力です。

しんどい。切ない。そして、読み終わってもなかなか頭から離れない。そんな読後までズシンと残る鬼頭莫宏のおすすめ作品をランキング形式で紹介します!

9位 双子の帝國(ふたごのていこく)

30秒でわかる作品紹介
『双子の帝國』は、戦艦が空を飛び、光国と大陸が争う架空の世界を舞台にした戦争ファンタジーです。

主人公は、漂泊の民「空霞」の生き残りである少年・ガウ。触れた者を死に至らしめる謎の少女・フアとともに、彼女の呪いを解くため、死滅したとされる魔法使いを探す旅を続けていきます。

空飛ぶ軍艦や戦闘機、魔法が入り混じる独特な世界観に加え、民族や戦争といった重いテーマまで描かれる、鬼頭莫宏らしいSFファンタジーです。

ランキングの理由・推しポイント
構想10年というだけあって、とにかくスケールがでかい。空飛ぶ軍艦や魔法、民族同士の対立など、さまざまな要素が詰め込まれています。

ただし、残念ながら物語が大きく動き始め、世界の全貌も少しずつ見えてきたところで止まっています。

面白くなりそうな要素はたっぷりあるだけに、いつか続きが読みたいですね。

8位 なにかもちがってますか

30秒でわかる作品紹介
『なにかもちがってますか』は、超能力を持つ中学生・日比野光(ミッツ)と、その力を使って世直しをしようとする転校生・一社高蔵(イッサ)を中心に描くSF漫画です。

「間違ったことをする人間は排除すればいい」というイッサの極端な考えに巻き込まれ、ミッツは超能力を使った世直しに手を貸すことに。

中学生らしい危うい正義感や倫理観を、どこか淡々とした空気で描いていくのが特徴です。

ランキングの理由・推しポイント
あの『なるたる』『ぼくらの』を描いた作者なんだからそれなりの覚悟をして読まないと…と思って読んだ人はきっと、あれ?と拍子抜けしてしまうような爽やかさ。

やっていることだけ見ればかなり重いはずなのに、なぜか妙にあっさり読めてしまう。不思議な作品です。

イッサの「世の中の間違いを正す」という理屈が、頭でっかちな中学生らしさ全開。そこにミッツが巻き込まれていくんですが、殺人まで扱っているわりに重苦しくありません。

鬼頭莫宏の作品って、この淡白さにむしろ黒さや怖さを感じるんだけど、今作はそこまででもなかったかな。

ただ、個人的には終盤もかなりあっさり。もう少し掘り下げてほしかったところもあり、今回は8位にしました。

全5巻と短く、鬼頭莫宏作品の中でもかなり読みやすい一作です。

7位 終わりと始まりのマイルス(おわりとはじまりのマイルス)

30秒でわかる作品紹介
『終わりと始まりのマイルス』は、万物が宙に浮かぶ不思議な世界「オービスワーヌス」を舞台にしたファンタジー漫画です。

主人公は、物に宿った「炁(き)」を祓う炁祷師(きとうし)の少女・マイルス。巨大な戦艦から人の姿へと権化した炁神・ギカクと暮らしながら、さまざまな炁物(きぶつ)にまつわる出来事に関わっていきます。

独特な世界設定と、マイルスとギカクのにぎやかな日常。その裏側にある生と死まで描かれる、ちょっと不思議なファンタジーです。

ランキングの理由・推しポイント
万物が宙に浮き、人の思いが物に宿って「炁物」になるという独特すぎる世界観。巨大戦艦が人の姿になったギカクをはじめ、鬼頭莫宏の想像力がこれでもかと詰まっています。

ただ、『終わりと始まりのマイルス』は、掲載誌の休刊によって長らく続きが単行本化されず、未完に近い状態になっていた作品。

2024年には単行本未収録だった200ページ超に122ページの描き下ろしを加えた完全版が発売され、ようやく物語にも一応の区切りがつきました。

もっとこの世界を見ていたかった気持ちもありますが、ひとまず形になってくれたのはうれしいところ。でもやっぱり、「とりあえず着地点まで描きました」という感じは否めません。

この物語を122Pでまとめちゃうのは、やっぱりもったいない。

6位 のボルダ

30秒でわかる作品紹介
『のボルダ』は、23歳の会社員・森下藤子を主人公に、ボルダリングの楽しさや奥深さを描いたスポーツ漫画です。

2日に1回はジムへ通うほどボルダリングにハマっている藤子。壁に設定された「課題」に挑みながら技術を磨き、ジムで出会った人たちとの交流や恋愛を通して、その世界を広げていきます。

競技で頂点を目指すというより、趣味としてボルダリングを楽しむ人たちの日常が中心。初心者にも分かりやすく、その魅力をじっくり教えてくれる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
『のりりん』に続く、人が死なない平和シリーズ第二弾。笑

こちらも、鬼頭莫宏自身の趣味と経験をもとに描かれた作品ですね。

派手な大会やライバルとの勝負ではなく、ボルダリングそのものの面白さを、かなり丁寧に描いています。

全4巻と短めですが、しっかり完結しているので、鬼頭莫宏の趣味漫画を気軽に読んでみたい人にもおすすめです。

5位 殻都市の夢(かくとしのゆめ)

30秒でわかる作品紹介
『殻都市の夢』は、かつて存在した巨大な「外殻都市」を舞台に、そこで暮らす人々の物語を描いたSFオムニバスです。

妻の過去まで独占しようとする男、人ならぬものを愛した男、生きた書庫として禁制の本を所蔵する少女など、エピソードごとに主人公は変わりますが、舞台となる世界は共通。

さまざまな愛の形や生と死、人間の危うさを描いていく、鬼頭莫宏らしさの詰まった作品です。

ランキングの理由・推しポイント
一話ごとに物語は独立していますが、すべて同じ「外殻都市」を舞台にしているのが面白いところ。

しかも、もともと第1話は読切として描かれた作品。それが同じ世界やキャラクターを使って描くうちに「外殻都市」シリーズとなり、最終的に『殻都市の夢』という一つの作品にまとまったという、ちょっと変わった成り立ちをしています。

相手を思う気持ちが執着や狂気へ変わったり、人ではない存在を愛したりと、なかなか一筋縄ではいかない。SFの不思議な世界観の中で、人間の愛や生と死を描いていく鬼頭莫宏らしい作品です。

オムニバスですが、世界観が統一されているので、一話ずつ独立しながらも作品全体としてつながりを感じられるのもいいところ。

鬼頭莫宏のSFと人間ドラマをギュッと味わえる一作です。

4位 ヴァンデミエールの翼(ヴァンデミエールのつばさ)

30秒でわかる作品紹介
『ヴァンデミエールの翼』は、魂を宿した自律人形「ヴァンデミエール」を主人公に、自由と自立をテーマに描いたSFファンタジーです。

物語は一話完結型で、それぞれ異なるヴァンデミエールが登場。人形でありながら自らの意思を持つ彼女たちは、自分を縛る創造主や境遇から解放され、自由に生きることを求めていきます。

異国情緒のある世界と、飛べない翼を持つ人形たち。幻想的な雰囲気の中に、残酷さや生と死まで入り混じる独特な作品です。

ランキングの理由・推しポイント
『殻都市の夢』が「外殻都市」という場所を軸にしたオムニバスなら、こちらはヴァンデミエールという人形を軸に描かれるオムニバス作品。

なんといっても、この作品は雰囲気がいい。

異世界のような街並みに、意思を持って動く人形、そして背中には飛べない翼。そんな不思議な世界の中で、ヴァンデミエールたちが自由を求めていくという設定が、なんとも独特です。

もちろん鬼頭莫宏作品なので、「自由になりたい!」「はい、なれました!」なんて簡単な話ではありません(笑)。結構えげつない展開も多く、その中で自由や自立、生きることについて描いていきます。

ちなみに本作は鬼頭莫宏の連載デビュー作ということもあって、線も細く、人物の描き方にも今よりクセがあるので、最近の作品の感覚で読むと少し取っつきにくさはあるかもしれません。

ただ、そのちょっと一般的ではない絵柄が、人形や異世界のような本作の雰囲気には妙にハマっています。

ストーリーを追うだけでなく、この不思議な世界観や雰囲気にどっぷり浸かって読むのもおすすめ。ファンタジーや少し哲学的な漫画が好きな人には、かなりハマる作品だと思います。

3位 のりりん

30秒でわかる作品紹介
『のりりん』は、自転車嫌いの28歳・丸子一典(通称ノリ)が、ひょんなことからロードバイクの世界へ足を踏み入れていく自転車漫画です。

免許取り消しをきっかけに、女子高生ロードレーサー・織田輪から自転車を勧められたノリ。最初は嫌々だったはずが、実際に乗り、自転車を選び、仲間と走るうちに少しずつその魅力にハマっていきます。

レースだけではなく、自転車そのものの楽しさを初心者目線で描いていく、大人のための自転車漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
『なるたる』『ぼくらの』の作者が描いたとは思えないくらい爽やか。鬼頭莫宏作品だからと身構えて読むと、「あれ、いつまで経っても人が死なないぞ?」となります。笑

何よりいいのが、自転車を毛嫌いしていたノリが、いきなり自転車大好き人間になるわけではないところ実際に乗って、パーツを選んで、仲間と走って…。そうして少しずつ自転車がある生活が当たり前になっていく。その過程を見ているのが楽しいんです。

後の『のボルダ』もそうですが、まさか鬼頭莫宏が趣味漫画を描いてくるとは思ってもみなかった。

一般的なレース主体の自転車漫画とは違い、「自転車のある生活」そのものを丁寧に描いているのも面白い。

専門的な話も出てきますが、主人公自身が初心者なので入りやすい。自転車に興味がなくても、ノリと一緒にロードバイクの世界を知っていけるのが本作の大きな魅力です。

2位 なるたる

かわいい表紙に騙される!心えぐられる鬱SF

30秒でわかる作品紹介
『なるたる』は、小学6年生の少女・玉依シイナと、不思議な生き物「ホシ丸」との出会いから始まるSF漫画です。

祖父母の暮らす島でホシ丸と出会ったシイナ。しかし、やがて同じように謎の存在「竜の子」とつながった少年少女たちが現れ、それぞれが抱える悩みや感情とともに、物語は少しずつ不穏な方向へ進んでいきます。

かわいらしい絵柄と親しみやすい導入からは想像できない、人間の悪意や孤独、生と死まで描いた鬼頭莫宏の代表作です。

ランキングの理由・推しポイント
第2位は『なるたる』。ハートフルボッコという言葉は、この作品のためにある!

かわいい絵柄で始まるのに、内容はかなり重め。「鬱漫画」「トラウマ漫画」として有名ですが、単純にエグいだけの作品じゃありません。

何よりうまいのが、日常の中に少しずつ違和感を積み重ねていくところ。何が起こっているのかよく分からないのに、ずっと何かがおかしい。このじわじわ迫ってくる不穏さがたまりません。

さらに、多感で不安定な少年少女に「竜の子」という強大な力を与えてしまう設定。思春期の感情とSFが結びつき、人間の弱さや悪意まで容赦なく描いていきます。

かわいい。怖い。よく分からない。妙にリアル。でもやっぱり怖い。このアンバランスさこそ『なるたる』。

謎の多い世界観や考察しがいのある構成も大きな魅力。読後のモヤモヤも含めて強烈に頭に残る作品です。

→ 『なるたる』の詳しいレビューはこちら

こちらもオススメ!

なぜ「鬱漫画」と呼ばれるのかはもちろん、セカイ系として見たときの『新世紀エヴァンゲリオン』『最終兵器彼女』との違いなど、レビュー記事ではさらに詳しく紹介しています。

1位 ぼくらの

30秒でわかる作品紹介
『ぼくらの』は、巨大ロボット「ジアース」に乗り、地球を守る戦いに巻き込まれた少年少女たちを描くSF漫画です。

自然学校に参加していた子どもたちは、「敵を倒して地球を守る」というゲームに軽い気持ちで参加。しかし、それはゲームなどではなく、選ばれた一人がジアースを操って本当に敵と戦うというものでした。

しかも、戦いに勝っても操縦者を待っているのは死。いつ自分の番が来るか分からない極限状態の中で、それぞれが残された時間をどう生きるのかを描いていきます。

ランキングの理由・推しポイント
鬼頭莫宏のおすすめ漫画、第1位は『ぼくらの』。

『なるたる』の重さはそのままに、「でも一般層にも届く作品に仕上げました」とでもいうような絶妙なバランスの作品です。

初めてこの作品を読んだ時の衝撃はすごかった。

「戦って負ければ地球が滅び、勝っても自分は死ぬ」という逃げ場のない設定。しかも、いつ自分の順番が回ってくるか分からない。この絶望感がすごい。

敵を倒すごとに仲間が1人ずつ減っていく。しかも、戦った者は必ず死ぬという、超ヘビーな聖闘士星矢方式。笑

ロボット漫画というイメージで読んでないならもったいない。本当に面白いのは巨大ロボットでの戦いよりも、その状況に置かれた少年少女たちの人間ドラマです。

家族との関係や抱えている悩みも、生き方も死との向き合い方も一人ひとり違う。全員が一致団結して地球を守るような話でもありません。まさに、極限状態に置かれた人間を描いた群像劇といった感じ。

鬱漫画としてのランキングなら『なるたる』を選びますが、鬼頭莫宏作品の中で一番おすすめしたい漫画はやっぱりこっち。

あとがき

良かったら好きな作品教えて下さい!

注:この記事内にアンケートがあります。アンケートへのご参加をお願いします。

やっぱり『ヴァンデミエールの翼』『なるたる』『ぼくらの』っていう流れは強すぎるな。

描く作品がことごとく鬱漫画ランキングにエントリーしてくる漫画家なんて、そうはいないでしょう。これだけクセの強い世界や設定を次々と考えられるのは、やっぱり天才的。

絵柄と内容のギャップが有名だけど、ジメジメした雰囲気ではなく、どこかドライな描き方をするのも特徴的ですね。ある意味読者を突き放すタイプ。

初期の岡本倫なんかも似た雰囲気あったけどちょっと違うんだよな。岡本倫はエログロやギャグの方向が強めだしね。むしろ作風は違うけど、淡々とした残虐描写とか、セリフの間の取り方なんかは岩明均とも似てるかも。

あまりにジャンルが違うので、『なるたる』や『ぼくらの』のような漫画を探している人に「これもおすすめだよ」とは言いづらいけど、趣味系の漫画も面白い。

病気による右手の麻痺から作品の休載が続きましたが、その後は漫画原作という形での活動を経て、『のボルダ』では自身で作画する連載にも復帰した鬼頭莫宏。

無理はしてほしくないけれど、いつかまた『ぼくらの』のような絶妙なバランスの傑作が読めたら嬉しいです。

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『なるたる』の感想・レビュー|かわいさと絶望が同居するハートフルボッコSF【鬼頭莫宏】https://mangakarankings.com/441921https://mangakarankings.com/441921#respondMon, 07 Sep 2026 13:50:30 +0000https://mangakarankings.com/?p=441921

鬼頭莫宏(きとうもひろ)を語るうえで、外せない作品のひとつが『なるたる』。 かわいらしい表紙と内容のギャップから、「鬱漫画」としてもよく知られている作品です。 主人公は、ごく普通の明るい小学生の女の子。未知の生物との出会 ... ]]>

鬼頭莫宏(きとうもひろ)を語るうえで、外せない作品のひとつが『なるたる』。

かわいらしい表紙と内容のギャップから、「鬱漫画」としてもよく知られている作品です。

主人公は、ごく普通の明るい小学生の女の子。未知の生物との出会いから物語は始まります。しかし騙されてはいけない。読み始めは楽しいSFファンタジーかと思いきや、話が進んでいくうちに…。

ハートフルボッコという言葉はこの作品のためにある!そんな『なるたる』の魅力を紹介します。

あらすじ

小学6年生の少女・玉依シイナは、小学校最後の夏休みを祖父母が暮らす島で過ごしていた。ある日、海に潜ったシイナは星のような姿をした不思議な生き物と出会い、「ホシ丸」と名付けて仲良くなる。

東京へ戻ってからも行動をともにするようになるが、ホシ丸はただの奇妙な生き物ではなく、少年少女の意識と結びつく謎の存在「竜の子」に関係していた。

やがてシイナの前には、同じように竜の子とつながった少年少女たちが現れ始める。それぞれが異なる悩みや思いを抱え、強大な力との向き合い方もまるで違う。

少女と不思議な生き物の出会いから始まった物語は、次第に日常の裏側に潜む異質な世界へと広がっていく。

作品解説

『なるたる』は、漫画家・鬼頭莫宏によるSFファンタジー作品。タイトルの『なるたる』は「骸なる星 珠たる子」に由来する。

少年少女と不思議な生き物という親しみやすい入口とは裏腹に、人間の悪意や孤独、命、家族、社会、強大な力を持つことの責任まで踏み込んでいく重い作風が特徴。

「鬱漫画」として語られることも多いが、人物の心の動きや人間臭さ、現実社会とSFを結びつけた世界観も見どころとなっている。

鬼頭莫宏自身も制作当時は精神的に不安定な状態だったと後に明かしており、そうした背景も作品を読み解くうえで興味深い要素のひとつである。

『月刊アフタヌーン』で連載され全12巻で完結。2003年には全13話でテレビアニメ化され、第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門では審査委員会推薦作品に選出。後の『ぼくらの』にも通じるテーマが色濃く表れた長編漫画である。

かわいい表紙に騙される!心えぐられる鬱SF

おすすめポイント・感想・レビュー

『なるたる』といえば、「鬱漫画」「トラウマ漫画」として名前が挙がることの多い作品です。

いじめ、人間の悪意、残酷な死、救いのない展開などなど、精神的にくる要素はてんこ盛りで、読めばそう言われる理由もよく分かる。

ただ、『なるたる』を単純に「エグくて鬱になる漫画」として紹介するのは、ちょっともったいない。

思春期の子どもたちが人知を超えた力を持ったら何をするのか。その危うさを、鬼頭莫宏がこれでもかと突き詰めています。

かわいい。怖い。よく分からない。妙にリアル。たまに笑える。でもやっぱり怖い。

このなんとも言えないアンバランスさが『なるたる』の魅力です。

かわいい絵柄に騙される!日常と残酷さのギャップ

主人公のシイナは明るく元気な女の子。そこへ現れるホシ丸も、名前の通り星みたいな形をしていてかわいい。序盤だけなら、少女と不思議な生き物が出会う、ちょっと変わったSFファンタジーくらいに見えます。

ところが、読み進めていくと空気はどんどん重くなる。表紙からは想像できないくらいエグいです。

…といってもよくある、単純に血がドバーッと出るとか、内臓をこれでもかと見せるとか、そういうグロさが売りの漫画とは違うんですよね。

描写をしない、想像させるタイプのエグさ、グロさ。

何が起こったのかを全部描かず、読者に想像させる。その直前や直後だけ見せて、「え、これってつまり…」と頭の中で補完させてくる。見えないからこその気持ち悪さがあって、ほんとに気分悪くなる。

…とはいえ、今から読むならそこまでの衝撃はないかな。

「問題作」「鬱漫画」「グロ耐性があってもきつい」みたいに言われていましたが、この20年くらいでその手の作品がものすごく増えたので。時代が『なるたる』に追いついたのかもしれない。笑

それでも、日常と残酷さを同じような温度で淡々と描く独特の怖さは、今読んでもやっぱり残ります。

何かがおかしい…。じわじわ迫ってくる不穏さがたまらない

この手の作品だと、もっと早い段階で、「実は世界にはこんな秘密が!」と大きな設定を開示したり、次の展開が気になるような引きをバンバン持っていきそうなもの。

でも『なるたる』では、物語は意外なくらいゆっくり進んでいきます。むしろ、ずっとよく分からない。

  • 竜の子って何?
  • 乙姫って何?
  • なんでこの子とこの竜の子がつながっているの?
  • 今の会話、何か意味あった?
  • この人は何を考えてるの?

読んでいて、そんな疑問はポンポン浮かんでくるのに、鬼頭莫宏はなかなか答えを教えてくれません。

その状態のまま、学校へ行ったり、家族と話したり、飛行機に乗ったり、友達と過ごしたりする日常がかなりじっくり描かれていく。

それでも、ずっと何かがおかしい。何かが起こりそう。

少しずつ違和感だけが積み重なって、「この漫画、どこへ向かってるんだ?」と思いながら読み進めていく。

そして、ようやく作品の正体が見えてきた頃には、もう取り返しのつかないところまで来ている。この感じがたまりません。

気づかないくらいゆっくり坂道を下っていたら、いつの間にか戻れない場所まで来ていたような怖さがあります。

浦沢直樹作品のように「次どうなるの?」という強い引きではなく、「これ、いったい何なんだ?」で、読者を離脱させないのがすごい。面白さより先に「なんか気になる」が来るんですよね。

でも、このペースでよく描けたなあ。さすがアフタヌーン、漫画家にやさしい。笑

思春期の心と「竜の子」の存在

思春期の心の描き方がとにかく生々しい。

家庭環境、親との関係、学校での立場、いじめ、友達、恋愛、孤独、嫉妬、承認欲求。

大人になれば受け流せることでも、思春期にはそれが世界のすべてだったりする。そんな面倒くさくて不安定な時期の感情を、鬼頭莫宏はかなり丁寧に描いています。

そして、『なるたる』では、そんな多感で傷つきやすく、自分でも感情をうまく扱えない少年少女のそばに、人知を超えた力を持つ「竜の子」がいる。

普通なら心の中で「全員いなくなればいいのに」と思って終わるところを、本当に実行できる力を与えちゃう。

「思春期の感情(リアル)」と「竜の子(ファンタジー)」という組み合わせが面白い。

登場人物たちの怒りや孤独が自分の感情と直結する人ほど入り込みやすい。思春期に読んだ人ほど強烈にハマったという感想が多いのも納得です。

一度では拾いきれない!再読で見え方が変わる漫画

『なるたる』は、一度読んだだけですべて理解できるタイプの漫画ではありません。なんなら、読み返したときのほうが面白い漫画かもしれない。

というか、一度で全部分かった人いるのかな?

何気ない会話や表情、よく分からなかった設定が後半につながっていて、読み返すと「これ、最初から描かれてたのか」と気づくことが多い。

再読するといろいろ発見がある漫画です。ただし、読み返すにはちょっと覚悟がいる。笑

『なるたる』はセカイ系なのか?

『なるたる』は、一般的にはセカイ系に分類される作品だと思います。少年少女の内面と世界規模の出来事がつながっていく、いわゆるエヴァ以降の作品群のひとつ。

でも、読んでいると、いわゆるセカイ系とはちょっと違う感じもするんだよなぁ。

その理由のひとつが、主人公のシイナなのかもしれません。

シイナは基本的に明るく、周囲の人からも愛されている。恋愛が物語の中心になるわけでもなく、彼女自身の孤独や悩みが世界を動かしていくわけでもない。

むしろ世界を動かしていくのは、シイナの周囲にいる少年少女たち。

それぞれが抱える怒りや孤独、歪んだ感情が「竜の子」という力を通して現実になっていく中で、シイナはそれに巻き込まれながら、見届けていく側にいます。

主人公の感情と世界が直結するというより、世界を動かしてしまう人たちの中心に主人公がいる。

この微妙な距離感が、セカイ系っぽいのに、いわゆるセカイ系とは少し違って感じる理由なのかもしれません。

…といっても、最終巻まで読むと、全部ひっくり返されるんですけどね。

まあ要は、考察好きにはたまらないタイプの作品です。

こんな人におすすめ

セカイ系SFが好きな人はもちろん、人間の弱さや悪意まで踏み込んだ重い漫画が好きな人、伏線や設定を自分なりに考察するのが好きな人にはおすすめです。

逆に、最後まで読めばすべての謎が解けてスッキリ、という作品を求めている人には向かないかも。説明されない部分も多いし、読者の解釈に委ねられる部分もかなり残ります。

めちゃめちゃ人を選ぶ漫画ですが、ハマる人にはずっと頭に残る作品です。

12巻かけて描いていた壮大な仕掛け
竜の子でありながら、シイナとリンクすることなく、まるで感情を持っているかのように動くホシ丸。

初号機は特別なのよ。的な主人公特権かと思ったら、鶴丸の竜の子だったのは驚きました。

ずっと、鶴丸が見守っていたんだという種明かしとともに、特別な相棒だったホシ丸にも感情なんてなかったんだとわかる寂しさもありましたね。

さらに、「じゃあシイナの竜の子はどこにいるの?」という新たな謎に対する答えは、そもそもリンクする対象のスケールが違ったということ。

ホシ丸くらいのサイズ感で考えていたら、まさか地球そのものが竜の子だったとは。

ここまで分かってから物語全体を振り返ると、『なるたる』が12巻かけて描いていたものの見え方が変わってきます。

ゆっくりじっくり描いてきた日常シーンも含め、ここに至るまでの全ての物語が、主人公と巨大な地球とのリンクを完了するために必要な時間だったように思えてきます。

人類滅亡!?賛否両論のラストをどう見るか
そして、やっぱり最終回が忘れられない。

まるで、ページが余ったのでその後をダイジェストで紹介しますというようなノリで、登場人物たちが淡々と処理されていくのは衝撃的でした。

そして印象に残るのが、人類滅亡後の涅見子の「命は代替がきくから 命たりえるんだから」という言葉と、シイナと涅に宿った新たな2つの命。

絶望とも再生とも取れる、「最悪のバッドエンド」と「なるたるなりのハッピーエンド」が両立した最後になりました。

すっきりしない、救われないラストになるんだろうと、途中からわかっていたものの、やっぱりモヤモヤがすごい。笑

そして面白いのが、シイナ自身が世界の滅亡を望んだわけではないこと。

最終的には主人公こそ地球とつながっていたという、これ以上ないくらい「セカイ系」な構造が明かされるのに、人類を滅亡へ向かわせるのは涅で、シイナに与えられたのはむしろ再生する力です。

主人公の絶望がそのまま世界の終わりになるわけではない。

このあたりも、『なるたる』がいわゆるセカイ系とはどこか違って感じる理由なのかもしれません。

最終巻まで読んでから1巻を見ると、もう同じ漫画には見えません。

類似作品 こちらもオススメ!

こっち系統の作品が好きなら、セカイ系の代表作ともいうべき『新世紀エヴァンゲリオン』(貞本義行)と、『最終兵器彼女』(高橋しん)は必修科目です。笑
セカイ系漫画だけどノリが明るく救いも多い作品なら『惑星のさみだれ』(水上悟志もおすすめ。
読後になんともいえない重さが残るところは『おやすみプンプン』(浅野いにおや、『タコピーの原罪』(タイザン5)なんかも近いです。
絵柄の可愛さと作風との落差だと『メイドインアビス』(つくしあきひと)もなかなかのギャップです。

あとがき

いやあ、良くも悪くも読み終わった後に動けなくなるようなインパクトのある作品でした。

鬼頭莫宏自身が制作当時は精神的に不安定だったと明かしているけれど、それを知ってから読むと、内容から鬼頭莫宏の精神状態がバンバン見えてくる…ような気がして、妙に納得してしまうところも。

主人公が友達と楽しくおしゃべりするシーンも、人が死ぬシーンも、全部一定のテンションで描かれてるってところとかね。

鬱漫画って人によって捉え方も、受けるダメージも変わるから、その時の年齢や精神状態によって、読み返すたびに違った感想になりそう。

キケンなので必ず心が元気な時に読むように!逆に鬼頭莫宏を最大限に楽しむならあえて落ち込んでいる時に読もう。笑

読後のモヤモヤ感もぜひ楽しんでほしい。そのモヤモヤ、3日は続くよ。

鬼頭莫宏のおすすめ漫画作品ランキングもチェック!

『なるたる』にハマったなら、鬼頭莫宏のほかの作品もぜひ読んでみてください。同じくアニメ化した『ぼくらの』など、他の作品もまとめて紹介しています。

→ 鬼頭莫宏のおすすめ漫画作品ランキングはこちら

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【生き様を描かせたら天下一品!】小山ゆうのおすすめ漫画作品ランキング!https://mangakarankings.com/211https://mangakarankings.com/211#respondWed, 31 Aug 2016 07:52:16 +0000http://mangakarankings.com/?p=211

時代ごとに胸を打つ作品を残してきた漫画家といえば、この人、小山ゆう(こやまゆう)。 ボクシング、陸上、SF、幕末、時代劇と、描いてきたジャンルはかなり幅広め。それでも、どの作品にも共通しているのは、やっぱり「人間」を描い ... ]]>

時代ごとに胸を打つ作品を残してきた漫画家といえば、この人、小山ゆう(こやまゆう)。

ボクシング、陸上、SF、幕末、時代劇と、描いてきたジャンルはかなり幅広め。それでも、どの作品にも共通しているのは、やっぱり「人間」を描いていることです。強い人だけでなく、迷う人、弱い人、ずるい人までしっかり描くから、脇役まで妙に人間臭い。そして、気づけばそんな登場人物たちが大好きになっているんですよね。

『がんばれ元気』では努力と成長だけでなく、その先にある人生の苦さまで描き、『お~い!竜馬』では歴史上の人物を生きた人間として見せてくれる。『あずみ』では非情な時代を生き抜く少女の葛藤と、それでも人を思う気持ちを丁寧に描いています。題材は違っても、最後に心に残るのは登場人物たちの生き様です。人の生き様を描かせたら天才的にうまい。

そんな人間の弱さも強さも、優しさも残酷さも描く小山ゆうのおすすめ作品を、ランキング形式で紹介します!

16位 男ぞ!ケンノ介(おとこぞ!ケンノすけ)

30秒でわかる作品紹介
『男ぞ!ケンノ介』は、江戸時代を舞台に、立派な武士を目指す少年・ケンノ介の成長を描いた時代劇コメディです。

主人を亡くし、女性ばかりとなった藤岡家に生まれた待望の男子・ケンノ介。しかし、甘やかされて育ったことで、祖母は立派な武士に育てようと厳しく鍛えることに。

全1巻と短い作品ながら、ケンノ介の成長や個性的な大人たちとのやり取りなど、後の小山ゆう作品にもつながる要素が詰まった初期作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第16位は『男ぞ!ケンノ介』。

小山ゆうのかなり初期に描かれた作品で、全1巻ということもあり、サクッと読める時代劇コメディです。

とはいえ、どうしても作品の厚みでは後年の作品に及ばない。同時期のギャグ路線には『おれは直角』という強すぎる作品もあるしね。

まっすぐな主人公が周囲の人々と関わりながら成長していくという、小山ゆう作品らしさはこの頃からすでに感じられるので、小山ゆうの初期作品として読んでみるのも面白いです。

15位 いざ!竜馬(いざ!たつま)

30秒でわかる作品紹介
『いざ!竜馬』は、10歳の小学生・塚原竜馬が、一流商社でサラリーマンとして働くという異色のお仕事コメディです。

格闘技道場で体と「男道」を鍛える竜馬でしたが、父親がまさかの出社拒否症に。そこで一家を支えるため、小学校を辞めて父親が勤める巨大商事へ出社することになります。

小学生が大人たちに交じって社会の荒波に挑むという、今読んでもなかなかぶっ飛んだ設定が面白い全2巻の作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第15位は『いざ!竜馬』。

「出社拒否症の父親に代わって、10歳の息子が一流商社で働く」という設定からしてすごい。

当時ならではの無茶苦茶なギャグ設定ですが、それを勢いのあるコメディとして成立させているのが本作の面白いところです。

小山ゆう作品全体としてもめずらしい現代コメディで、『おれは直角』から続く初期のギャグ路線では、長編としてこれが最後の作品になるのかな。

ドタバタギャグ系はやっぱりデビュー作が強くなるね。

残念ながら全2巻と短い作品となりましたが、小山ゆう初期の作風を知るうえでも面白い一作です。

14位 サムライ数馬(サムライかずま)

30秒でわかる作品紹介
『サムライ数馬』は、日本屈指の大財閥・兵藤コンツェルンの跡継ぎとして、男の中の男になるよう育てられた少女・数馬を主人公にした作品です。

父の死をきっかけに、本当は女性として生きたいと願う数馬。しかし、遺産をめぐって争う姉たちを目の当たりにし、父の会社を継ぐことを決意します。

豪快でパワフルな世界観の中で、数馬の葛藤や成長もしっかり描かれる、大胆さと繊細さをあわせ持った全2巻の物語です。

ランキングの理由・推しポイント
第14位は『サムライ数馬』。

男の中の男として育てるため、少女の数馬を無理くり荒々しい男に育ててしまう。まず、この設定からしてパワフルです。

さらに印象に残っているのが、作中に登場する老人たち。数馬から「ブ男」と言われて嬉し涙を流したり、電車で痴漢と間違われて大喧嘩したりと、とにかく愛嬌があるんですよね。

そんなコミカルなやり取りも多く、全体的に痛快で明るい。それでいて数馬自身の葛藤もしっかり描かれているのが魅力です。

面白かっただけに、もっと長く読みたかった作品ですが、残念ながら全2巻とかなり短め。

13位 風の三郎(かぜのさぶろう)

30秒でわかる作品紹介
『風の三郎』は、「炎の剛球」を投げる少年・武蔵三郎が、史上最強の野球チームを作るため、全国に散らばる仲間を探して旅をする野球漫画です。

幼い頃から一流の投手になるため祖父に育てられた三郎は、個性的な能力を持つ男たちと出会い、ときには勝負しながら一人ずつ仲間を集めていきます。

高橋慶彦など実在のプロ野球選手まで登場する、リアルとは真逆の豪快さが楽しい全4巻の野球漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第13位は『風の三郎』。

炎の剛球を投げる主人公に、全国を旅して最強の仲間集め。野球漫画ではあるんだけど、かなりの「とんでも野球」です。

特に本作の面白さになっているのが、クセの強い男たちを一人ずつ仲間にしていく展開。それぞれにエピソードがあり、つぎはどんなとんでもない能力を持った選手が加わるのかというワクワク感があります。

ただ、全4巻ということもあって物語はかなりコンパクト。今のリアル志向な野球漫画とは違う、必殺技が飛び交う豪快な野球漫画を読みたい人にはおすすめの作品。

12位 チェンジ

30秒でわかる作品紹介
『チェンジ』は、車椅子で生活しながら野球に憧れていた少女・早を主人公にした、ファンタジー要素のある野球漫画です。

事故によって命を落としてしまった早でしたが、彼女の境遇を不憫に思った死神によって、49日間だけ女子高生の姿で新しい命を与えられることに。

そして念願だった野球部に入り、仲間たちと甲子園を目指します。野球だけでなく、限られた時間の中で友情や恋、生きることを描いた全5巻の青春物語です。

ランキングの理由・推しポイント
第12位は『チェンジ』。

小山ゆう作品にはめずらしいファンタジー作品。

死神から与えられた49日間の命で、大好きだった野球に挑戦する。野球漫画にファンタジーを組み合わせた設定が面白い作品です。

しかも、ただ甲子園を目指すだけではなく、早に残された時間には限りがある。この設定があることで、仲間との友情や恋といった青春ドラマにも、どこか切なさがつきまといます。

小山ゆう作品としては全5巻と短めですが、そのぶん物語もコンパクト。内容的にもまとまっていて、長編が多い小山ゆう作品の中では、比較的手を出しやすい作品です。

今回は12位にしましたが、短い作品の中に小山ゆうらしい人間ドラマが詰まった、隠れた良作だと思います。

11位 ももたろう

30秒でわかる作品紹介
『ももたろう』は、離島で育った規格外の青年・百田桃太郎が、大相撲の世界へ飛び込んでいく相撲漫画です。

高校卒業後、力士になるため上京した百田は、島で鍛えたとんでもない肉体と相撲の強さを武器に角界へ。しかし、相撲と同じくらい女の子も大好きで、伝統や格式なんてお構いなしに騒動を巻き起こしていきます。

豪快な相撲と下ネタありの笑いを交えながら、型破りな主人公が角界を駆け上がっていく全10巻の相撲コメディです。

ランキングの理由・推しポイント
第11位は『ももたろう』。

とにかく主人公の百田桃太郎が破天荒!

相撲はめちゃくちゃ強いのに、女性を見るとすぐにデレデレ。伝統と格式を重んじる大相撲の世界でもまったくお構いなしで、周囲を巻き込みながら突き進んでいきます。

そんな百田のキャラクターもあって、相撲漫画ながら雰囲気はかなり明るめ。真剣勝負の熱さはありつつ、堅苦しくならずに読めるのが本作の特徴です。

小山ゆうのスポーツ漫画といえば『がんばれ元気』や『スプリンター』がありますが、それらとはまた違った痛快さを楽しめる作品。

そして、この作品以降、小山ゆう作品のエロ描写が増えた気がする。笑

10位 AZUMI〜あずみ〜

30秒でわかる作品紹介
『AZUMI〜あずみ〜』は、『あずみ』の舞台を幕末へと移し、新たな刺客・あずみの戦いを描いた全18巻の歴史アクション漫画です。

物語は桜田門外の変から始まり、幕末の動乱とともにあずみの暗殺者としての人生を描いていきます。

そして大きな見どころとなるのが、『お~い!竜馬』にも登場した坂本竜馬たちとの共演。小山ゆうが描いた幕末の世界と『あずみ』が交わる、ファンにはうれしい作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第10位は『AZUMI〜あずみ〜』。

『あずみ』を時代を変えてもう一度やる。この発想には最初びっくりしました。

幕末を舞台にしているので、坂本竜馬をはじめとする実在人物も多数登場。しかも見覚えのあるキャラクターたちが次々と出てくるのがうれしいところ。

そんなわけで『お~い!竜馬』が好きな人には無条件でおすすめ。あの幕末の世界を別の角度からもう一度楽しめます。

単体の歴史アクション漫画としては充分に面白いんですが、『あずみ』と比べてしまうとどうしても順位は下がってしまいます。

『あずみ』の続編としては、どうしても焼き直しっぽさを感じてしまうところもあるし、何より前作の「あのあずみ」のその後が読めるわけではないので。

9位 颯汰の国(そうたのくに)

30秒でわかる作品紹介
『颯汰の国』は、江戸幕府が徳川家康から秀忠、家光へと移り変わる時代を舞台に、青年・佐々木颯汰の戦いを描いた全15巻の歴史漫画です。

寺の和尚に育てられ、剣の達人へと成長した颯汰。しかし、平穏に暮らしていた領地が幕府によって改易されたことで、その運命は大きく動き始めます。

圧倒的な力を持つ幕府を相手に、颯汰たちはどう生き、どう戦うのか。史実を絡めながら一人の青年の生き方を描く歴史スペクタクルです。

ランキングの理由・推しポイント
第9位は『颯汰の国』。

『あずみ』など数々の歴史漫画を描いてきた小山ゆうが、再び江戸初期を舞台に挑んだ作品です。

主人公の颯汰は剣の腕も立つまっすぐな青年で、巨大な江戸幕府を相手に仲間たちと立ち向かっていく。史実をベースにしながらも、難しい歴史漫画にならず、しっかりエンタメとして読ませてくれます。

小山ゆうらしい時代劇を楽しめる作品ですが、『あずみ』や『お~い!竜馬』ほど強烈に印象に残った作品かというと、そこまではいかなかったかな。

とはいえ、70歳を超えてからこれだけの長編歴史漫画を描き切っているのは、やっぱりすごいです。

8位 女神の標的(めがみのひょうてき)

30秒でわかる作品紹介
『女神の標的』は、終戦から8年後の日本を舞台に、旧陸軍が残したとされる隠し金塊をめぐる争いを描いた全9巻のヒストリカルサスペンスです。

主人公は、大衆演劇で女優として活躍する霧島春子。ある日突然、謎の男たちから金塊の手がかりを知っているはずだと狙われ、さらに戦死したと思っていた父の死にも金塊が関係していたことを知らされます。

戦後の日本を舞台に、普通の女性だった春子が巨大な陰謀へ巻き込まれていく作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第8位は『女神の標的』。

80歳を目前にして、まだこんな新しい作品を描くのか!

『あずみ』シリーズ以来の女性主人公ですが、春子はあずみのように圧倒的な戦闘力を持っているわけではありません。そんな彼女が旧陸軍の隠し金塊をめぐる争いに巻き込まれていくという、これまでとはまた違った女性主人公を描いています。

さらに戦後日本、隠し金塊、裏社会、巨大な権力と、分かりやすいサスペンス。題材もかなり好み。

また新しい引き出しを見せてくれたという意味でも、直近で連載していた『颯汰の国』よりも上位にしました。

7位 おれは直角(おれはちょっかく)

30秒でわかる作品紹介
『おれは直角』は、江戸時代の長州藩を舞台に、下級武士の家に生まれた少年・石垣直角の成長を描いた全14巻の時代劇コメディです。

父から教えられた武士の心得を真っすぐに守る直角は、名門藩校・萩明倫館へ入学。しかし、その生真面目すぎる性格と行動力で、次から次へと騒動を巻き起こしていきます。

笑いあり、武芸あり、友情あり。曲がったことが大嫌いな直角が、周囲の人々を巻き込みながら成長していく小山ゆうの初期作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第7位は『おれは直角』。

直角は身分こそ低いものの、武芸の腕は一流。そして何より、名前の通りとにかく真っすぐ。歩き方ひとつとっても、カーブはなし。曲がるときはいつでも直角。笑

自分の信念を曲げずに突き進み、いつの間にか周囲から信頼されていく姿は、後の小山ゆう作品の主人公にも通じるものがあります。

基本は明るい時代劇コメディですが、しっかり人間ドラマを見せてくるのも本作の魅力。

特に、城代家老の孫である北条照正との友情は、コメディ漫画なのにしっかり感動させられました。

代表作のイメージも強い『おれは直角』だけど、これデビュー作なんだよね。デビュー作の時点で、すでに「小山ゆうらしさ」が詰まった作品です。

6位 雄飛(ゆうひ)

30秒でわかる作品紹介
『雄飛』は、敗戦直後の日本を舞台に、復讐を胸に生きる青年・雄飛の人生を描いた全16巻のヒューマンドラマです。

幼い頃、満州から引き揚げる混乱の中で母と姉を殺された雄飛。その後、侠客・大垣親分の養子となり、17歳でプロボクサーとしてデビューします。

ボクシング、任侠、恋愛、そして家族を奪った男への復讐。いくつもの人生の岐路に立たされながら、激動の昭和を生きる雄飛の姿を描いた作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第6位は『雄飛』。

『がんばれ元気』以来となる小山ゆうのボクシング漫画…と思いきや、ボクシングはあくまで一要素。本作の中心にあるのは、雄飛という一人の青年の生き様です。

仲間のために生きたい。好きな女性と幸せになりたい。ボクシングにも打ち込みたい。そして、母と姉を殺した男には何を犠牲にしてでも復讐したい。

いや、一人で抱えるには多すぎる!

それでも雄飛は頭がよくて、誠実で、とにかくいいやつ。いくつもの選択を迫られながら懸命に生きる姿を見ていると、応援せずにはいられません。

スポーツ漫画ではなく、一人の青年の人生をじっくり描いたヒューマンドラマとして面白い作品です。

5位 愛がゆく(あいがゆく)

30秒でわかる作品紹介
『愛がゆく』は、未来から現代へ送られてきた少年・北条愛を主人公にした、全12巻のSF漫画です。

雪の夜、荒くれ者の北条松五郎に拾われた赤ん坊・愛。松五郎に育てられ成長していく中で、愛はやがて不思議な力に目覚め、自分が未来から送り込まれた存在であることを知っていきます。

超能力や未来人との戦いを描きながら、愛と松五郎の親子愛や仲間との絆もしっかり描かれる、小山ゆう作品ではめずらしい本格SFです。

ランキングの理由・推しポイント
第5位は『愛がゆく』。

スポーツや歴史もののイメージが強い小山ゆうが、超能力や未来人、人類滅亡の危機まで描いた異色のSF作品です。

とはいえ、やっぱり中心にあるのは「人」。何度倒されても、仲間に支えられながら人類や大切な人たちのために戦う愛の姿には、しっかり感動させられました。

そして忘れちゃいけないのが、愛を男手ひとつで育てた松五郎。不器用で荒っぽい男なのに、愛への愛情はとにかく深い。この二人の血のつながらない親子愛にも心を打たれます。

SFという小山ゆう作品ではめずらしい題材ながら、読んでみればしっかり小山ゆう。

隠れた良作が『チェンジ』なら隠れた名作は『愛がゆく』(ファンからすれば隠れてないでしょうけど)。

今読んでもストーリーにぐいぐい引き込まれる、おすすめの作品です。

4位 スプリンター

30秒でわかる作品紹介
『スプリンター』は、100メートル走で世界最速を目指す青年・結城光を主人公にした全14巻の陸上漫画です。

日本有数の財閥・結城コンツェルンの養子として育ち、後継者になるため帝王学を学んでいた光。しかし、陸上選手・水沢裕子や高校教師・神野との出会いをきっかけに、スプリンターとしての才能を開花させていきます。

財閥の後継者という立場と世界最速への夢。その間で揺れながら、100メートルという一瞬の勝負に人生を懸ける男たちを描いたスポーツ漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第4位は『スプリンター』。

将来を約束された財閥の後継者という立場よりも、「世界最速の男」になる夢を選ぶ。この光の生き方がとにかく熱い!

しかも100メートル走という、ほんの10秒ほどで決着する競技をここまで熱く描けるのがすごい。光だけでなく、個性的なライバルたちも次々と登場し、「人間はどこまで速く走れるのか」という世界へどんどん引き込まれていきます。

後半になると結城コンツェルンをめぐる経営や後継者争いまで絡み、光はスプリンターとしての人生だけでなく、自分がどう生きるのかという選択まで迫られていきます。

陸上漫画からそこまで話が広がるの!?という展開ですが、財閥の後継者という最初からあった設定が、後半で大きく物語に絡んでくるのも『スプリンター』ならでは。

読んでいると、自分までちょっと速く走れそうな気がしてくるんですよね。指先を伸ばすイメージだけで、10秒は切れなくても絶対もう少し速く走れたと思う。笑

3位 あずみ

鬼神の剣と、菩薩の心を持つ最強の少女が背負う宿命

30秒でわかる作品紹介
『あずみ』は、戦国末期から江戸初期を舞台に、刺客として育てられた少女・あずみの生き様を描く歴史アクションです。

幼い頃から山奥で厳しい修行を受けてきたあずみは、泰平の世を乱す者を討つため、仲間たちとともに外の世界へ。徳川家康をはじめとする実在の人物も登場し、歴史の裏側でさまざまな任務に挑んでいきます。

実在の武将たちを交えた時代劇としての面白さに加え、容赦のない戦いと出会いと別れを重ねながら変化していく、あずみ自身の物語も大きな魅力です。

ランキングの理由・推しポイント
第3位は『あずみ』。

小山ゆう作品の中でも、主人公の魅力と時代劇の相性がかなり強く出ている作品です。

とにかく主人公のあずみが魅力的。恐ろしく強いのに、その強さとは真逆なくらい純粋で優しい。このギャップもたまりません。

そして、小山ゆうらしい容赦のない人間ドラマ。魅力的な仲間たちが次々と登場しては離脱していくのがめちゃくちゃせつない。

さらに、派手に斬り合うのではなく、一瞬で勝負が決まる独特の殺陣も見どころ。

全48巻とかなりの長編ですが、それでも最後まで読んでしまう面白さがあります。

正直、1位にしてもおかしくないくらい、小山ゆう作品を語るなら絶対に外せない作品です。

→ 『あずみ』の詳しいレビューはこちら

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第一話から引き込まれる展開、最強なのに純粋すぎるあずみの魅力、小山ゆう独特の殺陣まで、個別レビューではさらに詳しく紹介しています。

全48巻を最後まで読んで感じた良かったところや気になったところ、最終回の感想もネタバレ込みでまとめています。

2位 がんばれ元気(がんばれげんき)

30秒でわかる作品紹介
『がんばれ元気』は、父と同じプロボクサーの道を歩む少年・堀口元気の成長を描いた全28巻のボクシング漫画です。

幼い頃からプロボクサーの父・シャーク堀口と全国を転々としていた元気。しかし、父は天才ボクサー・関拳児との試合後に命を落としてしまいます。

やがて成長した元気は、父が果たせなかった世界チャンピオンという夢、そして関拳児との戦いを目指してボクシングの世界へ。少年から青年へと成長していく元気の人生を描いた、ボクシング漫画の名作です。

ランキングの理由・推しポイント
第2位は『がんばれ元気』。

ボクシング漫画の名作といえば『あしたのジョー』。そして、もう一つ挙げたいのがこの『がんばれ元気』です。

実際、小山ゆう自身も『あしたのジョー』を強く意識しながら、あえて正反対の作品を目指したそうです。

どこか陰を背負い、破滅へと向かっていく矢吹丈に対して、堀口元気は明るく、優しく、真面目。それでもボクシングへの思いは誰よりも強く、自ら厳しい世界へ飛び込んで頂点を目指していきます。

試合の熱さはもちろんですが、幼い元気が成長し、さまざまな人と出会いながら一人のボクサーになっていく人間ドラマとしても面白い。

『あしたのジョー』や『はじめの一歩』と比べると、知名度はあんまり高くない気がする。

当時漫画を読んでいた人やアニメを見ていた世代なら「知ってて当たり前」くらいの作品なのに、それより下の世代になると一気に知られていない印象があります。正直もっとボクシング漫画として語られてもいい作品だと思うんだけどなぁ。

古い作品だからと敬遠するのはもったいない。今読んでも間違いなくおすすめできる、ボクシング漫画の名作です。

1位 お~い!竜馬(おーい!りょうま)

30秒でわかる作品紹介
『お~い!竜馬』は、幕末の英雄・坂本竜馬の生涯を、武田鉄矢・原作、小山ゆう・作画で描いた歴史漫画です。

物語は、泣き虫で勉強も剣術も苦手だった幼少期からスタート。土佐での身分差別や仲間たちとの出会いを経て成長し、やがて勝海舟、西郷隆盛、高杉晋作ら幕末の人物たちと関わりながら、日本を変えるため奔走していきます。

史実にフィクションを交えながら、坂本竜馬という一人の男の人生を少年時代からじっくり描いた幕末漫画の名作です。

ちなみに本作では、一般的な「坂本龍馬」ではなく、武田鉄矢が影響を受けた司馬遼太郎の『竜馬がゆく』と同じ「坂本竜馬」の表記が使われています。

ランキングの理由・推しポイント
第1位は『お~い!竜馬』。

『がんばれ元気』も『あずみ』も名作。でも、小山ゆう作品で一つ選ぶなら、やっぱりこれ。

武田鉄矢と小山ゆうが描く坂本竜馬は、とにかく人間臭い。泣き虫だった少年が、さまざまな人と出会い、悩み、失敗しながら成長し、やがて幕末という時代そのものを動かしていく。その過程をじっくり描いているからこそ、どんどん竜馬という人物が好きになっていきます。

そして竜馬だけじゃない。武市半平太、岡田以蔵、高杉晋作、勝海舟、西郷隆盛など、幕末の人物たちが小山ゆうの絵で生き生きと動き回る。史実とは違うフィクションもありますが、「幕末って面白い!」と思わせる力は抜群です。

最初は小山ゆうの個性的な絵柄で坂本竜馬?と思ったけど、今では完全にこれも一つの竜馬像。坂本竜馬を思い浮かべる時にこの絵が浮かぶ人も多いんじゃないかな?

史実に忠実な坂本龍馬伝というより、かなり「竜馬贔屓」な漫画です。でも、それでいい。というか、そこが好き。

そんなわけで、完全に個人的な好みも入っていますが、坂本龍馬好きなら間違いなくおすすめ。小山ゆう作品ランキング、第1位は『お~い!竜馬』です。

あとがき

あなたがランキング1位に選ぶおすすめ作品はどの漫画ですか?

注:この記事内にアンケートがあります。アンケートへのご参加をお願いします。

『お~い!竜馬』の位置はここじゃないような気もするけど、思い入れが強すぎて、ランキング1位にせずにはいられない。

小山ゆうの漫画の絵柄は、いつ見ても古臭いんだけど(褒め言葉?)、誰もが好きになっちゃう男を描かせたら、右に出る漫画家がいないんじゃないかと思うぐらい主人公が魅力的なんですよね。

そう考えると、歴史上の偉人の中でも屈指の人気を誇る竜馬を小山ゆうが描いたのは、大正解だったなと思う。

でもやっぱり特にうまいなと感じるのは感情表現。この人の喜怒哀楽表現って独特だけど、ほんとに天才的!

個人的には、つらすぎて笑っているように口元が歪む、あの独特の表情がたまらない。

歪むといえば、ぐにゃ~って歪む背景も小山ゆう作品ならではの特徴だね。

時代漫画で見せる、流れるような殺陣も特徴のひとつ。戦闘シーンの魅せ方が抜群に上手い!

50年以上描いてて、時代ごとに面白い作品を出し続けてる。ホントにすごい漫画家です。

あだち充村上もとか高橋留美子もそうだけど、サンデーで活躍してた漫画家ってホントに息が長いなぁ。

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『あずみ』の感想・レビュー|斬るほどに切ない!歴史の裏で暗躍する最強の少女【小山ゆう】https://mangakarankings.com/441908https://mangakarankings.com/441908#respondThu, 03 Sep 2026 15:10:27 +0000https://mangakarankings.com/?p=441908

これまで数々の魅力的な男たちを描いてきた漫画家・小山ゆう(こやまゆう)。『お~い!竜馬』で坂本龍馬を描いた小山ゆうが、次に主人公に選んだのは、まさかの女の子。 圧倒的な剣の腕を持ちながら、あまりにも純粋な少女を主人公に描 ... ]]>

これまで数々の魅力的な男たちを描いてきた漫画家・小山ゆう(こやまゆう)。『お~い!竜馬』で坂本龍馬を描いた小山ゆうが、次に主人公に選んだのは、まさかの女の子。

圧倒的な剣の腕を持ちながら、あまりにも純粋な少女を主人公に描いた時代劇が『あずみ』です。

歴史の裏側で繰り広げられる激しい戦いと、容赦なく訪れる出会いと別れ。

最強の刺客でありながら純粋な心を持つ、あずみの生き様と作品の魅力を紹介します。

あらすじ

戦国から泰平の世へ移り変わろうとする時代、人里離れた山奥で10人の少年少女がひそかに育てられていた。その一人が、驚異的な剣の腕を持つ少女・あずみである。

彼らは「爺」と呼ばれる人物の教えを受け、世の平和を乱す者を討つ刺客となるため、幼い頃から厳しい修行を重ねてきた。

刺客としての技術を徹底的に叩き込まれてきたあずみたちは、やがて外の世界へ出る日を告げられるが、その前に待っていたのは、これまでの常識を揺さぶるほど過酷な試練だった。

人を斬る技術は身につけても、世の中のことも人の感情もほとんど知らないあずみは、命じられた使命を果たす旅の中で、これまで知らなかった人の優しさや悲しみ、さまざまな生き方や価値観に触れ、自分が教えられてきた「正しさ」と向き合いながら激動の時代を歩んでいく。

作品解説

『あずみ』は、漫画家・小山ゆうによる激しい時代劇と少女の成長物語を組み合わせた歴史・アクション作品。

戦国末期から江戸初期を背景に、実在の武将や歴史上の人物を交えながら、泰平のため人知れず敵を討つ少女刺客を主人公にした物語である。

容赦のない剣戟や暗殺を描く一方、純粋なあずみが使命と自らの感情の間で揺れ、外の世界を知ることで変化していく姿も大きな軸となっている。

『ビッグコミックスペリオール』で連載され、全48巻で完結。第43回小学館漫画賞、第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、上戸彩主演で実写映画化されたほか、舞台化も行われた。

鬼神の剣と、菩薩の心を持つ最強の少女が背負う宿命

おすすめポイント・感想・レビュー

徳川家康、加藤清正、柳生宗矩ら歴史上の人物が登場し、その歴史の裏側で刺客が暗躍するという、史実とフィクションの混ぜ方が面白い。

剣が走る速さ、森の静けさ、人が死ぬ瞬間のあっけなさまで伝わってくる演出力もさすがです。

刺客が敵を倒していく時代アクションとしても面白いですが、『あずみ』がここまで残る理由はそれだけじゃない!

なんといっても、主人公のあずみがめちゃくちゃ魅力的。小山ゆうといえば、魅力的な男主人公の印象も強かったので、初めて読んだときは女の子が主人公というのがすごく意外でした。

全48巻は長いなぁと思うんだけど、読み始めるとあっという間です。

第一話から容赦なし!一気に引き込む凄絶なスタート

とにかく初期の展開が衝撃的!中でも1話のインパクトがすごい!

山奥で刺客として育てられた10人の子供たちが、いよいよ外の世界へ。その前に修行の総仕上げとして、とんでもなく残酷な試練が待っています。

あずみが元祖というわけではないんだろうけど、初めて読んだときは「すごい漫画が始まったな」と思ったのを覚えています。

しかも本当にすごいのは、これがまだ序の口なんですよね。笑

最強の刺客なのに純粋すぎる、あずみが魅力的

『あずみ』最大の魅力は、やっぱり主人公のあずみです。

戦えば恐ろしく強い。それこそ普通の剣豪では相手にならないレベルなのに、中身は世間知らずで無邪気な女の子。弱い者を放っておけず、ときには敵にさえ情を向けてしまいます。

このギャップがいいんです。

どれだけ強くて、どれだけ敵を倒しても、大切なものまで守れるとは限らない。戦えば戦うほど孤独や喪失が積み重なり、使命を果たすという生き方に悩むあずみ。

次第に、読んでいて気になるのも「次は誰をどうやって倒す?」じゃなくて、「あずみは、最後どうなるんだろう」になっていくんですよね。

全48巻の長い物語を飽きずに読めたのは、あずみの魅力のおかげです。

敵も味方も容赦なし!出会いと別れの人間ドラマ

今作では、本当にたくさんのキャラが登場しますが、パッと顔が思い出せるくらい特徴的なキャラが多いです。小山ゆうは敵も味方も魅力的に描くのが本当にうまい。

あずみが旅先で出会う人々はもちろん、敵として現れる人物にも癖や生き方があり、捨てキャラが少ないんですよね。

重要だと思っていたキャラや、普通の漫画では最後まで生き残るようなキャラ、死亡フラグすら立っていない仲間。魅力的なキャラクターたちが、まるでヤラレ役かのように、敵も味方も本当にあっけなく死んでいきます。

魅力的な人物が登場しても、「この人は最後まで生きるだろう」と安心できないのが『あずみ』。

出会って、心を通わせて、さあこれからというところで容赦なく別れがやってくる。出会いと別れの積み重ねが、とにかく切ないです。

しかし、ブサイクなキャラをよくあそこまで不細工に描けるよな。笑

美しいのに残酷!小山ゆうの絵と殺陣に引き込まれる

敵をバッサバッサと斬り伏せる。強敵との激しい鍔迫り合い。そんな剣戟アクションとは真逆の殺陣を見せてくれる『あずみ』。

  • あずみの剣が一閃したと思ったら、次のコマではもう血が噴き出している。
  • 刀の軌道のあと、首に斬られたとわかる線が1本入るだけ。
  • 振り向きざまに、首に刀をサクッと刺すだけ。

派手な斬り合いなんかしなくても、こんなんでも人は死ぬよと言わんばかりに、大げさに引っ張らず、淡々と命を絶っていく。

淡々と決着するからこそ、人が斬られる怖さまで妙にリアル。このあっさりした感じが、逆にいい。

小山ゆう独特のスピード感ある殺陣の見せ方もめちゃくちゃうまいです。

一連の動きで見せる美しさももちろんあるんだけど、映画のカットシーンをつなげるように、一コマ一コマで動きを見せる殺陣が印象的。

小林まことのような、静止画なのにまるで動いているようなスピード感とはまた違う。漫画のコマでシーンをつないでいくことで動きを表現し、構図とコマ運びだけで「速い」「強い」を伝えてくる。結果、刀の速さまで見えるような殺陣になっています。

さすがに刀の切れ味が良過ぎる感がしないでもないけど。そこはご愛嬌。笑

こんな人におすすめ

剣客ものや時代アクションが好きなら、まずおすすめです。ただ派手に斬り合うだけではなく、戦う人間の生き方や、命を奪うことの重さまで描かれるので、重めの人間ドラマが好きな人にも刺さると思います。

さらに徳川政権が固まっていく時代を舞台に、実在した人物たちの陰で架空の刺客・あずみが暗躍するのも面白いところ。

史実とフィクションを混ぜた歴史エンタメが好きな人におすすめです。

序盤のテンポが早すぎて感情が追いつかない!
最初の試練が、10人を親しい者同士で組ませて殺し合わせること。あずみは大好きだったなちと戦うことになります。

いや爺、10年かけて育てておいて、いきなり半分に減らして本当にいいのか?笑

仲間同士の殺し合いから始まり、あずみ達による村人惨殺シーンは衝撃的でした。

女子供構わずサクサク行きます。

その先は、試練を生き残った仲間たちと歴史の裏で暗躍する話になるのかと思ったら、その仲間たちまでどんどんいなくなる。

もうね、使い捨てにもほどがある。こんなに仲間どんどん減らして大丈夫かと、読んでるこっちがハラハラします。

読み返してみて何がすごいって、一番印象に残っている仲間たちとの別れが、まだ序盤も序盤だということ。まさかそこから48巻続くとは…。

序盤から使い切る思い切りの良さがすごいです。

長期連載だからこその面白さとマンネリ
その後もあずみは新しい人と出会い、事件に巻き込まれ、戦い、そして大切な人を失っていきます。

これが『あずみ』の面白さではあるんですが、48巻も続くと、さすがにパターン化してしまった感じも。

小山ゆう自身も、『あずみ』に関しては、先の展開をほとんど決めずに描いていたと語っているけれど、「あずみが人と出会う→事件に巻き込まれる→大切な人を失う→戦う」という流れが重なるため、後半は展開に既視感もありましたね。

爺の仇をうって終わってればきれいにまとまった作品だったとは思う。…といいながら、新しいキャラが出てくると結局好きになっちゃうんだけどね。完全に小山ゆうの手のひらの上です。

最終回、あずみには幸せになってほしかった
ラストで、あずみは自分の出生につながるかもしれない安曇野の隠れ里へたどり着きます。

ここで何か分かるのかと思ったら、結局はっきりしないまま。あずみ自身の人生にも明確な答えは出ず、物語は第一部完となります。

個人的には、48巻もあずみの人生を追い続けたからこそ、もう少し明確な答えが欲しかったなぁ。これだけ人を失ってきたんだから、最後くらい幸せになってくれよという気持ちはちょっとある。…いやかなりある。笑

せめて、千代蔵は殺さなければ、もう少しきれいなハッピーエンドで終われた気がするけど。

一方で、小幡月斎(爺)のあとに、あずみを囲う天海が、完全に善人ではないまでも最後まであずみの味方だったのは良かった。歴史ものでは黒幕的な悪役として描かれることが多いキャラだけに、最後に裏切られるんじゃないかとひやひやしてました。

そして、なんといっても飛猿が生き残ったのは大きかったですね。あずみに関わった人物が次々と死んでいく中、飛猿は物語初期から最終盤まで生存する珍しい存在。「誰も残らない」物語にならなかっただけでも、飛猿の存在にはかなり救われました。

小山ゆう、どれだけの魅力的なキャラを生み出して、自ら葬ってきたんだろう。笑

類似作品 こちらもオススメ!

江戸時代を舞台に、死ねない男と剣客たちの生き様を描いた『無限の住人』(沙村広明や、人ならざる力を持つ女性戦士たちが過酷な宿命を背負って戦う『CLAYMORE』(八木教広なんかは『あずみ』と共通する面白さがあります。

『あずみ』序盤の展開は、『キングダム』(原泰久)の羌瘣たちが挑む「祭」を思い出す人も多いのでは?

あとがき

やっぱり小山ゆうの絵柄と時代劇はよく合うなぁ。

暗殺者として純粋培養されてたところから、ずいぶん遠くまできたもんだ。最後まで読んできて、あずみの長い人生をずっと見てきたような感覚になりました。

目を閉じると、小山ゆうお得意の歪む背景の中、「あ゙あ゙あぁー」という叫びとともに散っていくキャラが浮かぶようです。

死んでいったキャラの顔や性格が思い出せるほど。それくらい、それぞれみんな、ちゃんと作品の中で生きてたよね。

改めて振り返っても魅力的なキャラが多すぎて、あずみが誰も死んで欲しくないからと一人になりたがるのもよくわかる。笑

小山ゆうのおすすめ漫画作品ランキングもチェック!

『あずみ』が気に入ったなら、小山ゆうのほかの作品もぜひ読んでみてください。

時代劇だけでなく、ボクシングや青春、歴史ものなど題材はさまざまですが、どれも感情を揺さぶられる作品ばかりですよ。

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【唯一無二のギャグ漫画家】西森博之のおすすめ作品ランキング!https://mangakarankings.com/196https://mangakarankings.com/196#commentsMon, 25 Sep 2017 09:00:47 +0000http://mangakarankings.com/?p=196

西森博之(にしもりひろゆき)作品にハズレ無し。 いろんな作品やっても、根本的にはいつもワンパターン。なのにいつも面白いっていうのはスゴイ。 『今日から俺は』と同時期に連載していた、『行け!稲中卓球部』『すごいよ!!マサル ... ]]>

西森博之(にしもりひろゆき)作品にハズレ無し。

いろんな作品やっても、根本的にはいつもワンパターン。なのにいつも面白いっていうのはスゴイ。

『今日から俺は』と同時期に連載していた、『行け!稲中卓球部』『すごいよ!!マサルさん』などのギャグ漫画は、影響を受けた漫画が大量に生産されたけど、西森博之作品は真似しようと思っても出来ないタイプの漫画。

「西森作品が好きならこの漫画家もおすすめだよ」という漫画に出会ったことがない。

設定とか絵柄は真似できても、この人の笑いやノリ部分を真似できる漫画家はそうそういない。

まさに唯一無二のギャグ漫画家。

今回はそんなシリアスも笑い(ギャグ)も描ける漫画家、西森博之のおすすめ作品をランキング形式で紹介!

10位 今日から俺は!! 〜勇者サガワとあの二人編〜(きょうからおれは!! ゆうしゃサガワとあのふたりへん)

30秒でわかる作品紹介
『今日から俺は!! 〜勇者サガワとあの二人編〜』は、本編完結から約20年ぶりに描かれた『今日から俺は!!』の特別編です。

主人公は、三橋や伊藤と同級生だった佐川。大人になった佐川が暮らす現代に、なぜか高校生のままの三橋と伊藤がタイムスリップしてきたことで物語が動き出します。

今井や谷川といった懐かしい面々も登場し、全1巻ながら240ページとボリュームもしっかり。久しぶりに『今日俺』の世界を楽しめる一冊です。

ランキングの理由・推しポイント
第10位は『今日から俺は!! 〜勇者サガワとあの二人編〜』。

20年ぶりに復活ということで、読切かと思いきやまさかのボリュームに歓喜です。単行本1冊分しっかり描かれているので、今回は『今日から俺は!!』にまとめず、独立した作品としてランキングに入れました。

佐川を主人公にしたスピンオフかと思いきや、まさか高校生のままの三橋・伊藤を現代で活躍させるとは思いませんでしたね。

やっぱり三橋と伊藤が再び暴れ回る姿を見られるのはうれしいし、現代の悪者と90年代の高校生が戦う展開も普通に面白い!

とはいえ、『今日俺』の面白さありきの作品ではあるので、単体作品としては10位にしました。

『今日俺』ファンなら懐かしいキャラクターとの再会も含めて楽しめる一冊です。

9位 甘く危険なナンパ刑事(あまくきけんなナンパでか)

30秒でわかる作品紹介
『甘く危険なナンパ刑事』は、西森博之が『今日から俺は!!』初期と同時期に描いた、全2巻の刑事ギャグ漫画です。

主人公は、女好きで金にも目がない刑事・相沢光司。刑事らしからぬ自由すぎる行動で騒動を巻き起こしながら、いざというときには腕っぷしの強さと男気を見せて事件を解決していきます。

基本は1話完結でサクサク読める作り。軽快な刑事コメディながら、ギャグとシリアスのギャップなど、後につながる西森博之らしさものぞかせる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第9位は『甘く危険なナンパ刑事』。

西森博之の初期作品ということもあって、現在の作風とはだいぶ違います。ストーリーを積み上げていくというより、相沢が毎回騒動を巻き起こす1話完結型のショートギャグが中心です。

ただ、普段はいい加減なのに決めるところでは決める主人公や、ギャグからシリアスへ切り替わる展開など、『今日から俺は!!』にも通じる西森作品の原型が見えるのが面白いところ。

全2巻と短く、後の作品ほどキャラクターや物語を掘り下げるところまではいかなかったため9位としましたが、西森博之の作風の変化を知る意味でも読んでおきたい一作です。

8位 スピンナウト

30秒でわかる作品紹介
『スピンナウト』は、西森博之と春風邪三太の共作で描かれた、全4巻の異世界ファンタジー漫画です。

主人公は、小柄ながら怪力の高校生・大原五月と、不良に見えて実は臆病な田中誠。謎の光によって突然異世界へ飛ばされた二人は、奴隷として過酷な生活を送った末、やがて世界を支配する覇王・カザナンとの戦いへ巻き込まれていきます。

今では定番となった異世界ものですが、本作が連載されたのは1998〜1999年。西森作品では珍しい、本格的な冒険ファンタジーを楽しめる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第8位は『スピンナウト』。

西森博之作品の中ではあまり名前が挙がらない作品かもしれません。一般的にはどちらかといえば、『甘く危険なナンパ刑事』のほうが評価は高い印象かな?

僕自身も読んだ当初は、ストーリー重視の異世界ファンタジー独特の雰囲気に戸惑いましたが、3回、4回と読むうちに意外と好きになっていきました。何回読んでんだ。笑

西森博之作品といえば、クセの強いキャラクター同士の掛け合いやコメディが魅力ですが、本作はちょっと毛色が違います。

春風邪三太との共作ということもあってか、笑いよりも異世界での冒険や戦い、登場人物の成長といったストーリーに重きを置いた作品。いつもの西森作品を期待すると少し違いますが、逆にこれだけ本格的なファンタジーはかなり珍しい。

原作と絵、どちらがどれくらいの割合を受け持っているのかは分かりませんが、今でも交流のある元アシスタントとのコンビですので、西森博之作品として違和感はありません。

他の長期連載作品と比べると低くはなりますが、短期連載作品の中では実はかなり好きな作品。4巻という短さですが、最後までしっかり完結しています。西森博之の違った一面を見てみたい人にはおすすめしたい作品です。

7位 カナカナ

30秒でわかる作品紹介
『カナカナ』は、人の心が読める少女・佳奈花と、海辺の街で居酒屋を営む元ヤン・日暮正直(マサ)の共同生活を描いた子育てコメディです。

その能力ゆえに大人を信用できなくなっていた佳奈花ですが、裏表がなく思ったことがそのまま心に出るマサと出会い、ひょんなことから一緒に暮らすことに。

これまでの西森作品よりもほのぼのとした雰囲気が強く、笑いを交えながら二人が少しずつ家族のような関係になっていく姿を描いています。2022年にはNHKでドラマ化され、単行本6巻で第一部完となっています。

ランキングの理由・推しポイント
第7位は『カナカナ』。

強面だけど根は優しいマサと、人の心が読めるちょっと大人びた佳奈花。この組み合わせがいいんですよね。

能力を使ったドタバタもありますが、中心にあるのは二人の日常。これまで高校生を主人公にした作品が多かった西森博之が、元ヤンの青年と少女の疑似親子的な関係を描くというのも新鮮です。

これまでとは違った空気感の作品になってます。だって西森作品がNHKでドラマ化ですよ?(福田雄一じゃないよ。笑)しかも連載開始からわずか2年ほど。これだけでも今までとは違う作品なのが分かります。

ただ、現在は6巻で「第一部完」の状態。二部の期待も込めて、今回は7位としておきます。続きが描かれたら順位が変わる可能性は十分ありそうです。

第二部はあるんだよね?ね?

6位 鋼鉄の華っ柱(こうてつのはなっぱしら)

転落した御曹司の逆境成り上がりストーリー!

30秒でわかる作品紹介
『鋼鉄の華っ柱』は、大企業グループの御曹司として何不自由なく育った高校生・御前崎真道が、突然すべてを失ったところから始まる逆境ギャグコメディです。

会社の倒産によって大富豪から一文無しへ転落し、庶民の生活へ放り込まれてしまった真道。それでもまったくへこたれず、便利屋で働きながら再び這い上がっていきます。

どん底でも「紳士」であることを貫き、腕力だけでなく頭と機転、ときには悪知恵まで使って窮地を切り抜けていく。

クセの強い仲間たちとの掛け合いも楽しく、いつもの西森博之作品とはちょっと違う面白さを味わえる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第6位は『鋼鉄の華っ柱』。

…と言っても、下位だから面白くないという話ではありません。

個人的には西森博之作品の場合、下位が「面白い」、上位が「神」くらいの感覚なので。笑

真道の紳士道も好きだし、頭と悪知恵で相手の上を行く展開も好き。便利屋という設定も西森ワールドとの相性抜群でした。

それだけに惜しいのが全9巻という短さ。

もっと便利屋コメディをやって、仲間たちを掘り下げて、真道がさらに成り上がっていくところまで見たかった!

初めての西森博之作品としておすすめできるくらいのポテンシャルを感じていただけに、「つまらなかった」ではなく「もっと読みたかった」がこの順位の理由です。

→ 『鋼鉄の華っ柱』の詳しいレビューはこちら

こちらもオススメ!

御前崎真道という主人公の面白さや、これまでの西森博之作品とは少し違う頭脳派の戦い方、全9巻で終わってしまった惜しさまで、個別レビューではさらに詳しく語っています。

気になった方はぜひこちらも読んでみてください。

5位 柊様は自分を探している。(ひいらぎさまはじぶんをさがしている。)

記憶喪失の美少女と硬派な高校生の絆の物語!

30秒でわかる作品紹介
『柊様は自分を探している。』は、記憶喪失の和服美少女・柊様と、なぜかその家来にされてしまった高校生・白馬圭二郎を描くボーイ・ミーツ・ガール作品。

偉そうで気位が高く、普通じゃない強さまで持つ柊様に、硬派で一本筋の通った圭二郎が振り回される毎日。最初は学園コメディやラブコメっぽく進むんですが、柊様の過去をめぐる謎から、物語はミステリーやファンタジーへと広がっていきます。

西森博之らしいクセの強いキャラと笑いを楽しみつつ、最後まで読むと印象が大きく変わる一作です。

ランキングの理由・推しポイント
第5位は『柊様は自分を探している。』。

正直いうと、中盤くらいまでは「西森博之作品の中だと、今回はちょっと弱いかな」と思っていました。ギャグの勢いや脇役の濃さなら、上位にした作品の方がやっぱり好きです。

面白くなりそうな要素はたくさんあったので、前半も後半もあと5巻ずつくらい欲しかった。全18巻くらいでじっくり読みたかったなぁ。

…と言いながらも、ラストの感動は、西森博之作品の中でもトップクラスでした。

強くてちょっと面倒くさい柊様と、最後までブレない圭二郎。この二人の関係が終盤になって一気に効いてくる。

読み終わったあとは大好きになっていた作品です。

「いつもの西森博之」と「いつもとは違う西森博之」が同居した不思議な魅力のある作品でした。

→ 『柊様は自分を探している。』の詳しいレビューはこちら

こちらもオススメ!

途中まではそこまで高くなかった評価が、なぜ最終巻でガラッと変わったのか。柊様と圭二郎の魅力や、いつもの西森博之作品との違いも含めてじっくり語っています。

ネタバレありでラストまで触れているので、読んだあとに「あそこ良かったよなぁ」と語りたい人にもぜひ。

4位 道士郎でござる(どうしろうでござる)

あらすじ・作品解説
帰国子女の武士!?アメリカから帰国した道士郎。
幼いころからアメリカのネバダ州で父に育てられた道士郎の目標は自分が仕えるべき主君を探すこと。
日本に帰国してみたものの武士として成長した道士郎と周りには埋められないギャップが。
間違った日本の知識によって見事な時代錯誤っぷりを披露する。
そんな変人、そして腕っぷし最強の道士郎と、クラスメイト健助(ツッコミ)のハーモニー。

おすすめポイント・感想・レビュー
道士郎の武士っぷりと飛びぬけた強さが爽快。

健助殿の部屋の押入れに潜んでいたシーンが一番好き。

タイトルは道士郎だけど、実質主人公は健助。西森博之作品の中では唯一、普通の人が主人公の漫画じゃないかな?

天こなでいうと安田+藤木から変態を抜いた感じw

それだけにキャラが良い感じに立ってきたと思った時に、8巻で完結(打ち切り)は非常に残念。

長期連載出来るだけのポテンシャルはあったと思うんだけどな。

西森博之の漫画は長期連載して、キャラが完全に出来上がってからこそ本領発揮だと思ってる。

そうしてやっと「公園で子供に絵本の読み聞かせをするだけ」みたいな話が生まれるのだ!

単行本もワイド版が出るくらいだから人気もあっただろうし。いつか続編描いてくれないかな。

3位 お茶にごす。(おちゃにごす)

あらすじ・作品解説
顔が怖い、見た目がとにかく怖い、最強の不良まークン。
悪魔(デビル)まークン、あくまークン。あだ名が意外とキュート。
そんなあだ名がつけられた、最強な不良の男船橋雅矢。
穏やかな心を求めて茶道部に入部するだと!?
突き抜けたギャグ描写があなたの腹筋を襲う!

おすすめポイント・感想・レビュー
もういいんだ。マンネリでも。

変わらない西森博之の面白い漫画が読めるだけで満足なんだ。

なのに…まだ進化するのか!?

ここまでの西森博之作品の中では一番、吹き出すようなギャグは少なかった。

でも、ストーリーはお茶にごすが一番好きだ。

それもこれも、「部長」の存在が大きい。

今までの西森博之作品にはいなかった完全なるヒロイン。

いろんなキャラが頭の中で考えていることを描くことで、キャラがどんどん立っていくのが今までの西森作品。

でも今回のブチョーは心の声の描写がほぼない。(その分、他のキャラはわかりやすくキャラ立ちしてる)

だからこそ、セリフは少くなくても、後半のブチョーとマーくんの微かな心の動きが響く、響く。

ラストの流れはホントに感動。

またまた名作だ!

終わった当初、新展開に入ってあっさり終わったので、打ち切りかと言われたけど、西森博之の中で最初から決めていた流れだったらしい(本人コメント)

個人的には続き描いて欲しいとは全く思わない最高のラストだったけど、部員や顧問、アニ研など何人かはもっと掘り下げて欲しかったキャラがいたから、途中の3年生卒業までの部活の日常はもっと長く見ていたかったな。

2位 天使な小生意気(てんしなこなまいき)

あらすじ・作品解説
西森博之得意の不良少年が乙女に惚れる系。
主人公の恵は、めちゃくちゃ可愛い女子高生。しかし、めちゃくちゃ強い。
類まれなる美貌を持っている恵は、外見とは裏腹に男の中の男を目指している。実は恵はもともとは少年だった!?
全50話でアニメ化している。

おすすめポイント・感想・レビュー
この作品までは、お世辞にもカワイイ女の子が描ける作家ではなかったはず。

この漫画で西森博之の描く女の子=かわいいというイメージが出来てしまった。

決して上手いわけではないんだけど。

基本的に恵がとんでもなく可愛いという設定の上で成り立ってるストーリーなんだけど、そこに無理がないと思わせてしまうのはすごい。

ファンタジー色も強くなくちょうどいい。最後まであっという間に読める。

全てが、最終話に向けて描かれているので、無駄なバトルもなく、よくまとまっている。

その分、それぞれのキャラの日常が少なくて、基本めぐ主体の話になってしまうのが残念。(全員が恐ろしくキャラが立ってるだけにもったいない)

今日俺はいつでもやめられるけど、面白くて止まらない感じだったけど、天こなは最後まですいすい読めるけど、引っかかった笑いは少ない感じ。

充分すぎるほど面白いんだけどね。チタマ背景も今日オレからパワーアップ(笑)

今日俺から見てなければ気になることもないレベルで笑える。

変態も武士も石の人もルパンもみんないい味出してるけど、やっぱり好きなのは藤木。

西森博之作品のキャラでランキング作っても、トップクラスに好きなキャラだわ。

健助殿のようにメキメキと成長することもなく、最初から最後まで普通。

特別な奴らの中で普通として頑張っていた藤木が大好きだ。

今から読むならワイド版が断然オススメ。

藤木メインの話が1本と、小悪魔の話が外伝として読めます。

1位 今日から俺は!!(きょうからおれは)

あらすじ・作品解説
最初は増刊少年サンデーで連載開始し、週刊少年サンデーに移してロングヒットとなったヤンキー漫画。
二人の転校生が転校をきっかけに、今日から俺はとツッパリで生きていく青春ストーリー!
ヤンキー漫画というよりは、ギャグ漫画の要素が強い。

おすすめポイント・感想・レビュー
西森博之の作品には必ず出てくるヤンキー。

けど、ヤンキー漫画ランキングで順位を付けたとしても、この作品のランキングはひじょーに低くなる。

西森博之作品は間違いなくギャグ漫画!笑えて微笑ましくなるタッチの新ジャンルのコメディ不良漫画!

そして、このジャンルでは自分の中では、いろんな漫画を読んできたけど未だに不動の一位にいる。

下ネタもなく、絵のインパクトのみで笑わせるわけでもなく、でも電車では読めないほど面白い。

文句なしにおすすめ。ギャグ漫画好きなら読むべし!

特にキャラがしっかり出来上がった後の後半は、どう転がっても面白い感じ。

こんな漫画には西森博之以外に出会ったことがない。

よく全く同時期に連載してた、稲中と面白さ比べられてたけど、同じギャグ漫画でありながら面白さがまったく別。

シリアス部分の存在も大きいけど、基本ギャグ漫画でクオリティを落とさず38巻。スゴすぎ。

あと、最終回。

最終巻が一番好きな漫画ランキングでもトップクラスに感動した漫画。

あとがき

あなたがおすすめする西森博之作品は?

注:この記事内にアンケートがあります。アンケートへのご参加をお願いします。

『今日から俺は』がやっぱり1位。いつもヤンキー漫画のランキングに入ってくるのが、どうにもイヤなんですよね。あそこの分野で戦ったらどうやってもランキング下になるもんなぁ。

『鋼鉄の華っ柱』連載終了後は、『満天の星と青い空』や『俺の心臓は彼女にしか撃ち抜けない』と小説家としての活動がメインになっていたけど、再び描いてくれてうれしい限り。

西森博之の作品は、なんとなくクドカン(宮藤官九郎)のドラマに似てる。

いつも同じようでいて、いつもちゃんと面白い。脇役までキャラが立ちすぎて、読んだ後にもう会えない、あいつらの活躍が見れないと思うと寂しくなる。

最近の作品は10巻前後の作品が多くて、いいキャラなのに脇役が薄いのが残念。長期連載でどんどん脇役が目立って魅力的になっていくのが好きなのに。短い作品が多くなったのが『道士郎でござる』の打ち切りのせいだとしたら悲しすぎます。

とにかく引き伸ばしを期待してしまう漫画家ランキングナンバーワン!

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『鋼鉄の華っ柱』の感想・レビュー|転落した御曹司の逆境成り上がりコメディ【西森博之】https://mangakarankings.com/441832https://mangakarankings.com/441832#respondWed, 02 Sep 2026 14:16:29 +0000https://mangakarankings.com/?p=441832

『鋼鉄の華っ柱(こうてつのはなっぱしら)』は、漫画家・西森博之(にしもりひろゆき)が描く逆境ギャグコメディ。 『お茶にごす。』と同じく、SF要素のない完全な現代劇で、大富豪から一文無しへ転落した御曹司・御前崎真道を主人公 ... ]]>

『鋼鉄の華っ柱(こうてつのはなっぱしら)』は、漫画家・西森博之(にしもりひろゆき)が描く逆境ギャグコメディ。

『お茶にごす。』と同じく、SF要素のない完全な現代劇で、大富豪から一文無しへ転落した御曹司・御前崎真道を主人公に、逆境からの成り上がりを描いています。

西森博之作品らしい魅力を残しながら、腕力だけではなく、頭と機転、ときには悪知恵まで使って窮地を切り抜けるのが本作のみどころです。

あらすじ

『鋼鉄の華っ柱』は、大企業グループの御曹司として何不自由なく育った高校生・御前崎真道(おまえざきさねみち)の転落人生から始まる物語である。

成績優秀、スポーツ万能、容姿にも恵まれた真道は、堂々とした振る舞いで自らを「紳士」と称する一方、頭の回転が速く、必要とあれば相手の裏をかくしたたかさも持つ主人公。

ところが、御前崎グループの会社が倒産したことで生活は一変。財産も豪邸も失い、幼なじみの夏野らとともに、それまで知らなかった庶民の暮らしへ放り込まれてしまう。

それでも真道は悲観することなく、便利屋で働きながら自分なりの「紳士道」を貫いていく。どんな状況でも「紳士的策略」と強靱な精神、持ち前の機転を武器に乗り越えていく逆境ストーリーである。

作品解説

『鋼鉄の華っ柱』は、漫画家・西森博之による逆境ギャグコメディ作品。

御曹司から一転してすべてを失う設定ながら、貧乏生活そのものより、どんな状況でも自分の信念を曲げない真道の生き方を軸に物語が展開するのが特徴である。

堂々と「紳士」を掲げながら、必要とあれば策を巡らせる計算高さも持ち合わせ、そのギャップが笑いと痛快さを生み出している。財産や立場が変わることで見えてくる人間関係や、真道に振り回されながら変化していく周囲の人物も見どころ。

不良やケンカではなく元御曹司を主人公に据えながら、強い信念を持つ人物とクセのある仲間たちを描く西森博之作品らしさもしっかり味わえる作品である。

『週刊少年サンデー』で連載され、全9巻で完結。

転落した御曹司の逆境成り上がりストーリー!

おすすめポイント・感想・レビュー

相変わらず、複雑な初期設定に、ガチガチなキャラ設定で動かしにくい主人公。

道士郎や柊様もそうだけど、この頃の西森作品って面倒な設定からスタートして、制約の中で笑いをとるという枷でも課していたんだろうか。笑

この主人公だったら絶対に取らない行動、絶対に言わないセリフみたいな制約がある中で、話を展開させるの大変だろうなって思うけど、その窮屈さから笑いを作るのがうまいんだよなぁ。

やはり西森博之も「制約と誓約」で漫画力を高めているのかもしれない。笑

西森博之作品といえばケンカの強い主人公を思い浮かべますが、『鋼鉄の華っ柱』はちょっと違います。

頭が切れるし、行動力もある。そして、かなり腹黒い(笑)。「紳士」を自称しているくせに、必要なら卑怯すれすれの策まで平気で使います。

それでも最後には妙にカッコよく見える。

紳士道を突き進み、腹黒さと品の良さを併せ持つ真道と、それに振り回される仲間たちの掛け合いが魅力の作品です。

何が何でもカッコつける男、御前崎真道

真道はとにかくカッコつける男。

でも決して俺様キャラではなく、元御曹司らしい品を兼ね備えている。(ナチュラルに人を見下してはいる。笑)

どんな状況でも紳士でいようとするし、嫉妬しない、動揺しない、根に持たない。

そうまさに完璧人間…。少なくとも本人はそのつもりです(笑)。

でも実際は、爆笑を必死にこらえたり、失敗を何事もなかったようにごまかしたり、微妙にムキになったりする。他人には完璧を装っているのに、近しい仲間にはバレバレな感じが妙に人間臭くていいんですよね。

そんな真道に、夏野、朝涼、ルー子、品川などの周囲のキャラが、呆れたり振り回されたりしながら付き合っていくのも楽しいところ。主人公と周囲の温度差がいい笑いを生んでいます。

中でも、『今日から俺は!!』の伊藤と今井を一人でこなすような夏野の存在がいい。

真道(の中では)はあくまで完璧であり、主人公一人で笑いを起こせるタイプのキャラではないので、夏野が真道の常識外れな言動を、そのまま流さず拾ってツッコんでくれるから、真道の面白さをさらに引き出してくれます。

腕力より頭で勝つ!これまでとは違う西森ワールド

真道自身も十分強いんですが、本作の面白さはそこじゃない。

相手の性格を読んで、状況を利用して、より効果の高い方法を考え、必要なら卑怯すれすれの手まで使う。

真道的に言えば「紳士的策略」です(笑)。

便利屋をほぼタダ同然で手に入れたり、自分が飛び込み営業している姿をわざと従業員に見せて士気を上げたり。

やってることが、いちいちズルい。

三橋のズル賢さにも通じるところはありますが、真道は楽をするためにズル賢いわけじゃないんですよね。ちゃんと自分も動いたうえで、さらに効果を大きくするために策を使う。

だから夏野も「お前ズルいぞ!」と言い切れない(笑)。

そして西森博之作品らしく、読んでて本気で腹が立つタイプの悪党も出てきます。そういう相手を単純な喧嘩の強さではなく、さらに一枚上の策略で追い詰めていくのが気持ちいい!

ギャグとシリアスの切り替えはやっぱり西森博之

くだらないことで散々笑わせておいて、ここぞという場面では急にカッコいい。西森博之作品のこの切り替えは、『鋼鉄の華っ柱』でもやっぱりうまいです。

特に後半の遠霧編では、それまでの軽い便利屋コメディから一転して、かなり重い話へ入っていきます。

正直、作品の空気はかなり変わります。

でも、前半で「御前崎真道とはどういう男なのか」を散々見せられているからこそ、シリアスになったときに効いてくるんですよね。

相手がどれだけ悪くても、状況がどれだけ重くても、真道は真道。自分のやり方を変えない。

普段当たり前のようにカッコつけている男は、本当にカッコつけなきゃいけない場面でも当然のようにカッコつけるのです。はい。

むしろシリアスになればなるほど、どんな状況でも自分の美学を曲げない真道のカッコよさが際立っていきます。

もっと真道の成り上がりを見たかった!

いや、9巻完結は短いって!

この漫画は間違いなく、続けた分だけ面白くなり続けるタイプの作品でしょうに!

どんな依頼人でも出せるし、どんなトラブルにも巻き込める。便利屋という設定、真道とめちゃめちゃ相性いいと思ったんですけどねえ。

サブキャラに関しても、今回は真道一人で笑いを生む構図じゃない分、それぞれ真道と組むことで違った笑いが生まれるのが面白かった。回を重ねれば重ねるほど魅力が出てきそうなキャラばかりだっただけに残念。

便利屋パートをもっと広げてほしかったし、学校、仲間、真道の将来など、まだ広げられそうな要素が盛りだくさん。

もちろん、シリアスな遠霧編も面白いんです。それは間違いない。

でも、そこへ行くのが5巻、いや10巻くらい早い(笑)。

成り上がりものとしてもっとじっくり読みたかったなぁ。ここからもう一段、二段と面白くなりそうな感覚が強かっただけに、もっともっと続きを見たかった作品です。

あ、もちろん話が破綻して終わるわけでもなく、遠霧家の問題もしっかり決着がつき、最終話も多少の駆け足感はあるものの、しっかりと区切りのあるラストになっています。

こんな人におすすめ

大きな一本のストーリーを追うより、日常の中で次々と笑いが生まれる西森博之作品が好きな人にはかなり相性がいいです。

逆境からの成り上がりが好きな人、腕力より頭を使って相手の上を行く主人公に爽快感を覚える人にもおすすめです。

遠霧家編からのシリアス展開、そして一気に最終話へ
遠霧家編そのものは読み応えがあるし、重い状況でも真道が紳士を貫く姿はカッコいい。

でも、正直ここで終わっちゃうとは思わなかったな。

結果、後半の7巻以降最後まで、回想と蘭子関連の話で終わってしまったのは残念でしたね。

もともと、途中で挟む予定のエピソードだったのか、ラストに持ってくるつもりの長編エピソードだったのかはわかりませんが、遠霧家編の決着とともに、日常パートに戻ることなく、そのまま連載終了となってしまいました。

よく話題にのぼるけど『鋼鉄の華っ柱』は、結局、打ち切りだったのかなぁ。

朝涼は西森作品でも珍しいヒロイン
朝涼って、西森博之作品の中でもちょっと変わったヒロインですよね。

真道との恋愛を特に強く匂わせるでもなく、基本は一歩引いた位置から物語を支える。西森作品によく登場する、魅力的なサブヒロインにも近い立ち位置。

夏野がライバルと相棒を兼任するようなキャラだったのと同様に、朝涼もメインとサブどちらも兼任するような不思議な役割のヒロインでした。

だからこそ、最終話で急に二人の関係へスポットが当たる展開は「ここで来るのか!」となりましたね。

真道の告白に涙を見せる朝涼が急に可愛い。告白の場面までブレずに真道が真道なのもいい。笑

それまでの二人の積み重ねがあるからこそ効くラストでした。

これがサッチャンだったらどうかな…。

類似作品 こちらもオススメ!

毎回言ってるけど西森博之作品は唯一無二。類似作品なんてありません。…という前置きをしつつ(笑)。

殴り合いよりも、策略、悪知恵、ハッタリを駆使して成り上がっていくギャグ漫画だと、『カメレオン』『ジゴロ次五郎』などの加瀬あつし作品が近いかなと思います。

社会からはみ出した主人公たちが、便利屋的な仕事をしながら変な人たちとの騒動に巻き込まれていく『僕といっしょ』(古谷実も似た部分があります。

ジャンルはかなり違うけれど、ゼロから知略・ハッタリを武器に成り上がっていく漫画だと『トリリオンゲーム』(稲垣理一郎・池上遼一も面白いですよ。

あとがき

成瀬先輩とか、今後いい仕事してくれそうなキャラだったのになぁ。惜しい。

この先に待っている西森博之ACT2、ACT3への進化を知っているからこそ、どうしても「もっと読みたかった」という感想になっちゃうな。

とはいえ、全9巻なので初めて手に取るにも読みやすい長さの作品ではあります。この作品が初めての西森博之作品という人の感想も聞いてみたい。

一つの作品を長く描き続けるようなスタイルは、もうやらないのかなぁ。西森作品の場合、こういうストーリーありきじゃない作品は、いくらでも引き伸ばしてほしいんだけど。

西森博之のおすすめ漫画作品ランキングもチェック!

『鋼鉄の華っ柱』で真道の紳士道が気に入ったなら、西森博之が描いてきたほかの主人公たちもぜひ。

三橋、恵、道士郎、柊様など、タイプはまったく違うのに、それぞれに「こいつなら絶対こうする」という芯がある。全員が譲れない美学を持っているのが面白いところ。

実際に読んだ西森博之作品をランキング形式で紹介しているので、次に読む作品選びの参考にしてみてください。

→ 西森博之のおすすめ漫画作品ランキングはこちら

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【実学エンタメの最高峰】三田紀房のおすすめ漫画作品ランキング!https://mangakarankings.com/384https://mangakarankings.com/384#respondWed, 28 Sep 2016 15:50:32 +0000http://mangakarankings.com/?p=384

企業家? 起業家? 投資家? いや、三田紀房(みたのりふさ)は漫画家だ。笑 三田紀房の作品は、受験や投資、仕事、歴史、野球など、ジャンルは多岐に渡りますが、そのどれもがとにかく現実寄り。 いわゆる気持ちいい成功物語とは違 ... ]]>

企業家? 起業家? 投資家? いや、三田紀房(みたのりふさ)は漫画家だ。笑

三田紀房の作品は、受験や投資、仕事、歴史、野球など、ジャンルは多岐に渡りますが、そのどれもがとにかく現実寄り。

いわゆる気持ちいい成功物語とは違い、世の中の仕組みや考え方を、わりとストレートに見せてくる作品が多いです。

画力が高い漫画家ではありませんが、話の流れはとても分かりやすく、テンポもいい。そして、時折の現実を突き付けるような台詞は迫力があって魅入ってしまいます。

説明が多いのに読みやすく、気づけば次のページをめくっている。この構成のうまさと演出力、言葉の力が三田紀房の一番の武器だと思います。

「東大なんて簡単だ」と言い切った『ドラゴン桜』では受験の勝ち方を、『インベスターZ』ではお金と投資の考え方を、『アルキメデスの大戦』では歴史と戦略を描いてきました。『砂の栄冠』『クロカン』『甲子園へ行こう』など野球を題材にした作品も多いですが、もちろん爽やかさはゼロ。でも、そこが面白い。笑

説教くさいのに、なぜか納得してしまう。そんな実学エンタメを極めた三田紀房のおすすめ作品を、今回はランキング形式で紹介します。

12位 透明アクセル(とうめいアクセル)

30秒でわかる作品紹介
『透明アクセル』は、大手広告代理店で働く新人・青木を主人公に、広告やマーケティングの世界を描いたビジネス漫画です。

フィギュアスケート選手のボートレーサー転向を仕掛けたり、ライバル会社と競いながら映画製作に乗り出したりと、仕事のスケールは新人らしからぬ大きさ。

「どうすれば人を動かし、商品や企画を売れるのか」という広告業界ならではの考え方に加え、映画ビジネスの仕組みや舞台裏まで楽しめる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第12位は『透明アクセル』。

三田紀房が本作で目をつけたのは広告業界。広告やマーケティングを題材に、ヒットを生み出す仕掛けや映画ビジネスの裏側まで見せてくれるのは、いかにも三田紀房らしいところ。

題材自体は実学エンタメとの相性もよく、もっと掘り下げればかなり面白くなりそうなのですが、残念ながら全3巻で完結。面白くなりそうな要素を十分に広げる前に終わってしまった印象です。

三田紀房作品ならではの「なるほど!」と思わせる知識や発見も少なく、他作品と比べるとさすがに物足りず…。

11位 スカウト誠四郎(スカウトせいしろう)

30秒でわかる作品紹介
『スカウト誠四郎』は、プロ野球選手を引退した武光誠四郎が、第二の人生としてスカウトの世界へ飛び込む野球漫画です。

全国を回って将来有望な選手を探し、その実力や将来性を見極め、ドラフト指名を目指して奔走する誠四郎。

試合で活躍する選手ではなく「才能を発掘する側」にスポットを当て、選手への接触や他球団との駆け引きなど、普段はなかなか見えないプロ野球のスカウトという仕事を描いた作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第11位は『スカウト誠四郎』。

『クロカン』『甲子園へ行こう!』『砂の栄冠』など、数々の野球漫画を描いてきた三田紀房ですが、本作の主人公はなんとスカウトマン。

選手をどう評価するのか、どうやって有望な選手を見つけるのか、他球団との競争をどう勝ち抜くのか。試合とはまた違ったプロ野球の駆け引きを楽しめるのが面白いところです。

残念なのが全2巻という短さ。これからさらにスカウトの世界を掘り下げていくのかと思ったところで終わってしまうため、やっぱり物足りなさは残ります。

スカウトという題材も面白く、もっと読みたかった作品ですが、未完ということもあって今回はこの順位にしました。

10位 エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-

30秒でわかる作品紹介
『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-』は、『ドラゴン桜』に登場した英語教師・井野真々子を主人公に、転職や仕事をテーマに描いたビジネス漫画です。

教師という仕事に疑問を感じていた井野は、転職代理人・海老沢康生との出会いをきっかけに、自らも転職代理人の道へ。

さまざまな相談者の転職をサポートしながら、仕事選びやキャリア、起業など、社会人なら気になるテーマを三田紀房らしい独自の切り口で見せてくれる、いわば「社会人版ドラゴン桜」です。

ランキングの理由・推しポイント
第10位は『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-』。

受験の次は転職!仕事やキャリアについて「なるほど」と思わせる話も多く、普通の転職本や自己啓発本を読むより、よっぽど役に立つ……かもしれない。

中でも好きなのが、変わり者たちが集まって普通の人なら挑戦しないようなビジネスを実践していくところ。こういう生き方もかっこいい!と思わせてくれます。

ただ、個人的には『ドラゴン桜』と中途半端につながっているのが惜しい。知っているキャラのその後を見られる楽しさはあるものの、どうしても『ドラゴン桜』を求めてしまいました。完全な別作品だったら、また印象が違ったかも。

9位 甲子園へ行こう!(こうしえんへいこう)

30秒でわかる作品紹介
『甲子園へ行こう!』は、神奈川県の県立・鎌倉西高校を舞台に、甲子園を目指す高校球児たちを描いた野球漫画です。

主人公は、1年生の控え投手・四ノ宮純。エースの故障によって夏の地区予選で急きょ先発するも、勝利目前で崩れてサヨナラ負け。その悔しさをバネに投手として成長していきます。

派手な必殺技や超高校級の能力ではなく、練習や技術、試合での駆け引きを積み重ねながら、普通の公立校が甲子園を目指していく正統派の高校野球漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第9位は『甲子園へ行こう!』。

『クロカン』『砂の栄冠』と並ぶ、三田紀房の高校野球漫画のひとつです。

本作の特徴は、かなり真面目に高校野球を描いていること。投球フォームや配球、練習方法など技術的な部分にも踏み込みながら、四ノ宮たちが少しずつ強くなっていく過程をじっくり描いています。

野球漫画としてしっかり楽しめる作品ですが、『クロカン』の監督目線や『砂の栄冠』の1000万円といった強烈な仕掛けと比べると、良くも悪くも正統派。そのぶん三田紀房作品としてはややインパクトに欠けるかな。

8位 Dr.Eggs ドクターエッグス

30秒でわかる作品紹介
『Dr.Eggs ドクターエッグス』は、成績がいいという理由でなんとなく医学部へ進学した青年・円千森を主人公に、医者の卵たちの学生生活を描く医学×青春漫画です。

授業や実習、解剖、進級、恋愛などを通して、医学生がどんなことを学び、どんな悩みを抱えながら医者を目指していくのかをじっくり描写。

医療現場ではなく「医者になるまで」にスポットを当てた珍しい切り口で、医学の知識と大学生活の両方を楽しめる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第8位は『Dr.Eggs ドクターエッグス』。

三田紀房にしてはずいぶん擦られた題材選んだなと思ったけれど、やっぱりただの医療マンガではありません。笑

医療漫画は数あれど、「医学部では実際に何を学んでいるの?」というところから描くのが本作の面白いところ。研修医にスポットを当てた漫画はあっても、医学生を描く作品は珍しいですね。

授業や実習を通して医学の知識を自然に学べるあたりは、さすが三田紀房です。

一方で、医学だけに振り切らず、友人関係や恋愛、進路への迷いなど大学生らしい青春もしっかり描かれているので、意外と普通の学園漫画としても読みやすい。

医学部という題材をここまで掘り下げられるのはかなり面白い。ただ、現在も連載中なのでひとまずこのあたりに。

7位 ドラゴン桜2(ドラゴンざくら2)

30秒でわかる作品紹介
『ドラゴン桜2』は、前作から10年後の龍山高校を舞台に、再び東大合格者を出すために桜木建二が帰ってくる『ドラゴン桜』の続編です。

今回、東大を目指す中心となるのは早瀬菜緒と天野晃一郎。前作とは違うタイプの生徒たちを相手に、スマホやSNS、動画学習など、時代に合わせた新たな勉強法を取り入れながら東大合格を目指します。

変わってしまった受験や教育に合わせて、『ドラゴン桜』を現代版へアップデートした作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第7位は『ドラゴン桜2』。

続編ものって前作の焼き直しになりがちですが、本作は受験や教育の変化に合わせて、ちゃんと『ドラゴン桜』もアップデート。

スマホやSNS、動画学習などを積極的に取り入れ、「今ならどうやって東大を目指す?」を改めて描いているのが面白いところです。

もちろん桜木は健在ですし、前作のキャラクターたちのその後を見られるのもうれしいところ。

続編として十分楽しめた作品ですが、やっぱり最初に読んだ『ドラゴン桜』ほどの衝撃はありませんでした。

当時もっと読みたいと思った作品でしたが、受験という期間と「東大合格」というゴールが決まっている題材なだけに、続編で新鮮さを出すのはさすがに難しいですね。

勉強法はしっかり現代版へアップデートされていますが、初めて『ドラゴン桜』を読んだときの「そんな勉強法ありなの?」という驚きは超えられませんでした。

6位 アルキメデスの大戦(アルキメデスのたいせん)

30秒でわかる作品紹介
『アルキメデスの大戦』は、第二次世界大戦前の日本を舞台に、数学の天才・櫂直が戦艦「大和」の建造計画を阻止しようと奔走する歴史漫画です。

海軍内部では「大艦巨砲主義」と「航空主兵主義」が対立。巨大戦艦の建造費に疑問を抱いた山本五十六は、東京帝国大学数学科を中退した櫂を海軍へ引き入れます。

数学を武器に軍部の思惑や不正に立ち向かいながら、やがて日本そのものの未来を変えようとしていく異色の戦争漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第6位は『アルキメデスの大戦』。

戦争漫画なのに、主人公の最大の武器は銃でも戦闘機でもなく数学。この時点で三田紀房らしい!

何より魅力的なのが、主人公・櫂直の天才ぶりです。

極秘機密で「大和」の設計図が手に入らないなら、既存の戦艦を自分の足で歩き回り、巻尺でひたすら測って設計図を作る。そこから「大和」の姿を推測していく。

天才ってひらめきだけじゃなく、今できることを驚くほどしつこく積み重ねられる人なのかも。そんな櫂の常人離れした行動力と執念が痛快です。

数学×戦争という難しそうな題材を、エンタメとして読ませてしまう。歴史漫画でもしっかり三田紀房している作品です。

…とはいえ、普通に歴史漫画として面白すぎだな。笑

三田紀房らしいという意味では上位作品にはちょっと及ばず。

5位 クロカン

30秒でわかる作品紹介
『クロカン』は、型破りな高校野球監督・黒木竜次、通称「クロカン」を主人公にした野球漫画です。

母校を甲子園へ導きながら、その粗暴な言動から監督を解任された黒木。そんな彼のもとへ、弱小・鷲ノ森高校の球児たちが監督になってほしいと訪ねてきます。

主人公が選手ではなく監督という珍しい設定で、常識外れの練習や大胆な采配を武器に、弱小野球部を鍛え上げていく異色の高校野球漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第5位は『クロカン』。

『甲子園へ行こう!』『砂の栄冠』と並ぶ、三田野球三部作のひとつです。

高校野球漫画といえば球児が主人公になりがちですが、本作の主役は監督。しかも、このクロカンがとにかくクセ者です。

指導法も「それ今やったらPTAに怒られるぞ」と言いたくなるくらいハチャメチャ。

中でも印象に残っているのが、一斗缶を持ち出して「お前達は俺から技術を買うんだ」と、練習後に選手から金を集める場面。

高校野球でそんな指導ありなの?と思うくらい衝撃的でした。笑

一見むちゃくちゃに見えるクロカンの指導にもちゃんと狙いがあり、それによって選手たちが変わっていくのが面白い。

普通の高校野球漫画とはひと味違う、監督の采配や育成を楽しみたい人に刺さる作品です。

4位 インベスターZ(インベスターゼット)

30秒でわかる作品紹介
『インベスターZ』は、超進学校・道塾学園にトップで合格した中学1年生・財前孝史が、秘密の「投資部」に入部し、投資の世界へ飛び込んでいく学園×投資漫画です。

投資部に与えられた使命は、学校の運営資金を自分たちの投資で稼ぐこと。しかも扱う金額は、とんでもないスケール!

株式投資を中心に、お金の歴史や企業、経済など幅広いテーマを扱いながら、「お金とは何か?」を漫画で学べる三田紀房らしい実学エンタメです。

ランキングの理由・推しポイント
第4位は『インベスターZ』。

受験、転職、野球といろいろな題材を漫画にしてきた三田紀房が、ついに「お金」に真正面から挑んだ作品です。

株の買い方や損切りといった投資の話だけではなく、そもそもお金とは何なのか、企業はどう成長するのか、経済はどう動いているのかまでどんどん話が広がっていく。

難しくなりそうなテーマなのに、中学生が巨額の資金を動かす「投資部」というぶっ飛んだ設定に落とし込んで、ちゃんと漫画として読ませてくれるのが三田紀房らしい!

ただ、さすがというか、残念ながら少しだけ時代を先取りしすぎたな。笑

もう少しだけ遅ければ、投資ブームとマッチして、今以上に注目されていた気がします。

現実離れしたストーリーではあるけれど、どこかにリアリティもあって、自分も投資で儲けることができるんじゃないかと思わせてくれるマンガ。

お金や投資に興味を持つきっかけにもなりやすく、実学エンタメという意味では『ドラゴン桜』と並んで三田紀房らしさ全開の作品です。

3位 ドラゴン桜(ドラゴンざくら)

30秒でわかる作品紹介
『ドラゴン桜』は、経営破綻寸前の龍山高校を立て直すため、弁護士・桜木建二が生徒を東大へ合格させようとする受験漫画です。

特別進学クラスに集まった水野直美と矢島勇介を待っていたのは、各教科のスペシャリストたちによる一風変わった勉強法。

「本当にそれで成績上がるの?」と思うような方法にもちゃんと理屈があり、受験をテーマにしながら、効率的な勉強法や物事の考え方まで学べる実学エンタメです。

ランキングの理由・推しポイント
第3位は『ドラゴン桜』。

三田紀房を語るうえで、この作品はやっぱり外せません。

何よりすごいのが、読むと東大に行きたくなる!……とまではいかなくても、なんだか勉強したくなってくるところ。

パンチの効いた先生たちが教える勉強法はかなり個性的ですが、一見奇抜に見えても意外と理にかなっている。「こんな勉強法だったら、自分ももう少し勉強できたかも」と思わせてくれる説得力があります。

しかも面白いのは、受験生だけでなく、すでに勉強から離れてしまった大人が読んでも刺さるところ。まあ、掲載誌も『モーニング』ですしね。

そして何より、『ドラゴン桜』で現在まで続く三田紀房の「実学を漫画として面白く読ませる」スタイルを確立したと言っていい作品。

今の三田紀房につながる魅力がギュッと詰まった作品なので、はじめて三田紀房作品を読む人にも、まずおすすめしたい一作です。

あ、でも『ごくせん』や『ROOKIES』のような学園漫画のノリではないので、熱血学園ドラマ的な感動を求めて読むと、たぶん全然面白い漫画じゃないですよ。笑

2位 砂の栄冠(すなのえいかん)

30秒でわかる作品紹介
『砂の栄冠』は、県立樫野高校野球部のエース兼主将・七嶋裕之が、謎の老人・トクさんから託された1000万円を使って甲子園を目指す高校野球漫画です。

強豪私立のような環境も資金もない公立校が勝ち上がるため、七嶋は1000万円を隠し持ち、チーム強化のために使うことを決意。

練習や試合だけでなく、監督、応援、マスコミ、甲子園を取り巻く仕組みまで利用して勝利を目指す、三田紀房らしさ全開の異色の高校野球漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第2位は『砂の栄冠』。

三田野球三部作だとやっぱりこれかな。

「1000万円で甲子園を目指す」。もう、この設定だけで面白い!

しかも主人公・七嶋が、爽やかなだけの高校球児じゃないのがいいんです。

味方を、監督を、ファンを、さらにはマスコミまで利用して甲子園を目指す。ときには「高校野球漫画の主人公がそんな腹黒い顔していいの?」と思うほどしたたかです。笑

でも、そんな七嶋がなぜかカッコいい。

試合に勝つだけではなく、1000万円をどう使うか、どうすれば周囲を味方につけられるか、どうすれば甲子園へ近づけるかまで考え抜く。

高校野球の表も裏も使えるものは全部使って甲子園を目指す。この三田紀房らしい戦略性がたまりません。

1位 マネーの拳(マネーのけん)

元ボクサーの成り上がりビジネス漫画!

30秒でわかる作品紹介
『マネーの拳』は、元ボクシング世界王者・花岡拳が、ビジネスの世界で頂点を目指す経営漫画です。

小さな商売から始まり、アパレル事業を立ち上げ、人を集め、会社をどんどん大きくしていく。資金、人材、取引、上場と、会社が成長するほど悩みもスケールアップしていきます。

さらに、経営者と従業員、それぞれの思惑がぶつかる人間ドラマも見どころ。

経営漫画と聞くとちょっと身構えるんですが、これがめちゃくちゃ読みやすい。商売のことを学べるのに堅苦しくなく、主人公がビジネスの世界でのし上がっていく成り上がり漫画としても熱い作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第1位は『マネーの拳』。

ビジネス漫画としても、ストーリー漫画としても面白い!まさに実学エンタメといった感じの作品。

三田紀房のビジネス系作品の中では、今のところこれが一番好きです。

経営漫画としてかなり本格的な題材を扱っているのに、知識を詰め込まれている感じがなく、とにかく漫画として読みやすい。

ケンが次々と問題にぶつかり、そのたびに大胆な決断をして会社を大きくしていくので、「次はどうなる?」がずっと続きます。

しかも面白いのは経営だけじゃない。会社が大きくなるほどキャラ同士の立場や関係まで変わっていき、人間ドラマもしっかり熱い。

経営のリアルさはありつつ、漫画としてちゃんと面白い。このバランスの良さが好き。

→ 『マネーの拳』の詳しいレビューはこちら

こちらもオススメ!

『マネーの拳』の読みやすさや、会社が成長していく面白さ、クセの強いキャラクターたちについては個別レビューでさらに詳しく語っています。

あとがき

あなたがランキング1位に選ぶおすすめ作品はどの漫画ですか?

注:この記事内にアンケートがあります。アンケートへのご参加をお願いします。

ランキング1位に選んだ『マネーの拳』は代表作と呼ばれることは少ないかもしれませんが、漫画としての面白さと、ビジネス的な学びのバランスがちょうどいいおすすめ作品です。

改めて三田紀房作品はジャンルの幅が広い!

仕事、お金、受験、野球、歴史と、他の漫画家がまだやってないジャンルや切り口で次々と作品化しているのはすごいですね。

手本がない状態で、漫画にしづらいジャンルをここまで読みやすく表現していることに驚きます。

専門に携わってる人からみたらどうなのかわからないけど、どの作品も謎に説得力がすごい。

ドラゴン桜読んだときにはもっと早く知っておけばと悔しかったし、インベスターZも読むだけで株がうまくいくような気がして挑戦したくなる。まさにビジネス書や自己啓発本を読んでる感覚。恐らく、自己啓発セミナーや投資セミナーを開けば、日本で一番人が集められる漫画家なのは間違いないでしょう。笑

画力よりもテンポや演出、構成、言葉の力が作品の面白さの軸になっているので、AI作画とかに一番向いている漫画家かもしれませんね。

数年後にはAIで三田紀房作品が量産されるかもしれない。笑

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『マネーの拳』の感想・レビュー|起業から上場まで!熱い成り上がりビジネス漫画【三田紀房】https://mangakarankings.com/441889https://mangakarankings.com/441889#respondTue, 01 Sep 2026 13:15:38 +0000https://mangakarankings.com/?p=441889

『ドラゴン桜』や『インベスターZ』など、難しそうなテーマをエンタメに落とし込むのがうまい漫画家・三田紀房(みたのりふさ)。 『マネーの拳(マネーのけん)』で描くのはビジネスの世界。元ボクシング王者・花岡拳が商売を始め、会 ... ]]>

『ドラゴン桜』や『インベスターZ』など、難しそうなテーマをエンタメに落とし込むのがうまい漫画家・三田紀房(みたのりふさ)

『マネーの拳(マネーのけん)』で描くのはビジネスの世界。元ボクシング王者・花岡拳が商売を始め、会社を大きくしていく成り上がり経営漫画です。

経営漫画と聞くと難しそうですが、これが驚くほど読みやすい。起業から会社経営までしっかり描きながら、商売を学べて、漫画としても熱い作品です。

あらすじ

『マネーの拳』は、元ボクシング世界王者・花岡拳が、第二の人生としてビジネスの世界へ挑む物語である。

ボクサー引退後はタレント活動を続けながら友人と居酒屋を経営する花岡だったが、店は赤字続きで商売の難しさに直面していた。そんな折、テレビ番組で実業家・塚原と出会い、彼からの助言と資金援助をきっかけに新たな事業へ踏み出すことになるのだった。

拳ひとつで頂点を極めた元王者は、今度は知恵と決断力を武器に、ビジネスという新たなリングで経営者としての頂点を目指していく。

作品解説

『マネーの拳』は、漫画家・三田紀房による経営ビジネス漫画。

元世界王者が起業するという設定のもと、縫製工場を拠点としたアパレルビジネスを舞台に、商品企画や製造、販売、取引先との駆け引き、人材確保、資金繰り、ブランド作りから上場、M&Aまで、会社が成長する中で直面するさまざまな経営課題に向き合う姿が描かれている。

難しい経営知識を並べるのではなく、花岡が壁にぶつかるたびに答えを探し、会社を大きくしていく過程そのものを勝負として見せるのが特徴。

創業から企業成長までの過程を具体的に描いた構成は、経営を疑似体験できる作品として語られ、実際の経営者からも評価されている。

ビジネスの仕組みを学べるだけでなく、一人の男が再び頂点を目指す成り上がり作品としても楽しめる作品である。『ビッグコミックスペリオール』で連載され、全12巻で完結している。

元ボクサーの成り上がりビジネス漫画!

おすすめポイント・感想・レビュー

モーニングに『ドラゴン桜』が連載されていた時期に並行して始まった作品。

『ドラゴン桜』が受験指南だったのに対して、こちらは経営指南とでもいうべき、起業から事業の拡大までを描いた本格ビジネス漫画になっています。

ビジネス漫画ではあるけれど、三田紀房らしいテンポの良さで読みやすく、感情寄りで熱量が高くて、学びよりも純粋な面白さが勝る作品でした。

商売の話なのに、とにかく引き込まれる

『マネーの拳』でまず驚いたのが、商売や会社経営がテーマなのに、とにかく続きが気になること

商品をどう売るか、人をどう集めるか、会社をどう大きくするか。やっていることだけ見ればかなり真面目なビジネスの話なのに、「次はどうする?」「ここからどうひっくり返す?」と、気づけばページをめくる手が止まらなくなります。

なかには、TOBやMBOなど、なかなかとっつきづらく分かりにくい題材もあるのですが、なぜかすらすら読める。

しっかりとビジネス漫画としてそれぞれの解説も入っているんですが、説明しすぎず流れで理解させてくれる構成力。

難しい経営理論を全面に出していないのも大きいかもしれません。細かい説明を読むというより、決断と結果を見せられて納得させられる感じ。

情報量は多いのに頭が疲れない。めちゃくちゃ読みやすい!

キャラ同士の衝突が物語を動かす

そして、もうひとつ面白いのが登場人物。

この作品、キャラがとにかくクセの強い人ばかりです。しかも全員が自分なりの正解を持っている

経営者と従業員、古参社員と新参社員、理想と現実、善意と打算。会社が成長するほど、それぞれの考え方のズレが大きくなり、衝突していくのが面白い。

誰か一人が正しいわけじゃないのがいい。人間関係の描き方がリアルで、感情移入しやすいです。

毎回、ケンの言葉に感動して涙するのに、次の局面ではまた裏切りを考えてしまうヤエコが好き。笑

経営ノウハウだけで話を進めるのではなく、クセの強いキャラクター同士をぶつけて物語を動かす。この人間臭さがあるから、ビジネスに興味がなくても楽しめるんだと思います。

起業から上場まで!会社が成長していくのが面白い

ひとつの会社がどんどん大きくなっていく過程を見られるのも、王道だけど楽しいポイントです。

最初は小さな商売だったのに、Tシャツ事業を立ち上げ、商品を作って、人を雇って、ブランドを育てて…。気づけば会社としてどんどん成長していきます。この成り上がっていく感じ、やっぱりワクワクする!

しかも、会社が大きくなれば全部うまくいくのかと思ったら、そんなに甘くない。

最初は「どうやって商品を売る?」だったのが、人材や組織、資金の問題が出てきて、ついには上場や企業同士の戦いまで。ひとつ乗り越えたと思ったら、今度はもっとデカい壁が出てきます。

それに合わせて花岡自身も経営者としてどんどんたくましくなっていく。会社と主人公が一緒に成長していく感覚も気持ちいい。

経営漫画なのに、説教臭くない

  • 楽して儲けるのが本当の商売だ
  • 金はモノをいわない。モノをいうのは人間だ
  • 俺は誰も信用しない。その代わり責任は取る!

数え上げたらキリがないほど、『ドラゴン桜』に負けず劣らず、今作も名言のオンパレードなんですが、こちらはあまり説教臭く感じません。

他作品と違い、主人公のケンがコンサル的な立ち位置ではなく、経営のトップで当事者だからかもしれません。

漫画っぽいビジネス本というより、ビジネス本っぽい漫画といった感じ。

指南書風味が薄いので、純粋に読み物として引き込まれる。だから最後まで失速せずに一気に読めます。

こんな人におすすめ

ビジネスで成り上がっていく漫画が好きな人にはかなりおすすめです。

次々と現れる問題をアイデアと決断力で乗り越え、より大きな舞台へ進んでいく展開はワクワクの連続。

経営の知識を学びたい人はもちろん、「主人公がのし上がっていく漫画が好き!」という人にも刺さる作品です。

経営の知識がなくても、株式投資とか経験したことある人ならよりとっつきやすいと思います。

起業から事業継承まで!全12巻とは思えない濃さ
小さな商売から始まって、Tシャツ事業を立ち上げ、全国展開、株式上場、さらにはTOBやアクティビストの介入、世界進出まで。振り返ってみるとめちゃくちゃ本格的なビジネスの流れを描いてましたね。

会社が大きくなるにつれて直面する問題もどんどん変わり、最後は事業継承まで描いて全12巻完結は改めてすごいテンポです。

最後まで花岡拳は花岡拳だった!このラストが好き
ラストにケンが会社を去って、海外で新たな商売を始め、自分が育てたT-BOXのライバルになろうとする流れも良かった。

ずっと「会社を大きくする」ために走り続けてきたケン。それだけに、ここまで育てた会社なら最後まで自分で経営するのかと思いきや、大きくしきったところでスッと手放してしまう。

このあたり、なんか妙にリアルなんですよね。

元ZOZOの前澤友作社長しかり、会社をとことん大きくした経営者にしか見えない景色があるのかもしれない。笑

ケンの後を継ぐのが井川っていうのも良かったな。

普通の漫画なら、一度登場したライバルは最後までライバルになりがちです。でも『マネーの拳』では、一番バチバチに争っていた井川が業務提携によって専務取締役としてやってきて、最終的にはケンの後を継いで社長にまでなる。

昨日の敵が今日の味方どころか、最後には自分の会社を任せる相手になる。この立場や関係性がどんどん変わっていく感じも、ビジネス漫画ならではで面白かったです。

主人公の花岡拳は『インベスターZ』にも登場しています。

類似作品 こちらもオススメ!

起業して成り上がっていくビジネス漫画なら、『トリリオンゲーム』(原作:稲垣理一郎、作画:池上遼一もおすすめです。少年漫画なのでリアル感は落ちますが『SHOGUN』(所十三も爽快な成り上がり作品です。

あとがき

やっぱり三田紀房は難しそうな題材を漫画としてエンタメにするのがうまい!

現実の経営として考えると、さすがにうまく行きすぎでは?と思うところもありますが、そこは漫画。これくらいの割り切りは全然ありかなと。

三田紀房のビジネス系作品の中では、今のところこれが一番好き。リアルさと物語性がちょうどよいバランスの作品です。

三田紀房のおすすめ漫画作品ランキングもチェック!

『マネーの拳』が面白かったなら、ほかの三田紀房作品もぜひ。

受験、投資、経営など、難しそうな題材でも、エンタメに落とし込んで読ませてしまうのが三田紀房作品のすごいところ。

ほかにも面白い作品がたくさんあるので、次に読む漫画を探すなら、こちらもぜひ!

→ 三田紀房のおすすめ漫画作品ランキングはこちら

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【とにかく読ませるのがうまい!】ハロルド作石のおすすめ漫画作品ランキング!https://mangakarankings.com/238https://mangakarankings.com/238#respondTue, 12 Jul 2016 12:38:00 +0000http://mangakarankings.com/?p=238

キャラ・ストーリー・構成・間・笑い・見せ場・題材への落とし込みまで、とにかく読ませるのがうまい漫画家・ハロルド作石(ハロルドさくいし)。派手な展開を連発するわけでもないのに、気づけば「この先どうなる?」とページをめくる手 ... ]]>

キャラ・ストーリー・構成・間・笑い・見せ場・題材への落とし込みまで、とにかく読ませるのがうまい漫画家・ハロルド作石(ハロルドさくいし)。派手な展開を連発するわけでもないのに、気づけば「この先どうなる?」とページをめくる手が止まらなくなる。

描く題材は、不良、野球、音楽、漫画家、歴史ものまで本当にバラバラ。それでも共通しているのが、迷ったり、くすぶったり、失敗したりする「人」をしっかり描いていることです。何気ない会話や表情、ちょっとした間でキャラクターを好きにさせ、じっくり積み重ねたかと思えば、ここぞという場面で一気に熱くする。笑いもシリアスもヒキも含めて、とにかく漫画として読ませるのがうまい!

『ゴリラーマン』では、ほとんどしゃべらない主人公を強烈なキャラクターに仕立て、『ストッパー毒島』では野球を知らなくても熱くなれる物語を描く。そして『BECK』では、音の出ない漫画なのにライブの音や会場の熱気まで伝わってくる。ここまで題材が違うのに、どれもちゃんと面白い。

よくも悪くもキャラクターを少し意図的に不細工に描くのが特徴的。一見するとやや癖のある絵ですが、読んでいるうちにだんだん病みつきになってくる不思議な魅力があります。

そんな、何を描いても面白い、ハロルド作石のおすすめ作品をランキング形式で紹介します!

9位 バカイチ

30秒でわかる作品紹介
『バカイチ』は、ケンカは強いけど生き方はいいかげんな高校生・大場一良、通称「バカイチ」を主人公にした格闘技コメディです。

ジャッキー・チェン好きのバカイチは、新任教師・関根に格闘技の才能を見いだされ、新設された格闘技部へ。関根の指導を受けながら、空手をはじめとするさまざまな格闘技の世界へ足を踏み入れていきます。

本格的な格闘技を題材にしながらも、そこはハロルド作石。クセの強い登場人物たちやシュールな笑いもしっかり盛り込まれた、全4巻でサクッと楽しめる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第9位は『バカイチ』。

最下位にはしましたが、決してつまらないわけではありません。闘技漫画としての熱さがありながら、どこか力の抜けた笑いやクセの強いキャラクターもいて、初期のハロルド作石らしさを楽しめます。

特に面白いのが、主人公のバカイチと師匠となる関根のコンビ。真面目に格闘技をやっているはずなのに、二人ともどこかズレていて、その掛け合いがいい味を出しています。

『サバンナのハイエナ』から再びコメディ寄りの作風に戻したものの、やっぱりこの路線だとデビュー作の『ゴリラーマン』のインパクトが強すぎたなぁ。

全4巻と短く読みやすいので、ハロルド作石の初期作品を読んでみたい人や、格闘技とコメディの組み合わせが好きな人にはおすすめです。

8位 7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT(しちにんのシェイクスピア ノンサンズドロイクト)

30秒でわかる作品紹介
『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』は、『7人のシェイクスピア』の続編にあたる歴史漫画です。

舞台は16世紀のロンドン。田舎からやってきたランスことウィリアム・シェイクスピアが、仲間たちの才能を結集しながら脚本を書き、演劇の世界で成り上がっていく姿を描きます。

前作よりも演劇そのものが物語の中心となり、ライバルとの競争や劇団同士の争いなど、さらにスケールアップ。シェイクスピアの名作がどのように生まれたのかを大胆な解釈で描く、本格歴史ロマンです。

ランキングの理由・推しポイント
待ちに待った『7人のシェイクスピア』の続編!

舞台をロンドンへ移し、いよいよシェイクスピアが演劇の世界へ。

前作の段階では、何が7人なんだろうという感じでしたが、今作でついに7人のシェイクスピアが出揃います。ライバルとの競争や劇団同士の争いも加わって、芝居の熱もグッとアップ!前作以上にドラマが大きく動いていきます。

…と思ったら、また止まっちゃった。

物語はまだ途中。続きが気になるところで長らく新刊が出ていないのは、やっぱり大きなマイナスポイントです。

作品そのものは面白いだけに、なおさらもったいない。でも、その間に描いてる『ゴリラーマン40』や『THE BAND』が面白いからたちが悪い。笑

いつか再び物語が動き出すことを期待しつつ、現時点ではこの順位に。

7位 ゴリラーマン

30秒でわかる作品紹介
『ゴリラーマン』は、ゴリラのような顔をした無口な高校生・池戸定治、通称「ゴリラーマン」を主人公にした学園漫画です。

ケンカや不良同士の抗争も描かれますが、かなりギャグ寄りなのが特徴。そして何より衝撃なのが、主人公なのにしゃべらないこと。モノローグで心の内を語ることすらなく、周囲のキャラクターたちの視点からゴリラーマンという人物を描いていきます。

そんな異色の主人公で全19巻まで続いた、ハロルド作石の連載デビュー作です。

ランキングの理由・推しポイント
主人公がしゃべらない。それどころか心の声すらほとんど描かれない。それで全19巻の長期連載って、改めて考えるとすごい漫画です。

何を考えているのか分からないゴリラーマンに、周囲の人間が戸惑いながらも少しずつ惹かれていく。その気持ちに読者まで共感してしまうのが本作の面白いところ。姉が登場したときのインパクトや、きれいに決まったラストも印象に残っています。

ただ、後のハロルド作品と比べるとかなりコメディ色が強く、デビュー作ということもあって今読むと序盤は読みづらさもあるかな。

それでも、ここからハロルド作石が始まったと思えば一度は読んでおきたい作品。そして個人的には、今の画力と構成力で再びゴリラーマンを描いた『ゴリラーマン40』のほうがさらに面白かったので、元祖はこちらの順位にしました。

6位 7人のシェイクスピア(しちにんのシェイクスピア)

30秒でわかる作品紹介
『7人のシェイクスピア』は、世界的な劇作家ウィリアム・シェイクスピアを題材に、その知られざる半生を大胆な解釈で描いた歴史漫画です。

舞台は16世紀のイギリス。若きシェイクスピアことランスと、不思議な才能を持つ少女・リーたちとの出会いを軸に、彼が少しずつ詩や舞台脚本の世界へ足を踏み入れていく姿を描きます。

史実をベースにしながら、宗教や身分差、当時の暮らしまで丁寧に描かれた、ハロルド作石では珍しい本格歴史ものです。

ランキングの理由・推しポイント
現代を描くイメージが強かったハロルド作石が、まさかのシェイクスピア。最初は意外でしたが、建物や教会、当時の暮らしまでしっかり描き込まれていて、16世紀イギリスの空気へ自然と引き込まれていきます。

リーの詩をきっかけに、ランスが少しずつ舞台脚本にのめり込んでいく流れも面白い!

ただ、物語がいよいよロンドンへ向かうというところで第一部完結。そのまま長く続きが読めなかったため、以前はかなり評価しづらい作品でした。

すぐに『RiN』の連載が始まってしまったので、ここで打ち切りかと思いましたが、5年の時を経て復活!物語がちゃんと先へ進んだことで評価も大幅アップし、第6位です。

5位 THE BAND(ザ・バンド)

30秒でわかる作品紹介
『THE BAND』は、『BECK』のハロルド作石が再びバンドを題材に描く青春音楽漫画です。

主人公は、小学生の頃に初めて見たライブをきっかけに音楽へ憧れを抱いた新木友平。成長した友平は、個性豊かな仲間たちとの出会いをきっかけに、本格的にバンドの世界へ足を踏み入れていきます。

バンド結成や作曲、ライブなどを通して、若者たちが音楽と向き合いながら成長していく姿を描いた作品です。

ランキングの理由・推しポイント
『BECK』以来となるハロルド作石のバンド漫画。これは期待せずにはいられません。

同じバンドものだけにどうしても『BECK』と比べたくなりますが、今のところしっかり面白い。音楽にのめり込んでいく若者たちや、仲間が集まり、曲を作り、ライブへ向かっていく流れには、やっぱりハロルド作石らしいワクワク感があります。

まだ連載中ということで今回は第5位。ただ、現時点ですでに上位に入れたいくらい面白い。ここからどんなバンドになり、ヒット作『BECK』とは違う物語を見せてくれるのか楽しみな作品です。

4位 ゴリラーマン40(ゴリラーマンフォーティ)

30秒でわかる作品紹介
『ゴリラーマン40』は、ハロルド作石の連載デビュー作『ゴリラーマン』のその後を描いた続編です。

高校時代から時は流れ、40歳になったゴリラーマンこと池戸定治。かつての仲間たちもそれぞれの人生を歩んでいましたが、再びゴリラーマンを中心に騒動へ巻き込まれていきます。

無口な主人公や独特の間、シュールな笑いはそのままに、大人になったキャラクターたちの現在まで描いた、懐かしいだけでは終わらない続編です。

ランキングの理由・推しポイント
ヤングマガジン40周年企画で『ゴリラーマン』の新作読切が掲載!それだけでも嬉しかったのに、まさかの連載化!

これが「今のハロルド作石が『ゴリラーマン』を描いたら?」という妄想を、そのまま叶えてくれたような作品でした。

昔ながらのシュールな笑いや空気感は残しつつ、長年の経験を積んだ今だからこその読みやすさもある。『ゴリラーマン』ありきの続編ではありますが、単なる懐かしさだけに頼らず、ひとつの漫画としてちゃんと面白い。

やっぱりゴリラーマンって面白いんだな。そんなことを改めて実感させてくれたので、初代を上回る第4位です。

3位 RiN(リン)

漫画家マンガ?オカルト漫画?ジャンル分け不能な挑戦作!

30秒でわかる作品紹介
『RiN』は、漫画家を目指す高校生・伏見紀人の成長を描いた青春漫画です。

クラスでは目立たない伏見ですが、漫画への情熱は本物。編集部への持ち込み、新人賞への挑戦、アシスタント経験、才能あるライバルとの競争などを経験しながら、少しずつ漫画家への道を進んでいきます。

…と、ここまでは王道の漫画家マンガ。

不思議な力を持つ少女・凛との出会いをきっかけに、物語はミステリーにオカルト、さらに過去生や輪廻転生まで絡み、現実的だった漫画家の物語が思わぬ方向へ。

王道の夢追い漫画だと思って読むと、いい意味で裏切られる。漫画家マンガと幻想的な物語が混ざり合う、ハロルド作石作品の中でもかなり異色の一作です。

ランキングの理由・推しポイント
第3位は『RiN』。

ハロルド作石が漫画家マンガを描く。もうそれだけで読みたくなるんですが、実際に読んでみると想像していたものと全然違いました。

伏見が漫画家として少しずつ評価されていく成長物語だけでも面白いのに、そこへ凛をめぐる不思議な物語が絡んでくる。

それでも読みにくくならず、伏見が漫画家として前へ進む物語と、凛をめぐる謎の両方で続きを読ませてくるのがうまいです。

終盤はもう少しじっくり読みたかった部分もありますが、全14巻を通してテンポがよく、改めてまとめ読みしてもやっぱり面白い。

ハロルド作石らしい夢追い漫画でありながら、ほかの作品にはない不思議な世界観まで楽しめる。漫画家マンガとしても、ハロルド作石作品としてもかなり好きな一作です。

→ 『RiN』の詳しいレビューはこちら

こちらもオススメ!

漫画家マンガとして読んでも面白いし、凛をめぐる不思議な物語を追っても面白い。でも、どっちの漫画なの?と聞かれるとちょっと困る(笑)。

そんな『RiN』ならではの魅力や、伏見と凛の関係、ラストまで読んで感じたことはレビュー記事で詳しく紹介しています。

2位 BECK(ベック)

30秒でわかる作品紹介
『BECK』は、平凡な中学生・コユキこと田中幸雄が、天才ギタリスト・南竜介との出会いをきっかけに音楽へ目覚め、バンド「BECK」のメンバーとして成長していく青春音楽漫画です。

楽器やライブハウス、バンド活動など、音楽の世界をリアルに描きながら、仲間との出会いや衝突、恋愛、挫折を経て、少しずつ大きな舞台へ。

全34巻という長編で、ひとつのバンドが成長していく姿をじっくり追いかけられる作品です。

ランキングの理由・推しポイント
第2位は『BECK』。ハロルド作石といえば、やっぱりこの作品は外せません。

平凡だったコユキが音楽と出会い、仲間とバンドを組み、少しずつ大きな舞台へ進んでいく。この王道の成長物語を、じっくり楽しめるのが『BECK』の魅力です。

特にすごいのがライブシーン。音が聞こえない漫画なのに、演奏する側の高揚感や観客の熱気まで伝わってきて、ちゃんとライブがカッコいい!

数少ない「音が聞こえてくる音楽漫画」です。

青春漫画としても音楽漫画としても文句なしに面白い。ただ、作品全体の完成度だと『ストッパー毒島』かなぁということで2位に。

…とはいえ、この2作品は読み直すたびに1位と2位を入れ替えたくなるくらい僅差です。

今だけ3巻まで無料(9/7まで)

1位 ストッパー毒島(ストッパーぶすじま)

30秒でわかる作品紹介
『ストッパー毒島』は、豪速球を武器にプロ野球の世界へ飛び込んだ毒島大広を主人公にした野球漫画です。

舞台となるのは、万年最下位の弱小球団・京浜アスレチックス。入団当初は荒削りだった毒島が投手として成長していく姿とともに、個性豊かなチームメイトたちが一丸となって上位を目指していきます。

先発のエースではなく「ストッパー」にスポットを当て、当時のパ・リーグをモデルにした世界を描いた、ちょっと変わったプロ野球漫画です。

ランキングの理由・推しポイント
第1位は『ストッパー毒島』!

ストッパーが主人公というだけでも珍しいのに、舞台はパ・リーグ。実在する選手をモデルにしたキャラクターや野球ネタ、正体不明の球団マスコット・チックくんまで出てきて、とにかく登場人物が濃い!

そして、弱小だったチームが少しずつまとまり、優勝争いへ絡んでいく終盤はどんどん熱くなっていきます。

中でも佐世保の見開きホームランは、個人的に野球漫画でも一番に挙げたい名シーン。

震えるほどかっこいいのでぜひ見てください。

『BECK』と最後まで迷いましたが、全12巻を通してダレることなく、最後まで一気に楽しめる。作品全体のまとまりや完成度まで含めると、今回は『ストッパー毒島』が一番かな。

あとがき

あなたの選ぶおすすめ作品も教えて下さい!

注:この記事内にアンケートがあります。アンケートへのご参加をお願いします。

作品ごとにジャンルが全部違うから、ランキングはある程度好みになっちゃうね。

一応順位付けてまとめたけど、しばらくして見直したら全くランキング変わりそう。それくらいどれもほぼ同じくらいに面白い。

ヒット作多い割に、『RiN』でも打ち切りじゃないかと言われていたりと、終盤の評価がマチマチな印象も。そこまでがめちゃくちゃ面白い分、もっと読みたかったってなっちゃう作品が多いのかもしれない。

それでも、10代でデビューしてからこれだけ作風の違う漫画を描き続けて、そのたびにヒット作を生み出してるんだからすごいです。

基本的にハズレのない漫画家なので、気になった題材からぜひ読んでみてください。

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『RiN』の感想・レビュー|漫画家マンガの枠を飛び越える異色の青春物語【ハロルド作石】https://mangakarankings.com/441875https://mangakarankings.com/441875#respondMon, 31 Aug 2026 13:12:40 +0000https://mangakarankings.com/?p=441875

『RiN(リン)』は、漫画家を目指す高校生の伏見の成長物語。 はいはい、ハロルド作石(ハロルドさくいし)お得意の夢を追う若者たちを描くやつね。要するに音楽ではなく、漫画家版の『BECK』。 …と思ったら大間違い! 物語は ... ]]>

『RiN(リン)』は、漫画家を目指す高校生の伏見の成長物語。

はいはい、ハロルド作石(ハロルドさくいし)お得意の夢を追う若者たちを描くやつね。要するに音楽ではなく、漫画家版の『BECK』。

…と思ったら大間違い!

物語は予想外の方向へ広がっていきます。

漫画家マンガとオカルト要素が複雑に絡み合う異色作『RiN』。その独特な魅力と面白さを紹介します。

あらすじ

高校2年生の伏見紀人には、漫画家になるという夢がある。退屈な学校生活を送りながらも漫画への情熱だけは失わず、夏休みに描き上げた自信作を憧れの漫画雑誌「トーラス」の編集部へ持ち込む。しかし、そこで待っていたのは編集者からの厳しい評価だった。

それでも漫画家になる夢を諦められない伏見は、新人賞への応募を目指して再び作品を描き始める。やがて自分の漫画を評価される一方、同い年ながら「10年に一人の逸材」と評される瀧カイトをはじめ、圧倒的な才能を持つライバルたちの存在を知ることになる。

そんな中、伏見は不思議な力を持つ少女・石堂凛と出会う。漫画家になるため現実と向き合いながら一歩ずつ前へ進む伏見と、どこか謎めいた凛。二人の出会いをきっかけに、漫画家を目指す青春物語は次第に不思議な謎を秘めた物語へと広がっていく。

作品解説

『RiN』は、漫画家・ハロルド作石が描いた漫画家マンガと青春ミステリーを組み合わせた作品。

編集部への持ち込みや新人賞、アシスタント経験、才能あるライバルとの競争など漫画家を目指す現実的な過程を描きつつ、凛の不思議な力や奇祭、伝承といったオカルト要素が絡んでくるのが大きな特徴である。

才能への嫉妬や結果が出ない焦り、自分が本当に描きたいものを見失う苦しさにも踏み込み、単純な成功物語では終わらない。漫画家のリアルと、先の読めない幻想的な物語が同時に進む、独特の世界観を持った作品である。

『月刊少年マガジン』で連載され、全14巻で完結している。

漫画家マンガ?オカルト漫画?ジャンル分け不能な挑戦作!

おすすめポイント・感想・レビュー

ハロルド作石が描く漫画家マンガと聞いたら、読まずにはいられない!…と思ったら、そんな単純な作品じゃなかった!

基本は漫画家を目指す高校生の成長を描く、『BECK』にも通じる夢追い漫画です。

ところが、そこに恋愛、超能力、ミステリー、さらには輪廻転生まで入ってくる。

漫画家マンガとして伏見の成長を追うだけでも面白いのに、凛をめぐる謎まで気になって、とにかく先が読みたくなる。

予想外の展開に話が転がりながら、どんどん世界を広げていく。謎が多すぎて本当に伏線回収できるのか?と心配になるほど。

伏線の扱いや物語の展開が巧妙で、読むほどに引き込まれる作品です。

漫画家を目指す伏見の成長が熱い

漫画家マンガとしては、『BECK』×『バクマン。』といった感じで、とても読みやすい。

クラスでは目立たない男の子が漫画家を目指して成長していくという、わかりやすい夢追い物語なので、スッと入り込めます。

新人賞への挑戦やアシスタント経験、編集者とのやり取りなど、漫画家になるまでの過程もしっかり描かれていて、少しずつ評価されていく伏見を見ていると、こっちまで嬉しくなってくる。

派手な主人公ではないけれど、だからこそ応援したくなる。伏見が漫画家として一歩ずつ成長していく姿は、『RiN』の大きな魅力です。

瀧カイトをはじめとする、『バクマン。』的なライバルとの競争や、友達などの人間関係も面白く物語に絡んできます。

ただの漫画家マンガじゃない!

ここまでなら、漫画家を目指す少年の王道青春漫画です。でも、『RiN』はそれだけじゃない。

不思議な力を持つ凛が登場したあたりから、少しずつ様子がおかしくなってきます。

予知のような能力に、奇妙な夢、奇祭や伝承、ソウルメイト、さらには前世や輪廻転生まで……。

漫画家マンガ読んでたはずなんだけどな(笑)。

しかも面白いのが、漫画家として成長していく伏見の物語と、この不思議な物語が完全に別々というわけではないところです。

序盤では「これ、どうつながるんだ?」と思っていた出来事が、読み進めるにつれて少しずつ意味を持ち始める。伏見が描く漫画にも不思議な出来事が影響していき、現実的な漫画家の世界と幻想的な物語が徐々に重なっていきます。

持ち込み、新人賞、連載争いという現実的な漫画家としての物語に、凛の特殊能力や過去世といったオカルト要素が入り込む。この異色の組み合わせこそ『RiN』最大の個性です。

伏見と凛をつなぐ不思議な縁

物語が進むにつれて、もうひとつの大きな軸になっていくのが、伏見と凛、そしてライバルの瀧をめぐる過去から続く因縁や輪廻転生の謎です。

伏見と凛の関係も、わかりやすいラブコメとはちょっと違います。

かわいらしいヒロインというだけではなく、不思議な力を持つ凛が作品のミステリー部分を担っている。伏見との関係が深まるにつれて「なぜこの二人なのか」が大きな謎になっていくのも面白いところです。

「この二人、いったい何でつながってるんだ?」という謎が、漫画家としての伏見の成長とは別に、続きを読みたくなる大きな要因になっています。

そして物語が進むにつれて見えてくるのが、二人をつなぐ過去と「縁」。

序盤から散りばめられていた不思議な出来事が二人の関係へつながっていくのも、『RiN』の大きな見どころです。

こんな人におすすめ

漫画家マンガが好きな人はもちろん、夢を追う主人公を応援したくなる人、過去生や輪廻転生をめぐるミステリーが好きな人にもおすすめです。

ただ、スピリチュアル的な要素が嫌いな人にはおすすめ出来ないかな?

伏見が見に行くライブで『BECK』のキャラも登場します。

時を超えてつながる伏見と凛
物語の終盤で、伏見と重なる紀王、凛と重なるユリ。二人は過去から時を超え、魂のつながりによって再び出会っていたことが明らかになります。

さらに瀧との因縁までつながっていき、序盤から散りばめられていた不思議な出来事がひとつの物語としてまとまっていく。このあたりはかなりきれいに回収されていたと思います。

ただ、個人的にちょっと惜しかったのが、終盤になるほど物語がオカルトパートへ寄っていったこと。

漫画界の巨匠・沢村叡智が死ぬ前に残した『トーラス』という謎の言葉をきっかけに、漫画家パートとオカルトパートが絡み合っていく展開はすごく良かった。

だからこそ、最後まで二つの要素を絡めながら大きなひとつの物語として見せてくれたら、さらに好きな作品になっていたと思います。

ラストはもう少しじっくり読みたかった
過去生の謎もすべて解き明かされて、漫画家としてはアンケート1位を獲得。なので、騒がれているほど打ち切り感は感じない。

漫画家パートもオカルトパートもそれぞれ面白かったし、物語として大きな決着はついています。

ただ、終盤はオカルトパートの回収が中心になり、そこからラストまではかなり駆け足。

テンポの良さも『RiN』の魅力のひとつだけど、複雑で読み応えのある設定だっただけに、正直もう少し時間をかけてじっくり描いてほしかった。

終わり方が悪かったというより、「もっとこの先を読みたかった」という惜しさが残る最終回でした。

改めてまとめ読みしてみるとやっぱり面白い。

類似作品 こちらもオススメ!

漫画家マンガとしてはやっぱり『バクマン。』(大場つぐみ×小畑健かな?全体的な雰囲気は『バクマン。』と『君の名は。』をかけ合わせたような印象。

過去生を巡る物語は、『火の鳥』(手塚治虫)『スピリットサークル』(水上悟志が好きな人なら大好物なはず。

あとがき

連載時期的にもどうしても『バクマン。』と比べられがちだった印象だけど、あっちとは描きたいものが別な気がする。

漫画家マンガとしてリアルなのに、物語の根っこには思いっきりスピリチュアルな世界があるのが新鮮でした。

漫画家の成長物語を軸として読むか、SFに漫画家要素がある作品として読むかで評価が分かれそう。

ラストに打ち切りっぽさを感じる人もいるみたいだけど、どうなんだろう?最後が駆け足に感じたものの、個人的には終盤までずっと面白かった。

漫画家マンガとしても面白いし、過去生をたどる物語も面白い。ハロルド作石作品の中でも特に読みやすくて何度も読み返したくなる漫画です。

ハロルド作石のおすすめ漫画作品ランキングもチェック!

題材は違っても、夢中になれるものを見つけた人間を描かせたらやっぱりうまい。どれから読むか迷った人向けに、おすすめ作品をランキング形式で紹介しています。

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